美人湯で美肌になる?肌と温泉の関係

温泉を楽しむ女性のイメージ

季節の変わり目には、肌トラブルの相談が俄(にわか)に増えてまいります。

今日の美肌塾では“このみ”さんの相談を材料に講義をします。ちょっぴり納得のいかない体験をされたようです。

“このみ”さんのご相談

いつも相談にのっていただきありがとうございます。
さてその後ですが、あまりよい報告ができないでいます。(涙)

徐々にぶつぶつも少なくなってきたような感じもして、肌も少しやわらかくなった?かな、というところまできていましたが……。

2週間くらい前に温泉に行って、あれ!何か顔が痒いと感じ、その後につけた化粧水も痒いと思ったら、翌日にはまた元の悪い状態に戻ってしまい、未だに回復の兆しがありません。こんなことってあるのですかね?
温泉って、肌に良さげな感じですけどね~。

これだけ気をつけているのに、なぜ良くならないのか、もう落ち込んで外にも出たくない気持ちです。

温泉の効用は、昔からよく知られています。否定する人はいないでしょう。身体を温めるのは、免疫能を高め、自律神経を癒やし整え、血液の循環をよくして、ホルモンバランスにまで良い影響を与えるのですから、肌にも身体にも良さそうに思えます。現代医学ではなしえない奇跡が起きたとしても不思議ではありません。

現代医学の発達していない頃には、湯治を目的に温泉に長期逗留する習慣がありました。古来より温泉は最高の湯治場だったのです。

しかし、「何が何でも、とにかく温泉はよい」ということにはなりません。

“このみ”さんの場合、肌に敏感な傾向が元々あったのでしょう。温泉を利用することで、敏感肌がさらに一歩進んでしまったようです。

次項で詳しく解説しますが、肌にとって温泉には功と罪があります。そして、敏感肌の場合、この罪の影響を受けやすいのですね。

“このみ”さんにおいては、炎症を伴うトラブルを起こしやすい敏感肌だと自覚し、下記講義を参考に、今の状態に合わせたスキンケアにします。

まず、過敏肌からの脱出を

同時に、炎症や痒みを起こしたりと敏感さを司っているマスト細胞をこれ以上騒がせないよう、注意した肌管理を行いましょう。

敏感肌を長引かせているのは何? マスト細胞を活発化させる3つの刺激

さて今日の美肌塾では、“このみ”さんが陥ったような悲劇を避けるために、「肌と温泉」にテーマを絞って進めていきます。ぜひ温泉の適切な利用法を知ってください。

温泉のpHと肌の関係

pHとは、酸性~中性~アルカリ性の度合いを示す値で、0~14の数値で表されます。例えば、pH7が中性で、pH7未満は酸性、pH7を超えるとアルカリ性となります。さらに酸性を弱酸性と強酸性に分けてみる方法もあります。アルカリ性も弱アルカリ性と強アルカリ性に区分されます。

弱と強の境界は特に決まっていませんが、当講義では、次のように分けて解説します。

pH早見表
0 ≦ pH < 3 強酸性
3 ≦ pH < 6 弱酸性
6 ≦ pH ≦ 8 中性
8 < pH ≦ 11 弱アルカリ性
11 < pH ≦ 14 強アルカリ性
酸性泉

肌のpHは5.5前後で弱酸性です。pHが6を超える乾燥気味の肌。逆にpH5未満だと脂っぽい肌でしょう。肌状態によって多少の差はありますが、弱酸性の泉質なら肌に悪影響を与えず、ゆったりと入湯を楽しむことができます。

泉質によっては、pHが2前後の強酸性泉もあります。これは健康な肌でも長湯は禁物、仕上げ湯といって数分間入湯するだけにして、上がったあとはよくすすぐのが基本です。強酸性泉の場合、殺菌効果が高く、角質を剥がす傾向も高くなるので、様々な菌疾患皮膚炎の治療に使われたり、ガサガサした硬い肌の改善に使われたりします。

しかし既に肌が敏感になっている場合、治療どころか、逆に炎症を促進する可能性があります。サッポーはお薦めしない泉質ですが、上手く利用すれば、治療効果の上がるのも事実です。いずれにしても、長湯は厳禁、入浴回数は日に2度までにしましょう。

