「フケが出て困っている」「頭皮が脂っぽくてイヤ」という頭皮トラブルに悩む人は多く、早期に解消したいものです。
しかし、間違った対処をしてしまったり、あまり適さない洗髪料を選び、さらにトラブルが悪化してしまうといった(後で思えば)誠に皮肉な頭皮管理になっていることが多いのです。
フケと頭皮の脂っぽさというとまったく別の問題と捉えがちですが、そのようになった原因の根っこは、実は同じです。その根っこ部分をしっかりと理解することにしましょう。すると対処方法も洗髪料の選び方も自然に見えてきます。
フケや頭皮の脂っぽさは、洗い過ぎが最大の原因!
現状の頭皮が良い状態で、フケもなく、過ぎた脂っぽさがなければ今行っている洗浄法や洗髪料に問題はないと考えましょう。
- フケが時々出る~フケがよく出る~いつもフケが出ている
- 頭皮が脂っぽいことがある~いつも脂っぽい~いつも頭皮がべたついて困る
フケや脂っぽさに程度の差があれども、この現れはいずれも頭皮のバリアーとしての能力が低下していることが原因です。つまり、頭皮を構成している角質層の角質一つひとつがよく育たないままに角質となるターンオーバーが続いているのです。
未熟で弱い角質だから乾きやすく剥がれやすい、これがフケです。未熟な角質が集まり作っている弱いバリアーだから、皮脂や汗を動員して守りを強くしようとします。これが脂っぽい頭皮、べたつく頭皮です。
では、なぜ頭皮の角質が未熟化してしまったのでしょうか?
この答えは角質の剥がれが予定より早くなっていることにあります。次々に剥がれていくものだから、育つ間もなく角化するようになっているからです。
それではなぜ、次々と角質が剥がれているのでしょう。
この答えが『洗い過ぎ』です。
清潔にすることを通り越して、まだ働いて貰う必要のある頭皮の角質まで洗い取っているのです。そんな馬鹿な!?と言いたくなりますが、これまでの美肌塾スキンケア相談室での数え切れないカウンセルの結果として明確に断言できる事実です。
「フケが出るから念入りに洗ってたけど、それが間違いなの?」
「脂っぽいから、しっかり洗わないと!と思ってたのに……ダメなの?」
念入りに洗う、丁寧に洗う、しっかり洗う……間違いではありませんが、いずれも洗い過ぎに通じる危険性を内包しています。そして、フケや脂っぽさをイヤだと思えば思うほどに、知らず知らず洗い過ぎの傾向が強くなってしまうようです。
「フケが出る場合と、脂っぽくなる場合があるのはどうして?」
- 皮脂腺が活発化しているところと、そうでもないところの違い
- 頭皮の乾燥環境、温度環境の違い
頭皮は顔の肌と比べると皮脂分泌量は3倍程度多いのが普通です。しかも分泌能力にはまだまだ余裕があります。だからクリームや乳液など特に必要としません。角質を必要以上に洗い取られ、バリア能が低下していけば、3倍程度ではなく4倍、5倍と分泌するようになります。そして頭皮は汗腺も発達しているので、同様に汗の分泌も多くなります。「何とかして守り抜こう!」と必死に働いているのです。
しかし、皮脂腺が発達している頭皮も分泌量には個性差があり、角質が洗い取られてバリア能が低下しても、必ずしも皮脂分泌を活発化させるわけではありません。そのような頭皮が乾燥環境にあれば、未熟な角質は乾いてカサカサと剥がれかけるのです。
顔であれば皮むけ・粉ふきですが、頭皮ではフケと呼んでいます。同じものですね。また、フケに脂っぽさが加わりカサブタのような、垢がついたような状態になることもあります。顔で言えば、脂性肌なのにかさつく、ヌメッとした脂を感じるのに硬くなって乾いている。このような肌を俗にオイリードライとか、インナードライなどと呼んだりしています。
いかがですか? 頭皮のフケと脂っぽさ、思い当たる節がありましたか?
