肌を洗浄したら、次は水分を肌に与え、肌の代謝にとって優れた環境作りです。
また不揃いになっている肌表層をきれいに均し、柔らかさ・しなやかさを作り出します。
この役割をする中心はただの水ですが、水だけではすぐに蒸発し、かえって肌を乾燥させるので、水分を捉えて離さない保湿成分が使用されます。
サッポーはこの作業を、肌を良い状態に整えることから「整肌」と呼んでいます。
肌が、慌てずに育つことが出来る環境です。
サッポーではこの役割を化粧水と美容液に持たせていますが、市販されているこれらの役割を果たす製品には様々な名称が使われています。
しかし、このケアステップに於ける必要な共通ポイントは、当然高い保湿力と、保湿された肌の快適な状態作りにあります。
快適でなければ継続するのは困難ですからね。
はい、ここまでが「化粧水等保湿製品」が果たすべき役割です。
「この程度なら、たいていの化粧水は備えているのでは……?」
その通りです。
余り芳しくないものと、まずまずのものと、とても良いものがあるだけです。
基本的な能力は備えているものばかりと言って良いように思われます。
完成度の違いだけでしょう。
あるいはディーゼルエンジン車とガソリン車、そしてハイブリッド車の違いのようなものでしょうか。
「要するに使ってみて気に入ったものを使用すればいいわけね。」
そのようにサッポーは考えています。
しかし危惧すべき点があり、これは選択においてしっかり押さえておきたいところです。
危惧すべき点とは、余計な能力を持たせたものが、肌が育つ邪魔をしているケースが多々あることです。
角質を剥がれやすくする傾向が出てくる製品です。
例えば、肌を柔らかくすることは好ましいことですが、角質を剥がしたり、角質が剥がれやすくなることを代償に柔らかくしている場合です。
角質細胞及び角質層の水分が豊富であれば肌は柔らかい状態になるのですが、その効果以上を狙った製品があります。
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ピーリング作用のある成分が利用されたり、角質を分解する作用のある尿素などが利用されたりします。
ある特定の状態にある肌、例えば過敏さは出ていないが、荒れてガサガサ硬くなった肌が、一時期使用すれば、効率的に肌を良い状態に導くことが出来る…といった一局面における効用は否定しません。
しかし常用すると、着実に肌の育ちにブレーキをかけ、さらに続けると後退(未熟化)が進行します。
そして様々な見映え上の問題だけでなく、肌が過敏さを伴うようになっていきます。
肌にとっては迷惑なお節介であるわけです。
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また化粧水にはアルコール(エタノール)が基材として使用されますが、アルコールは一定濃度を超えると、両刃の剣になります。
さっぱり系の化粧水や収斂化粧水、拭き取り用化粧水などは、アルコールがかなりの高配合になっており、肌がダメージを受けている時などに使用すると、強い刺激を感じ慌てた経験のある方は多いはずです。
男性なら、アフターシェービングローションがそうです。
10%程度のアルコール濃度なら、マイナス作用の現れることは少ないのですが、15%を超えるあたりから、使用できない肌が増えてきます。
30%を超えるもの、50%を超えるものまであります。
アルコールは清涼効果・清浄効果、そして殺菌効果や消炎効果が期待できるものですが、時には炎症を促進するものとして働く場合があるということです。
この様なアルコールの危惧は、育った肌であれば何も問題ないので、肌の状態を教えてくれる判りやすい指標にもなるものです。
しかし、サッポーが本当に危惧するのは、肌の状態によっては、角質の剥がれを促進していく傾向を作りやすいという点です。
細胞間脂質(セラミド等)を溶かし、つながっていた角質が離れやすくなるのです。
それがターンオーバーの周期を短縮する方向に働き出すと、肌の育ちにブレーキをかけ始め、その傾向は少しずつ亢進していく性質を持ちます。
過敏さが現れるようになって初めて気づくことが多いのです。
肌の未熟化がかなり進行してしまってから気づくのです。
以上の2点が化粧水等の肌を整えるアイテム選択時において、注意すべき主たる項目です。
ただし、その他保湿する効果以外に何か特殊な効果を強調している場合、
「角質のはがれを促進するものではないか?」
という点をよく吟味して判断することが求められます。
それは肌の育ちにブレーキがかかることを代償に、今をよく見せる、今をよく感じさせる…といった製品になっている可能性が高いと知るべきです。
アルコールの持つ弱点部分についてお話ししましたが、「だからノンアルコールの製品がよい!」「アルコールフリーがよい!」といった極端な個性を売り物にする製品が出て来たりします。
それはアルコールの持つ長所を抜きにした案内になっているもので、いたずらに振り回されるのもよくありません。
塩加減、味加減といったところです。