流動パラフィン(ミネラルオイル)は発ガン性物質なの!?

よくある毒性化学物質のイメージ

本日は「流動パラフィン」に関する、紛らわしい・振り回されがちな情報を紹介します。
流動パラフィンに限らず、他の成分に関しても、どこかでこの種の情報を耳にしたことがあるかもしれませんね。

情報が氾濫する時代ですから、個人個人が正しく取捨選択する必要があります。でも、どのように考えれば良いのでしょう。

今回は“Chococat”さんから頂いた質問を題材に進めていきます。

○○(流動性パラフィン)には発がん性が!……“Chococat”さんの質問

あるメーカーのハンドクリームを買おうとしたら、添加物として流動パラフィンが使われていました。以前サッポー美肌塾で鉱物油のワセリンについて、ワセリンは肌に浸透しないということを書かれていましたが、同じ鉱物油の流動パラフィンについては、いくつかのサイトで発がん性についての報告がされているようです。
もしそれが本当だとすれば、流動パラフィンが(サッポーで)使われている理由は何なのでしょうか。教えて下さい。

うーん、この種の情報は多いですね。

  • ○○には発がん性が!
  • △△には毒性がある!
  • 鉱物油は……
  • 界面活性剤は……
  • 等々です。

もし、これらの情報が、化粧品に使用された場合の事実であれば、今頃、TVのトップニュース、新聞の一面を飾る大ニュースになっているはずです。今回取り上げる流動パラフィンも、医薬品や化粧品に広く使用されている信頼される成分の一つ、影響は甚大ですからね。

では、どうしてこのような情報が巷には溢れているのでしょうか。

ネガティブキャンペーンのイメージ

アメリカ大統領選挙での非難合戦を揶揄して、ネガティブキャンペーンという言葉が有名になりました。対立候補のイメージを落とし、自分を相対的に良く見せる手法です。

化粧品ならさしずめ、○○という成分はダメ!というレッテルを貼って、○○を使用しないこの製品ならイイですよ、というやり方です。サッポーはネガティブ商法と呼んでいます。

そういう訳で“Chococat”さんが気にする必要など、これっぽちもありませんよ。

ということで、質問への回答とします……では叱られそうですね(^_^;)。
もう少し掘り下げてみましょう。

流動パラフィン(炭化水素)とは

化粧品で使用される成分名としては、ミネラルオイルと表記されることの方が多いです。流動パラフィン=ミネラルオイルです。

そして、石油を蒸留し精製して得られるものに、誰もがご存じのワセリンがあります。実は、このワセリンは、流動パラフィン(オイル)と固形パラフィン(脂質)の混合物なのです。液体状のものだけを抽出したのが流動パラフィン=ミネラルオイルというわけです。

ずいぶん昔の話になりますが、石油精製技術が低かった時代に、よくない不純物が微量に存在したため、化粧品に使用されてトラブルが多発したことがありました。しかし精製技術が発展した現代では、むしろ、より安全な保護剤として使われるようになっています。

酸化変敗することが少なく皮膚に浸透しにくいため、安全性に優れるので医療用の皮膚保護にワセリンが多く使用されるようになっています。ワセリンを基材とした軟膏状の医薬品が多くあります。植物油は不純物が多く安全上のリスクが高いので避けられます。

流動パラフィンはサッポーの製品でいうと、クレンジングクリームに使用されています。クレンジングクリームを構成する12種類のオイル成分の一つとして、ミネラルオイルの名で使用しています。皮膚への浸透性が悪いため、各オイル成分に取り込んだ様々な汚れを浸透させず、肌上に留め、洗い流しやすくする役割を持たせています。

流動パラフィンは炭化水素類のオイルですが、この炭化水素が発ガン性物質になり得るものとして知られています。スクワランも炭化水素そのものです。

しかし、化粧品成分として使用された場合に、発ガン性物質として機能すると言うことではけっしてありません。またそのようなデータもありません。

本当に発ガン性物質と認定されたものなら、必ず薬事法で禁止成分とされるので、日本の企業は一切配合することが出来ません。

では、なぜ発ガン性が!なんて言うのでしょうか。

発ガン性物質といわれるものの実態

この種の規制は国際的にも取り組まれており、現在発ガン指定物質として118、発ガン性が合理的に推定される物質として79、発ガンの可能性がある物質が289、計486の物質が指定されているそうです。(2016年7月時点)※国際がん研究機関(IARC)参照(外部リンク)

