敏感肌の原因!?マスト細胞が暴走するとき

イメージ画像:敏感肌に悩む女性

敏感肌と一口に言っても、その程度は様々です。今日の講義は、すぐに赤みが現れたり、湿疹やかぶれ症状に悩まされることの多い肌が対象です。このような自他共に認める敏感な肌から脱出するために、知っておくべき重要な知識をお伝えすることにします。

本論に入る前に、炎症を起こすキーマンであるマスト細胞について、少しかじっておきましょう。

寝ずの見張り番…マスト細胞は肌を守る連絡係

赤み等、炎症を起こす肌は、例外なく未熟な角質で作られたバリア層になっています。そして炎症反応(免疫反応)が多発するようになると、肌は一つひとつの細胞が育つことよりも、未熟で弱くてもいい、早くバリアーを作って守ろうとします。しかし、バリアーが未熟ゆえ、またすぐに炎症を繰り返す……。

そもそも、このような炎症反応はどのような仕組みで起こっているのでしょうか?
ここで登場するのがマスト細胞、肌防御システムの要として働いている免疫細胞です。

皮膚においては、表皮層直下の毛細血管やリンパ管などの結合組織周辺で、何か危険が迫っていないかと見張り番をしている細胞です。この細胞の発する信号が原因で、何らかの異変を私達に報せているのです。

中でも重要な働きは、「あっ、危ない!」という時に毛細血管やリンパ管に信号を送り、白血球などの免疫細胞を血管から漏出させ、炎症を起こす準備から戦いの実行まで、いわゆる免疫システムを働かせる連絡係をすることです。

実際に戦いが始まると、赤みだけでなく、膨らみや、赤い膨らみ、湿疹が出来たり、時には化膿します。

このような炎症反応は、すべてこのマスト細胞の連絡によって引き起こされているものです。痒み、ニキビ・脂漏性皮膚炎の赤み、アレルギー性皮膚炎も同じです。

また肌の敏感さが高じると、原因がよくわからないままに、炎症反応が現れたり、消えたり、とにかくすっきり治ることなく、長く付き合うことになります。

マスト細胞、正義の暴走

マスト細胞は血液やリンパのような結合組織周辺に存在しているだけではなく、粘膜組織にも存在しています。気管支喘息などの発作を起こさせるのもこの細胞が仲介役を果たしています。

私達の身体に害を与える存在のように思えますが、実はそうではありません。いずれも、私たちの身体を守るために必要不可欠な働きなのです。

敵が来たぞー!

危険な汚れや雑菌、アレルゲン等の侵入に対する正義の行動であればよいのですが、問題は無害なものにもマスト細胞が反応してしまうことです。いつの間にかマスト細胞が神経質になっており、ちょっとしたことで過敏・過剰に働くようになっているのです。見張り番が鳥の羽音に驚いて「敵が来たぞー!」と叫んでいるのに似ています。

ただ、このマスト細胞によって免疫機能が働き、健康が守られているのですから、「こんな細胞要らない!」というわけにもいきません。この疑い深く、神経質になり過ぎたマスト細胞を責めるわけにいかないのです。

働かなくてよいと命令しても聞いてくれませんから、しばらくの期間は、何とかマスト細胞が騒がないように、腫れ物を触るような気持ちで、優しく接してあげるより方法がないのです。その一方で、肌が少しずつでいいから、育っていけるような環境を作ることです。まさにここがポイントです。

この“何とか騒がないように”がしばらくの期間、維持できると、マスト細胞は次第に安心し、あまり過敏・過剰な反応はしないようになります。イザッという時だけ瞬時に活躍する本来の見張り番に戻るわけです。

また、マスト細胞が騒がず、炎症反応(免疫反応)が減少すると、バリア層は順調に強いものになっていきます。肌が育つ好循環に入るのですね。

いかがですか?
マスト細胞の働きや、暴走・沈静化する様、何となく思い描けたでしょうか?

では、マスト細胞が過剰に反応しなくなり、炎症を起こらなくするには、具体的にはどうしたらよいのでしょう。次で解説していきます。

マスト細胞をおとなしくさせるスキンケア

ここでは、炎症が多発するようになった過敏な肌を改善していくケア手順を、簡単に紹介します。自分の肌に当てはめて考えてみましょう。

肌の洗浄 …朝・夜共通

1.すすぎ洗顔のみ

超過敏な肌はここから始めることになります。

2.クレンジングクリームを優しく塗り伸ばす + すすぎ洗顔

指をクルクル滑らせるだけで肌が反応してしまう場合は、このステージから始めます。

肌を湿らせ(顔を洗い)て、肌表層が水分を含み柔らかくなってから、クレンジングクリームを塗り伸ばして、そのまま3分間待ちます。ある程度の汚れが浮き上がっています。あとは優しくザッと洗い流して終了です。

3.クレンジングクリーム +すすぎ洗顔

敏感肌の多くは、このステージの洗浄法から開始することができます。

肌を湿らせ(顔を洗い)て、肌表層が水分を含み柔らかくなってから、クレンジングクリームを塗った肌に、指をクルクルと軽く優しく滑らせながら汚れを浮かせます(1~2分)。あとは優しくザッと洗い流して終了です。

