全成分表示で何が変わる?

前回の「全成分表示」では全体の視点をテーマにしました。
なんだか?わかりにくくなっただけ!なんて言っていたら、美肌作りから取り残されますよ。

今日は「全成分表示」の義務化により変わっていく部分について、賢い消費者の視点を紹介して行きます。

全成分表示になって…何が変わる?!

 
 
《《A
A子

表示指定成分、添加物、香料、鉱物油、界面活性剤、これが悪者でしょう。
一方、無添加、無香料、自然化粧品、合成に対する天然、そしてオイルフリーにノンアルコール、これはプラスイメージね。
このような言葉がキーワード……ということですよね。
いつも迷ってただけに、とっても興味があります。

《《B
B子

私は肌に合っていたらいいと思うけど……。
いろいろ説明がされていても、実際のところはわかんないじゃない。

だって、良くない成分なら使用禁止にすればいいことでしょ?

《《C
C子

何言ってんだい。
肌で試してからでは遅いってことだよ。
私なんか、このキーワードが化粧品選びの目安だったがね。

S》》
サッポー先生

様々ですね。順に見ていきましょう。

 
 

表示指定成分・香料・鉱物油・添加物・界面活性剤・オイル・アルコール etc…

 
 
サッポーの
シンボル/サッポーの視点
視点

「表示指定成分」とは、“ごくまれにアレルギーなど、皮膚障害を起こす可能性がある成分”として表示が義務づけられていた成分のことです。

化粧品による皮膚障害がよく起きていた時代が終焉した頃…昭和55年に薬事法に追加された法律です。
皮膚障害が起きないように、それらの使用方法・配合量などが細かく決められたものでした。
「危ない化粧品」などといった警告書などが出版されていた時代です。

このころを境に、目立った化粧品による皮膚障害は姿を消していきました。
といっても、無くなったわけではありません。
現在も肌の健康と美しさを作るはずの化粧品によって、皮膚障害が起きる皮肉は続いています。
しかし、その原因の多くはなかなか特定できないものになっています。

結果、何が残ったか?……悪者探しの視点です。

純粋に良い化粧品を作るための悪者探しであれば良かったのですが、消費者の目に触れて表面化してきたのは、「売らんがため」の悪者探しでした。
格好の材料にされたのが表示指定成分・香料・鉱物油・添加物・界面活性剤、果てはオイル・アルコール...etcというわけです。

 
 
《《C

表示指定成分や鉱物油は悪くないのかい?
確かにB子が言ってたように、悪いなら使用禁止にすればよいわけだ……でもね……。

《《B

「表示指定成分は使用してません」とか、「無添加無香料」ってよくあったわよね。
一方で相変わらず使っているところとか……どうしてかな?

《《A

私も以前から「おかしいな?」と思っていることがあるの。
化粧品会社だって、成分は好きなものを選ぶことができるのでしょう?
悪いと言われている成分があれば、変えればいいのに?って。

《《C

うーん!? これは何かあるね。
悪者探しは儲かるのかい?

 
 

思いこみが作る落とし穴

 
 
サッポーの
シンボル/サッポーの視点
視点

▽ 消費者の視点

肌に合ったよいスキンケアをするためのよい化粧品を選ぶ。

▽ 化粧品会社の視点

人に愛されよく売れる化粧品を作る。

  • → ○ よいスキンケアができる化粧品を作る
  • → △ こう言えばよく売れるぞ → × こう言える化粧品を作ろう

本来消費者が求めるものと、化粧品会社が提供したいものは一致すべきです。
しかし、片寄った情報から作られた「思いこみ」を利用すると、本来求めるべき価値とは異なったものが商品(売り物)になっていることがあります。

例1.悪者のイメージを利用し、商品の価値を高める

無添加・無香料 → 表示指定成分無添加・無香料 → ????