しかし規制されていないものの、発ガンの可能性がある物質としては数千種類以上のものが確認されており、流動パラフィンもここに分類されます。これら全てを規制の対象にしていたら、私達は生活困難どころか、飢え死にしてしまうことになります。

ガンは、活性酸素によって細胞核の遺伝子に異常が起き、引き起こされるのですが、活性酸素を発ガン性物質と呼ぶわけにはいきません。そのため、活性酸素を体内で大量に発生させるものを、ガンの引き金になる可能性があるとして発ガン性物質と呼ぶことになっているのです。

牛肉やコーヒーはIARCのリストの中にあり、流動パラフィンやスクワランを肌につけることと比べたら、比較にならない危険な発ガン性物質と言うことになります。しかし牛肉やコーヒーを発ガン性物質だから食べたり飲んだりするのはやめようという人は少ないでしょうね。

いつも食べているこれもあれも、発がん性物質!?

2015年にIARCが加工肉(ハム、ソーセージ等)を「発ガン性物質」に分類し、業界や消費者に混乱を招きました。でも、だからといって販売が禁止されたり、全く食べてはいけないということにはなっていません。このニュースを受けて日本WHO協会も以下の様な発表をしています。

加工肉等の発がん性分類について(外部リンク)

話は戻りますが、活性酸素は、私達が呼吸しているだけで体内に生じる仕組みになっています。これだってガンを引き起こす可能性は、「0」だとはいえません。しかし呼吸による発ガンを心配する人はまずいないでしょう。活性酸素による老化や、その他の様々な病気を予防することの方に一生懸命になるのが私達普通の人ですね。抗酸化作用のあるビタミンEやビタミンC、その他を摂取して、老化や病気を防ごうというわけです。もちろん発ガン防止にも貢献しているでしょう。

肌でいえば最大の発ガンリスクは紫外線です。無防備に紫外線を浴びると肌内部で大量の活性酸素が発生しているからですね。でもガン防止を意識して紫外線対策をしている人は稀でしょう。日焼け防止、しわ防止、シミ防止といったところです。それで十分だと思います。

もちろん、常に太陽の下でお仕事をされている方を同列に言っているのではありません。この場合はガン防止に、紫外線対策が必須です。

研究上のデータと現実は区別する

時々ニュースなどで、○○の食品添加物に発ガン性物質が見つかりました……といった報道を目にすることがあります。ですがそれは、その物質に「発ガン性があることが推定される」という貴重な研究成果の報道であって、その食品添加物を使ったものを食していると、発ガンの可能性がある…ということを断定するものではありません。

実際に発生しているガンの原因物質として推定されるものは、普通の自然食品や喫煙、飲酒が全体の95%を占めるとされ、食品添加物は今のところ一切含まれないそうです。物質以外に精神的なものも影響しているそうですから、ガン発生の真相はというと、依然としてベールに包まれた状態なのです。

このような状況にある発ガン性物質(らしきもの)をネタに、ネガティブキャンペーンを真似た情報発信が多いので注意しましょう。悪者を作り、自分の薦める商品を良く見せるネガティブ商法です。

過去に化粧品業界では、鉱物油、添加物、香料、表示指定成分などといった言葉が、その種の販売手法によく利用されていました。化粧品については2001年より全成分表示が義務化されたため、この手の方法があまり通用しなくなり、急速に減少しました。しかし、懲りない人達が復活させるんですね。ネガティブ商法が便利だからでしょう。

このようなネガティブ商法は、これからも繰り返されていくと思われます。無視しましょうとは言いませんが、少なくとも振り回されないための知識を得ておくのが、賢い消費者でしょう。

いかがでしたか?

様々に気になる情報が氾濫していますが、いつしか関係のない情報に、囚われ、振り回されている自分がいます。振り回されないための雑学こそ大切なのかもしれませんね(^_^)。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 流動パラフィン = ミネラルオイル ≒ ワセリン
  • 真実かどうかは、発信元の確かなニュースでチェックする
黒板に注目!

「サッポー美肌塾」第216号 / 2005年4月15日 発行


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