弱酸性~中性泉

pHがこの範囲だと、特にpH値に伴う注意事項はありません。

弱アルカリ性泉

よく美人湯(美肌の湯)などと銘うった温泉がこれです。入湯し、しばらくして、手のひらで肌を撫でると少しぬるぬるした感触が伝わり、肌も柔らかくなって、するするした心地よい肌触りを感じます。洗い上がりの肌も実際に柔らかくなっています。美人湯といわれるゆえんです。

しかし、このぬるぬるすべすべ感は、硬い角質が取れて柔らかい角質が最表層になったことを意味します。つまり、穏やかなピーリングが行われているのです。温泉ピーリングとでも呼びましょうか。

敏感な傾向のある肌に禁物なのがこれら美人湯です。その時はよくなったように感じても、さらなる敏感肌に一歩踏み込んだ危うい状態です。気に入って、長湯したり、何度も入ったりしていると状態は悪化の一途を辿るでしょう。

一方、敏感さのないそこそこ健康な状態なら、穏やかなピーリングで、肌が柔らかくなり、感触も良くなります。浴後の肌をボディ乳液等でしっかり保護しておきましょう。長湯や入湯回数が過ぎない限り、ピーリングのマイナス面は回避出来ます。半年に一度くらいの利用なら、丁度良い刺激となり、ターンオーバーに悪影響も与えないで済むでしょう。

強アルカリ性泉

石けんのpH値が10~11未満ですから、pH11~14はもう危険と言うほかありません。少し浸かるだけで肌はぬるぬると溶け出します。浴後にいくら乳液やクリームを付けたとしても、確実に乾燥肌に傾いていきます。健康な肌でも運が悪ければ、一気に不安定な敏感肌に転落です。

以上、温泉のpH値から、肌との関係、利用の仕方と限界を理解頂けたらと存じます。温泉pH値はたいてい表示されているので、注意して事前に確認しておきましょう。

お湯の温度と肌の関係

41℃~42℃程度に調節されたものが一般的な温泉の湯温です。それとは別に43℃を超える浴槽や、逆に40℃以下あるいは38℃ぐらいの浴槽が用意されていることがあります。
さて、肌に適した湯温はどのくらいなのでしょう?

意外に思われるかもしれませんが、40℃を超える湯温に浸かっていると、角質と角質を繋いでいる細胞間脂質が徐々に溶け始めます。41℃を超えると、さらに加速します。43℃以上は肌の自殺行為といえるでしょう。

このように熱いお湯に浸かると角質剥がれが効率よく進行してしまいます。美人湯と言われる弱アルカリ性泉なら、アルカリと湯温の刺激で、かなり強いピーリングをしたのと同じです。

これでは、瞬間的な美肌を実感出来ても、そのあとすぐに後悔することになるでしょう。

サッポーのお薦めは、38℃くらいのぬるーい温泉に浸かり、身体の芯から温まる方法です。肌の健康にも、身体の健康にもよいのです。また、このじわじわと温まるのが免疫機能にも良い影響を与えます。10分、15分、20分程度の長湯でも大丈夫です。

高熱を出しているのと同じ!?

既に敏感肌が昂じている人は、このようなぬるい湯以外に浸かってはなりません。身体が温まり、身体を循環する血液が39℃、40℃になると、免疫機能が高まりすぎて、肌自らが炎症反応を起こし始めるのです。風邪やインフルエンザに罹患して、高熱を出して治そうとしているのと同じなのですね。

楽しいはずの温泉旅行、温泉巡りを実りあるものにするためには、今日の講義知識をしっかり自分ものにしておきたいですね。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 酸性泉やアルカリ性泉が与える功と罪を知る
  • おすすめの入浴法は38℃台の湯温でじっくり温まる
黒板に注目!

編集後記

温泉いいですよね。泉質や湯温に気をつけながら、私も楽しんでます。

でも、本当の美人湯は、自宅でも作れそうです。毎日のことですから、積み重なると大きいのですね。

「サッポー美肌塾」第190号 / 2004年9月24日 発行


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