アルコールの効用と弊害、香りとの関係

アルコールの功と罪を再確認

化粧品、特に化粧水の多くに含まれるアルコールに関して、よくスキンケア相談室にも相談を頂きます。

アルコールは、成分表示を見るとエタノールとか、変性アルコールなどと表示されています。そして多くの化粧水には、水に次いで構成比が高くなっています。

アルコールには優れた機能がある一方で欠点もあります。一定の条件が満たされると、刺激物として働いてしまうところです。この欠点がアルコールに対する様々な誤解を生んでいます。

もう一つ、欠点か長所かは判りませんが、アルコールには香りを変えてしまうところがあります。実際に香りそのものが変わるわけではないのですが、アルコールの配合加減によって、香りに強さと広がりを与えるのです。

サッポーも化粧品に香料を使用していますが、この香りは香料だけではありません。原材料(成分)の臭いと混じった、匂いであるわけです。

今回は、アルコールについてこのような点を解説していきます。

アルコールの効用と弊害

ほとんどの化粧水には、アルコールが基材として使用されています。そのもっとも大きな目的は、様々な成分を溶かし込む受け皿(溶剤)です。

このように、アルコールは化粧品の品質を安定させ、完成度を高める優れた成分なのです。

またアルコールには、溶剤以外にも様々な効用があります。代表的なのは、消毒に利用されるように、清浄や殺菌作用でしょう。肌を収斂させたり、乾燥させる作用があります。

しかしこれらの効用は、裏返すとリスクとも言えます。

例えば注射の時、消毒用に使用されるアルコールは、濃度が70%くらいあります。含ませた脱脂綿で2~3度皮膚をこするだけで赤くなるのは、多くの方が経験されます。アルコールには刺激があるのですね。殺菌力が強く、マジックインキなどをある程度溶かしたりもします。

アルコールといえばお酒

同じアルコールでも濃度が15%程度しかない、ワインや清酒に殺菌力はありません。従って、飲んでも注射の時のような刺激を感じることもまずないでしょう。

ところが15%位の濃度でも、肌につければ、収斂させたり、乾燥させる方向に働きます。アルコールの蒸散作用で、肌の温度を下げ、引き締めるのです。そして、同時に肌の水分を一緒に気化させるので、さらりとした状態になります。

多くのさっぱり系の化粧水には、丁度これくらいのアルコール濃度が使用されています。一方、しっとり系の化粧水には、10%程度のものが多く、このような作用はありません。

ところが、肌の状態によっては10%でも弊害となり得ます。それは、乾燥ダメージを受けたり、何かが原因で敏感傾向が出ている、つまり、バリア能力が低下している状態です。

この時、化粧水が角質層を超えて肌内部に入り込んでしまうので、肌が炎症反応(免疫反応)を起こします。

いつもは気持ちよく使っていたのに、ある日化粧水をつけると、ピリピリや赤みが……という経験はありませんか?しばらくすると引いていくので、たいていは事なきを得るのですが、肌状態によっては、翌日以降に炎症反応を引きずる場合もあります。

化粧水の成分の中でもアルコールは、肌に反応しやすい部類に入ります。なので「アルコールの配合された化粧水は使用しない」という決断をする人も出てきます。肌に良くないと思いこんでしまうわけです。無理はありません。アルコールフリー化粧品の人気も頷けます。

でもサッポーでは、「欠点もあるが、化粧水本来の良さを高める長所もあるのだから、欠点を小さくし、長所は活用すべき」と考えます。

サッポーのしっとりタイプ化粧水のアルコール濃度は標準的な10%程度です。

さっぱりタイプの化粧水については、一般的な15%前後ではなく、その1/3の濃度、しっとりタイプの1/2、つまり5%程度にまでアルコール濃度を低下させています。これが敏感肌の方にも好まれる理由です。

このようにアルコールの長所と欠点、また欠点が表れる場合を知っておくことは大切ですね。

アルコールと香り

次に、アルコールと香りの関係を見ていきます。

アルコールは化粧水の香りにも影響を与えます。その蒸散作用が引き立たせ、香りを強く感じさせる性質があるのです。時間が経過すると落ち着くのですが、どうしても最初の印象が強く残ります。これは微香タイプの化粧水であってもです。

化粧水の香りはアルコール?

つまり、本来の香りではなく、つけた直後にアルコールで強く香る“香り”をその化粧水のものだと錯覚してしまいます。

また嗅覚が優れていて、アルコールそのものをかぎ分けられる人もいます。この場合は、香りが引き立つと言うより刺激臭として感じられているのです。

実際には、香りに対する好みや感受性が異なるため、強く感じる方から、そうでもない……という方まで様々なのですが、アルコールが香りに与える影響にはこのような特徴があります。

いかがでしたか?
化粧品だけではなく、私達の生活に馴染みの深い「アルコール」を題材に講義を進めてまいりました。

アルコールに対する見方、変わってきたでしょうか。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 化粧水の成分としてはアルコールは有益、でも多いと肌に弊害も
  • 化粧水を付けた瞬間の香りは、アルコールが引き立てている
黒板に注目!

編集後記

マイナス面が目立ちがちなアルコールですが、化粧品に利用されるのは、きちんと理由があるのですね。

効用より弊害ばかりを見ていると、何か大事なものを失ってしまいそうですね(^^;)

「サッポー美肌塾」第338号 / 2007年10月24日 発行


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