「肌が敏感なので、赤ちゃん用の化粧品を使っています。」
「UVケアは肌に優しいベビー用を使っています。」
サッポーに届く相談に、こんなフレーズをよく目にします。
肌の弱い赤ちゃんでも使えるのだから、大人の肌にも優しいだろう……との思いが伺えます。
実際に大人の肌に赤ちゃん用の化粧品を使うのは、どうなのでしょう?
敏感肌の人、肌トラブルに悩んでいる人は、考えたことがあるかもしれませんね。
今回は、この真相に迫っていきたいと思います。
赤ちゃんの肌の特徴、大人の肌とはどう違う?
まずは、赤ちゃんの肌の特徴を見てみましょう。
- 皮膚全体が薄く、大人の約半分
- 角質層の層数が少ない
- 汗は多いが、皮膚の水分量は少なく、バリア力が弱い
- 母親の黄体ホルモンの影響で出生後3ヶ月くらいまで皮脂が活発
- 出生後3ヶ月を過ぎると、皮脂は大人の半分以下に
一方、大人の肌は、赤ちゃんよりも角質層を含む皮膚の厚みが約2倍もあるので、本来なら乾燥や紫外線などの様々なダメージに対して丈夫なはずです。
また汗が多く、皮脂も活発になったり減ったりする赤ちゃんとは違い、大人の肌は普段からほぼ一定に保たれ、べたつくような不安定さはないはずです。
それなのに、大人の肌に乾燥やべたつきなどのトラブルが多いのは、どうしてでしょうか?
ほとんどは、スキンケアや肌管理の間違いによるものです。でも、無視できない、別次元の要因があります。次項で解説します。
20歳前後を境に肌は下り坂に
肌は18~20歳あたりが、最も代謝活動が活発で水分を保つことができ、美しく見える時期です。
そして、このピークの頃がいわゆる「お肌の曲がり角」です。ここを境に代謝活動の活発さは、徐々に失われていきます。
それに比べ、赤ちゃんの肌は代謝活動が活発で、肌の育つ力がみなぎっています。ピークに向かって、肌は育ち続け、バリア能も次第に強くなっていきます。多少の失敗があっても、赤ちゃんの肌は比較的早く回復します。
本気でスキンケアや肌管理に取り組まないといけない大人の肌とは、根本的に違うのですね。
赤ちゃんの化粧品が肌に優しい……とは限らない
弱いけれど、育つ力がみなぎる赤ちゃんの肌。
そんな肌向けに販売されている化粧品、例えば、ベビーローション、ベビーオイル、ベビー用UVケア……を大人の肌が使ってもいいのでしょうか?
結論からいえば、“全て使ってOK”です。
でも、それがあなたの肌にとって優しいかどうか、は別問題です。
敏感な状態にあれば、赤ちゃん用の化粧品がバリア層(角質層)を超えて侵入することは大いに考えられます。それを免疫細胞(マスト細胞)が危険だとみなせば、肌は炎症や赤みを作ります。
要は、肌に侵入するかどうか、肌が反応するかどうか、は大人の化粧品でも赤ちゃん用の化粧品でも、同じ可能性があるということです。
逆に言えば、大人の化粧品を赤ちゃんに使っても、バリアーを超えた侵入がなければ、炎症やかぶれの心配はありません。
赤ちゃんの肌やスキンケアについて解説した講義がありました。赤ちゃんの子育てに奮闘中の方はこちらも参考に。
赤ちゃんの肌を管理・お世話するのは、親の役割ですが、大人は自分で自分の肌を守るしかありません。
そのツールの一つが化粧品です。赤ちゃん用の化粧品を使う場合は……
- ベビーローションで肌が十分潤っているか?
- ベビーオイルで肌が乾燥からきちんと守られているか?
- ベビー用UVケアで紫外線からきちんと守られているか?
をいつも念頭におきましょう。そして、肌が育っているか、をいつもチェックしましょう。
もし、肌の育ちが停滞しているように感じたら、より完成度の高い化粧品に切り替えるべきだということです。
赤ちゃん用化粧品の中でもUVケア製品には注意!
上の様に、赤ちゃん用の化粧品を使っても、肌が赤み等の炎症反応さえ起こさなければ、大きな失敗は少ないと考えられます。
でも、サッポーは一つだけ懸念があります。
それは、スキンケア相談室にも圧倒的に相談が多い、赤ちゃん用のUVケア製品です。中には、赤ちゃんとお母さんが兼用で使えるものもあるようです。
相談を受け、様々な製品を確認したところ、「紫外線吸収剤使用」「ウォータープルーフ加工」のものが多くありました。
紫外線吸収剤を使用した製品なら白浮きしないので、赤ちゃんの肌に塗り伸ばしやすく、塗るのも短時間ですみます。育児は時間との戦いですからね。
また汗の多い赤ちゃんにとって、水分(汗)を弾くウォータープルーフは便利です。汗をたくさんかくと不機嫌になる赤ちゃんもいますからね。
赤ちゃんのUVケアは、お母さんの環境や裁量にお任せするとします。
ところが、下り坂にある大人の肌が、このような製品を毎日使っていると、予定より早く坂を下ることになります。たまに、の使用に留めたい製品です。
ここで「紫外線吸収剤」や「ウォータープルーフ」のデメリットを簡単に確認しておきましょう。
- 紫外線吸収剤
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浴びた紫外線を熱に変えることで、紫外線ダメージはなくなりますが、熱ダメージを肌に与えます。このダメージがとても危険で、敏感な肌には炎症を起こす原因になっています。
成分は、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどのケイヒ酸系が多いようです。
- ウォータープルーフ
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水分(汗)を弾くので、肌を潤す汗が供給されません。毎日使っていると、肌の水分が減少し、乾燥肌・敏感肌に傾いていきます。
成分にシリコン油(〇〇コンや●●シロキサン)が多用されていたら、ウォータープルーフだと判断できます。
もっと詳しい解説は、こちらを。夏だけではなく、一年中参考になります。
では、毎日の紫外線対策にはどんな製品がいいのでしょうか?
それは「紫外線散乱剤」である酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウムをメインに使用した製品です。
鉱物の粉を利用し、紫外線を物理的に反射させて防ぎます。肌に負担がないので、優しく紫外線ガードができます。
汗で落ちやすい欠点はあるので、取れたら塗り直しが必要です。
いかがでしたか?
赤ちゃん用の化粧品を大人が使用しても問題ありませんが、「赤ちゃん用だから肌に優しい」と考えるのは、大きな間違いです。
大人の化粧品と同じ視点で、使う・使わないの判断をしてくださいね。
- 下り坂にある大人の肌と上り坂にある赤ちゃんの肌は、根本的に違う
- 赤ちゃん用の化粧品でも肌に侵入し、炎症反応を起こす可能性はある
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さて、サッポー美肌塾の講義はいかがでしたか。
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