肌だって癒されたい!~保湿のお話

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サッポーは、必ず保湿と保護を明確に区別しています。正しくスキンケアを伝えるために必要な区分けだからです。保湿という言葉が保護のケアも含めた使われ方がされると、毎日の手入れが不明瞭となり誤解したケアに繋がっていることがあります。

『保湿:角質層の水分保持量を増やし、表皮細胞等生体組織の良い代謝環境を作る』
(高い保湿能を有す成分で肌の保水能を高めるが、肌を乾燥から守るわけではない)

代謝環境を良い状態に保つのが保湿本来の目的です。副次効果として、肌(角質層)の柔らかさ・しなやかさを演出します。水が作るバリアーの力です。ベーシックな保湿は絶えず分泌されている汗によって行われています。化粧水や美容液による保湿能の強化は配合される保湿成分と水分の結合したものによって行われ、汗の役割を補強・補完しています。汗やただの水分を肌に供給するだけでは直ぐに蒸発、乾き、硬い肌となり、もろくなってしまうのですが、保湿成分と水分が結合すると乾きにくくなるのです。

このようにして保湿された状態が、私達の肌にとって最良の環境です。適切な代謝が可能な環境、つまり肌が育つ環境です。言い換えると、肌が最も癒される状態といえます。保湿され、しっとり・モチモチしたした状態だと気分もよく、心も癒されます。

保湿…乾燥保護のケアと汗の関係

保湿と保護はどちらが大切?!

サッポーは保湿ケアと保護のケアはどちらが大切かといった質問に対して、「保護のケアが大切」と即答で強調する場面が多くあるためか、保湿ケアの存在価値を低く理解した方がいるかもしれません。でも、けっしてそんなことはありません。

肌の育ちを積極的に支持するのが保湿ケアです。でもどんなに優れた保湿成分を利用しても、保湿された状態を長く保つことはできません。乳液やクリームなどの油性化粧品による乾燥からの保護のケアが、保湿状態が持続する必須条件なのです。

どちらかを選べといわれたら、様々な環境に遭遇する肌を考えると、守りを優先して「保護のケア」と答えざるを得ないのです。もちろん、保湿ケアで肌を良い状態に整え、保護のケアで乾燥から肌を守ることがベストであると言いたいのですよ。

保湿能力の勘違いしやすい盲点

上の説明を理解すると、保湿と保護の役割の違いがよく判ります。しかし、実際のスキンケアにおいては、錯覚しやすい障害というか、勘違いによる片手落ちなケアが生まれる土壌があります。この盲点に騙され、せっかくの保湿ケアが役立っていないケースがよく見られます。

『盲点:保湿ケアだけでしっとりした感触が持続している…乳液やクリームは必要ないと思い込む』

保湿力の優れた製品(例えば化粧水)をつけ、保護のケア(例えばクリーム)をしなくても保湿されたしっとり状態が続いているように感じ、乳液やクリームでの保護のケアは必要無しと考えてしまう人がいます。

肌が保持している水分や分泌される汗が保湿成分に取り込まれ、肌表面は潤っているが、肌(角質層)自身の水分は蒸発し続けており、水分量は減少しているというわけです。触れるとしっとり状態が持続しているように感じるので肌が乾燥しているとは夢にも思いません。錯覚ですね。保湿能の素晴らしさがもたらす勘違いともいえます。

このようなケアを続けていると、次第に肌はインナードライ(オイリードライ)に傾いていきます。これは、肌痩せが進行(肌細胞の未熟化)して肌の水分量が減少したのに応じ、汗・皮脂の分泌を活発化させて守りを強くしようとした現れなのです。

しっとりしていた保湿ケアが、ベチャベチャ、ヌルヌルする感触に変わっていきます。ますます、乳液やクリームなどの油性化粧品をつける気持ちが失せていきます。悪循環が進行します。

このような勘違いしたケアに陥ってはダメですね。肌は育ちませんよ。

化粧水&美容液による保湿加減

ここまでの解説から、保湿と保護を明瞭に区分してケアを組み立てる大切さが理解できますね。肌の保湿加減を適切に保つには、「保湿能力の調整」と「乾燥から守る加減」、この二つの機能を環境や肌状態に応じて、適切に組み合わせる必要があるからです。

保湿が大事だからと過剰な保湿でベタベタさせたくないし、ベタつきを怖れて肌を乾燥させるのも嫌だし……適切な保湿加減をどのように考えたらよいか、その判断基準を知っておきましょう。

保湿加減をどうするか

イメージ画像:化粧水&美容液
  1. その日の汗を予想
  2. 使用する化粧水を保湿能力で選択
  3. 保湿能の高い美容液の使い方を考える

汗は肌の保湿材料ですが、保湿能は持っていません。化粧水や美容液の働きで肌に留まる量が調整されます。汗の気にならない季節と気になる季節では、天と地ほどの差があるので、その日の汗を予想することは化粧水の選択や美容液の使い方に大きな影響を与えます。

1.肌がべたつくような汗をかくケース(例えば夏など)

保湿能力がセーブされた化粧水で肌を整えます。汗が多い時は原則として保湿能が高い美容液は使用すべきではありません。これで汗の肌への溜まりが軽減され、ベタつき加減が緩和されます。肌が保湿不足になることもありません。

また乾燥からの保護のケアは、ある程度汗を弾きやすい油性度の高いクリームが乳液より適しています。しかし、ウォータープルーフは行き過ぎです。かえって汗を掻きやすい敏感さを育ててしまうからです。

2.汗が少なく、常に肌は乾いているケース(例えば冬など)

保湿能力の高い化粧水で肌を整えます。保湿加減は化粧水の二度付け、あるいは美容液のポイント使いにより、肌の部位ごとに強弱をつけて調節します。貴重な汗を逃さず捉え、肌の保湿状態をキープします。

乾燥からの保護ケアは、環境により、乳液を使用したり、保護力の高いクリームにしたり、さらに乳液とクリームを重ねたりして調整します。

以上の二つの判断例を参考に、実際の保湿加減は、自分の肌環境と肌に合わせて、肌の部位ごとに試行錯誤し、調整します。自分自身のノウハウとして、この加減を掴み取ることが大切です。

以上、化粧水や美容液の選択と使い方の基本でした。

適切に保湿された状態は、肌にとって癒しそのもの。しっとり潤った肌は幸せな気分を高めてくれます。肌が育つ一番の力になるのが、保湿ケアです。


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