こういう表示が多く見られました。
しかし、全成分表示の導入が議論されるようになると、将来無添加でないことが表面化すると嘘を言っていたことになるので、“表示指定成分無添加”という表示に切り替えたところが増えてゆきました。
“無添加”で通しているところと比較すると正しい対応ですね。
しかし、消費者の中には「え!無添加ではなかったの?」と思われた方も多いでしょう。

添加物・香料・表示指定成分は必ず悪いものだ、という思いこみを利用して、「これらを使用しないことを売り物にすると、人気がでるぞ..」という発想で化粧品が作られ販売されていたら、一部の情報を知らされるだけで判断していた消費者は悲しいところです。

このような場合、全成分表示に切り替えたときどのような表示をするのでしょう。

  • 指定成分の代わりに、どのような添加物を使用しているのか
  • 香料を使用せずに原料臭を消すために、どのような方法・添加物を利用しているのか

全成分表示の義務化によって、化粧品会社には消費者に対する説明責任が生じました。
尋ねられたら、答える必要があります。
全ての成分について、その目的や役割を説明するわけですから、低レベルなごまかし商法は通用しなくなってきました。
表示指定成分や香料使用の有無ではなく……だからあなたの肌にとってよい化粧品なのですよ…という競争になっていくことこそ大切なのですね。

日本女性の肌にとって明るい変化です。

 
 
《《C

うーん、それなりに理解したよ。
しかし、化粧品会社の説明責任が強くなったといっても、全成分が表示されているだけではなあ……。
何をどう尋ねたらよいのかさえ、わからないじゃないか?

《《B

消費者も知識を高めないと、せっかくの全成分表示が役立たないわけね。

S》》

そう、勉強していきましょう。
しかし、低レベルなごまかしを見抜く視点はいくつかありますよ。

 
 

低レベルなごまかし例

 
 
サッポーの
シンボル/サッポーの視点
視点

悪者イメージを利用しやすい項目を見ていきましょう。

例2.鉱物油のイメージ

1970年代終わり頃に多発した、“リール黒皮症(化粧品が原因だとされるシミ)”の原因の一つではないかとされました。
当時の原材料精製技術では不純物が混入していたことが原因でした。
現在では、皮膚の保護材として医療用に、石油から精製されたワセリンが信頼され、多く使用されています。
精製度の飛躍的な向上がありました。
しかし相変わらず鉱物油は悪者のイメージです。

例3.界面活性剤のイメージ

洗浄剤、乳化剤として今や化粧品作りに欠かせないものとなっています。
しかしその能力の強さが様々であり、界面活性力の高いものは肌のバリアゾーン(角質層部分)を壊していくため、適切さを欠いた製品や、間違った使用は肌を傷め様々な皮膚障害を引き起こすことができるものです。

昔からある石けんも化学的に合成された界面活性剤で、能力は中位に位置し、通常界面活性剤とはいわず、馴染みのある石けんという呼称が用いられています。

例4.オイル(油)のイメージ

クリーム類への使用が代表ですが、肌にとって大切な役割を果たすため、様々な目的の化粧品に使用されています。
しかし、油は紫外線や空気に触れると、肌によくない過酸化脂質に変質して行きます。
また皮脂も同じように、過酸化脂質に変質する欠点を持っています。
油と活性酸素と過酸化脂質が身体に悪影響する問題を様々に論じることで、悪者イメージが作られてきました。

例5.アルコールのイメージ

化粧品に使用されるアルコール類は様々な性質を持つものがあり、用途も色々です。
溶剤として使用される以外に、殺菌、収斂、乾燥促進、逆に油性原料として、保湿剤としてなど様々な目的に使用されます。
アルコールの性質は使用形態・使用目的次第で、肌に良くも悪くも作用するものです。

例6.定義のあいまいな言葉の利用

化粧品に使用されるもので天然のものといえば、水と一部の香料、微量に配合される○○エキスといったものです。
しかし、これらも安全なように普通は化学処理されたものが使用されます。
その他の主要成分の原料は、天然・人工に関わらず、化学的に合成されたものです。
あいまいな言葉:自然化粧品、天然、合成、植物由来、動物由来……

 
 
《《C

合成といえば何となく悪いイメージがあるね。
それで、「合成○○は使用していません」なんて言ってたわけだね。
ところが、やはり合成されたものではないかということで、「植物性の原料で作った○○」なんて言い出したわけか。
考えてみれば、もともとの原料で天然でないものなんて、あるはずがない。
神や仏であるまいし……何に惑わされてたのかネー。

《《A

パターンが読めてきたわ。
悪いイメージがあるものを探し、それを使用しないで、その成分の悪い面を徹底的に解説するわけですね。
もちろんその時は、化粧品に使用される基準は前提にしない内容で良いわけです。

S》》

ハイ、今日の授業はこれまで。

全成分表示が、スキンケア製品の成長と発展につながることを祈りましょう。
でもそれを支えるのは、あなた達の知識・視点の高まりが必要であることを忘れないように。

 
 

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