4.クレンジングクリーム+石けん洗顔+すすぎ洗顔

洗浄剤である石けんの使用が許されるのは、この段階からです。
このステージの洗浄法が可能なのは、もう敏感肌から脱した肌なので、ここでの説明は省略いたします。

サッポーが推奨するクレンジングクリームが必須条件

1.のすすぎ洗顔のみで実行し、肌が安定していたら、次ステージの2.のようにして試してみましょう。ある程度水分で肌をふやかして使用すると、異物も侵入しにくく、クルクルの物理的刺激も緩和されます。いきなり、3.から始めることができる敏感肌も多いでしょう。

肌の様子を見ながら、このようなステップで洗浄のステージを上げていきましょう。特に4.のステージに上げる時は慎重に判断します。もし過敏な反応が見られたら、すぐに元へ戻し、再びステップアップの機会をうかがいます。

使用出来るスキンケア製品の考え方

化粧水

バリア層を超えて侵入しやすいので、しばらく使用中止

乳液(orクリーム)

時間をかけて侵入することがあるので、化粧水同様、やはり使用は中止

エスカバー(サッポーの敏感肌用クリーム)

侵入しにくいクリームなので、ある程度までの敏感肌は、使用が可能

ワセリン

肌に最も侵入しにくい。エスカバーに肌が反応する場合、これのみ使用

UVケア製品

紫外線吸収剤使用の製品や、ウォータープルーフ機能の高いものは使用不可

このような考え方で化粧品を利用します。医師に処方された医薬品を使っている場合も上のスキンケアと併用できます。

敏感な肌は、化粧品がバリア層を超えて肌内部に入りやすい状態なので、いつ炎症反応を起こすかわかりません。反応すれば後退が大きくなり、反応が少ないと早い回復の助けとなります。

反応(赤みや強い刺激等)が少しでも見られたら、直ちにエスカバー使用をやめ、ワセリンだけの使用にします。大丈夫なら、当分ワセリンだけのケアとします。そしてエスカバーが使えるようになるまで待ちます。

また、紫外線に対する対処が必要です。いずれの製品も使えない場合、帽子や日傘などで紫外線を避ける工夫をします。

このように、肌の過敏な反応に注意しながら、スキンケアを少しずつレベルアップしていく方法が、着実に改善期間を短縮させます。マスト細胞が落ち着きを取り戻し、多少のことでは騒がなくなります。

マスト細胞をおとなしくさせる生活習慣 ~湯温について~

マスト細胞の神経質さは、異物の侵入に対し信号を発するだけではありません。冷気や熱、そして物理的な力の刺激にも反応するケースが多いのです。

とにかく、一度騒ぐようになったマスト細胞というのは、人一倍神経質だと意識する必要があります。誰だって神経質な怒りん坊さんには、腫れ物に触るように、気を遣うのではありませんか?

何と言っても、彼らは免疫機能を発動するという正義の戦いをしているつもりなのですから、気障りなことをしてはいけないのです。これくらいなら、文句は言わないだろうではいけません。

ここでは意外に気づかない、熱に対するマスト細胞の反応について案内します。

お風呂の湯温には要注意

それはお風呂です。湯船やシャワーの温度です。読者の皆さんが利用している湯温は、低くて40℃、高いと42℃以上のケースが多いようです。

断言します!!

敏感肌の方が40℃を超える湯温で利用していると、けっしてマスト細胞は安定しません。ここは思い切って、健康法でよく紹介される半身浴に倣い、38℃台にしましょう。

「顔まで浸かるわけではないから、40℃でも大丈夫でしょ?」……などと思っていたら、大間違いです。

身体で暖められた血液は体中を巡ります。顔で冷やされ、体温の異常な上昇を防いでいるのです。顔に拡がる密な毛細血管網は熱を集め冷やす為に大働きしています。つまり、その周辺にいるマスト細胞達は、雷や地震に火事が同時に発生したような恐怖を感じているのです。

毎日の入浴が敏感さを維持する役割になっています。これは悲劇です。

いかがでしたか、マスト細胞の気持ちが少しは伝わったでしょうか?

いきなり38℃台の入浴に切り替えるのは、勇気が要りますが、実行してみたら、38℃台でも十分に暖まることを発見されるでしょう。浴室を暖めるのが寒くないコツです。温水プールは水温30℃ですが、室温も30℃ぐらいが確保されているのです。なので、夏に始めるといいですね。

しかし、風邪をひいてもサッポーは責任を持ちません。自己責任でよろしくお願いします。

今回は湯温について解説しましたが、他にも注意しなければいけないことがあります。

詳しくは下記講義をお読みください。

参考:「敏感肌を長引かせているのは何?マスト細胞を活発化させる3つの刺激

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 炎症を起こすキーマン、マスト細胞の性質を知る
  • スキンケアや生活面において、マスト細胞を落ち着かせることが求められる
黒板に注目!

編集後記

肌が赤みや湿疹などの炎症反応を起こす元には、マスト細胞の存在があったのですね。脂肪細胞とも呼ばれ、名称としては、こちらの方がメジャーかもしれません。

マスト細胞が落ち着くと、炎症が起こらなくなり、肌が育つ邪魔者がいなくなる……という好循環が続きます。そして、この方法しか敏感肌を脱する道はないのですね。

「サッポー美肌塾」第440号 / 2009年10月21日 発行


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