それでは、具体的に洗い方と洗髪料に焦点を当て、日々の洗髪を見直してみましょう。
フケが出なくなり、頭皮が脂っぽくならない洗髪料と洗髪法
洗髪料の条件
化粧落としや洗顔料にはずいぶん気をつかうのに、洗髪料には案外無頓着だったりします。もちろん「髪は命!」と、高価な製品を求める人もいます。
あるいはまた、肌の洗浄に石けんがよいのだから、頭皮・頭髪も石けんというわけで、石けんシャンプーにこだわる人もいます。適切に洗えば頭皮によいことは間違いありませんが、髪に石けんはマイナス面の方が大きくなります。髪内部にアルカリが入り込み傷めるからです。
もちろんサッポーはサッポーのシャンプーを使用しておりますが、それと同様の洗浄力が控えめのアミノ酸系の界面活性剤を使用した洗髪料がフケや脂っぽさの改善には適しています。
- アミノ酸系洗浄剤もピンからキリまで、実際に使用して選ぶ
(洗った後、頭皮の脂っぽさがすっきりさっぱりはダメ) - シャンプーに髪をサラサラさせるシリコン油は不可
(サラサラの調整は、リンスやコンディショナーで行うのが基本)
上の二つの基準をクリアしていたらまずは合格です。頭皮や髪に丁度良い洗浄が行えます。
洗髪の方法と注意事項について
- 1.まず頭皮・髪に十分な湯水を流し、頭皮と髪を柔らかくします。
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予洗い(事前にたっぷりとすすぐこと)で、ある程度の汚れが取れ、洗髪料が節約できます。頭皮と髪が水を含みしなやかになることで、洗髪による頭皮と髪の傷みを減少させます。
- 2.洗髪料の泡で洗っている時間は1~2分で十分。
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洗浄剤との接触時間が余りに長くならないことがポイント。洗浄剤を長く頭皮に乗せていることそのものが角質を剥がれやすくしていきます。
- 3.髪に両手の指を入れ、1~2分優しくなで回すだけでよい。
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泡が髪同士の摩擦を少なくしているのを感じながら、頭皮や毛髪にまんべんなく泡を行き届かせたら、あとはすすぐだけです。頭皮をゴシゴシ、髪をゴシゴシ…などはけっしてしないようにします。痒い時もゴシゴシはいけません。
頭皮は指の腹で云々…とよく説明されますが、ここで誤解が膨らみ、力が入り過ぎたり、時間が長くなりすぎる原因になります。フケや脂っぽさがあると、きれいに取り除かなくては!…の思いが強いからでしょう。
よく洗浄前と洗浄後の頭皮拡大画像を見せられて、「ギョ!これはしっかり洗わなければ!」などと言ったイメージも悪影響の一因かもしれません。
泡のクッションがあり、指が頭皮に軽く触れているだけで十分とすべきなのです。フケや脂は取れなくてOK、その内にきれいな地肌になる…といった気持ちで洗髪を終了するのが改善の秘訣です。
- 4.すすぎはシャワーが便利
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すすぎのポイントは、髪と頭皮に十分な湯水を流すことだけです。手指はそのための道具で、頭皮や髪を擦るためのものではありません。すすぎもゴシゴシはタブーです。適度な勢いのシャワーが使えたら便利ですね。
- 5.洗髪に使用するお湯はけっして熱くないものにします。
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冷たい水での洗髪はお勧めしませんが、出来るだけぬるい方が安全です。体温より上なら大丈夫でしょう。とにかくぬるめのお湯が基本、肌にも安心です。
トリートメントやコンディショナーは毛の修復と保護が役目です。毛の根元部分は修復も保護もほとんど必要ありません。頭皮につける必要はありません。洗い流す時に頭皮や身体に流れるのはOKです。
以上の注意をしていただくと、毎日の洗髪でも、2日に一度でも大丈夫です。次第にフケも脂っぽさも減少していきます。けっして短期間に解決しようとしないで下さい。焦ると必ず失敗します。頭皮の育ちと共にフケが出なくなり、皮脂も汗も安定するようになります。
いかがですか? あなたの洗髪は大丈夫でしたか?
フケや脂っぽさに悩む頭皮が、上のような洗髪に切り替えると、フケが増えたようになる時期があります。また、最初の頃は脂っぽさが改善されているように思えません。
なぜなら、すぐには肌が育たないからです。また未熟な頭皮の角質が、今までより長く肌に居残るからです。未熟化した肌が育つ時の“過渡期の現象”と同じです。
このようなケアの下で、初めてよく育った細胞が角化して頭皮が作られるようになります。次第に皮脂分泌は安定し、フケ(角質)は目に見えない大きさで洗髪ごとに流されていくようになります。
ここまで到達して、悩みのない頭皮の完成です。
頭皮だって、やはり「肌が育つケア」が基本なのです。同じ皮膚ですからね。
洗髪時注意の補足
- 洗髪は、必ず洗顔より先に行う
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昼間の化粧が肌を守っている状態で、あるいは、クレンジングクリームのクリームが肌を守っている状態で、洗髪をします。顔を洗浄剤(石けん)で洗うのは、その後です。
先に顔や身体を石けんで洗うと、洗髪料の界面活性剤が顔の肌や身体に残ります。次の洗浄時まで、角質達と一緒に洗い流されるまで、界面活性剤はぴったりと肌につき、角質を剥がれやすくする遠因となります。
この“順序”はきっちり習慣にしておきましょう。 - 髪を乾かす時、熱いドライヤーの風に注意
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髪をタオルドライしたあと、自然乾燥によらない場合は、短い時間で濡れた髪を乾かしたいものです。髪が湿ったまま寝てしまったら、髪も傷みやすいし、寝癖がつくと翌日の直しが大変です。
しかし早く乾かそうと熱風を利用すると、髪は変成が始まり、劣化が早まります。ドライヤーを十分に髪から離して使用するか、熱くない風を大量にあてて乾かすのが安全な方法といえます。
- 頭皮のフケや脂っぽさは、洗い過ぎが原因になっている
- 改善は時間がかかると心得、「今すぐすっきり」は我慢する
「サッポー美肌塾」第392号
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