今回は子供のニキビについて、親として、あるいは周囲の大人として「どのように、正しい対処に導くか」をテーマにしました。
心身共に子供から大人へ変化していく思春期。ホルモンバランスが変わり、男性ホルモンの割合が高くなります。すると皮脂の分泌が活発になり、多くの子供達がニキビに悩まされるようになります。早くて小学生から、中高学生にもなるとその割合はぐんと増えます。
思春期の一時、ニキビと付き合っても、次第に落ち着き、遅くとも成人する頃にはサヨナラしている……が理想です。つまり、この時期は、ある程度ニキビと仲良くつきあっていく覚悟が必要です。
ところが思春期ゆえでしょうか、見栄えが気になり、思い悩む。その結果、間違ったケアや対処にのめり込み、成人してもニキビが出来続ける肌に……これでは残念です。
ここはやはり、周囲の大人が上手く導いてあげるべきです。
しかし、親や周囲の意見を聞かなくなるのもこの頃の特徴です。自分で得た情報や経験で判断するようになります。ある意味で大人への成長過程にいるのです。
このようなことを踏まえ、間違ったケアに迷い込まないよう、正しい知識をインプットしてあげましょう。
子供と大人、ニキビの違いはあるの?
肌の構造やニキビが出来るメカニズムは、子供も大人も、実は何も変わるところはありません。
ニキビは、皮脂がスムーズに排出されず、毛穴出口付近で滞るようになり、詰まったものです。皮脂が詰まると、普段は大人しくしているアクネ菌が増殖し、肌はそれらを排除するために炎症を起こします。これが、炎症ニキビの始まりです。でも、いくら皮脂が多い子供であっても、詰まらなければ、ニキビにはなりません。
ここで子供と大人との違いを意識しなければならない点が2つあります。
一つ目は、肌の構造は同じでも、まだ角質自体が成長途上にあることです。要するに子供は角質そのものが小さいのです。
もう一つは、生活スタイルや環境が大人と異なることです。太陽の下、風の吹く中、思いっきり遊んだり、スポーツに励みます。ところが、スキンケア製品を利用する習慣がほとんどありません。
これらを踏まえての、対処法が必要です。
以下に挙げる以外にもたくさんあると思いますが、まずは基本的な考え方を伝えてあげましょう。
1.正しい洗顔法
角質剥がれを少なくするために、石けん洗顔を基本にします。
しかし、炎症ニキビがあると、石けんのアルカリが刺激になる場合があります。こんな時は「贅沢過ぎる!」などと言わず、サッポーの薦める洗浄力のないクレンジングクリームと湯水でのすすぎ洗いだけにします。
他に洗顔時のポイントとしては、
- 石けん洗顔は一日2回が基本
-
通常は朝と晩、洗顔間隔を出来るだけ均等に保ちます。間隔が片寄り、長くなると酸化ダメージになります。
均等に12時間というわけにはいきませんが、この間隔が大きく崩れない努力は必要です。また崩れる日があったとしても、出来るだけ繰り返さないことです。
- 肌の扱いは優しく
-
肌を清潔にするのは大事ですが「よく泡立ててザッと洗えば十分」と考えましょう。汚れを落とすために、ゴシゴシしていたら、角質(肌)まで一緒に落としてしまいます。もちろん、すすぎやタオルでのゴシゴシも厳禁です。
洗顔は、他にも間違いが入り込みやすいケアです。これらを挙げるとキリがありませんので、割愛しますが、この時期の子供が覚えた間違いは、将来に渡って根付きやすいので注意が必要です。
2.紫外線や乾燥ダメージへの対処
紫外線や風を浴び続けると、乾燥して肌が硬くなります。肌が硬くなると皮脂は詰まりやすくなり、ニキビが出来てしまいます。
しかし、スキンケアの習慣がないため、紫外線や風を避けずに、毎日を過ごしています。授業やクラブ活動に参加する上で、仕方のないところです。ポイントはこの様な環境にどのように対処すべきかです。
もちろん、スキンケア製品の使用が可能であれば、日焼け止めで紫外線防御や乳液あるいはクリームでの乾燥保護を勧めるのは言うまでもありません。化粧水も使えたらいいですが、まずは保護のケアが優先です。
紫外線防御については、大人と同じで、肌に安心な紫外線散乱剤を使用した製品を薦めます。
紫外線吸収剤を使用した透明なタイプは、塗りやすく便利ですが、紫外線を熱に変換するという作用があり、ニキビを促進しているケースがよく見られます。
また汗に強い耐水機能を高めた製品(ウォータープルーフ)は、崩れにくく便利ですが、次第に肌の水分量を減少させていくので、ますますニキビが出来やすくなります。
詳しい解説はこちらを(※夏の講義ですが、参考になります)
一方、上のようなスキンケア製品の使用が難しいければ、せめて良い習慣を子供の身につけさせないといけません。むやみに顔(肌)を触る癖、汗の拭き方……等々、“角質を剥がさない肌との接し方”です。
炎症ニキビができる肌はどうしたら?
基本的な子供のニキビに対する考え方・注意点を見てまいりましたが、ニキビが炎症を伴っている場合、思うように改善しないことが多くなります。
上で解説したように、毛穴に詰まる皮脂の増加により、アクネ菌が増えます。炎症が起こるのは、このことに対する肌の免疫反応です。
そして、このような炎症が続けば、皮脂がそう溜まっていなくても、肌が過剰に反応し、炎症(赤み等)を起こすようになってしまいます。
ここまで来れば、皮膚科のお世話になる方も多いでしょう。
薬で炎症は一時的に治まりますが、根本的に良くなったわけではありません。そのことに油断して、スキンケアや生活面を疎かにしていると、いつまでもニキビ肌から脱出できません。
サッポーは、医療に頼りっぱなしではなく、正しい肌管理を身につけ、ニキビが出来る肌質そのものを変えていきましょう!と提案します。
まずは、免疫反応を促進する原因・環境を取り除きます。免疫機能が働き過ぎているのを緩和すれば、炎症を減少させることできます。以下の三原則は、ぜひ日常生活に取り入れ、周囲も協力してあげましょう。
- 洗浄を含め、肌に付けるものは、肌に浸透・侵入しにくいものに統一
- 入浴時やシャワーの湯温は、体温以上~38℃以下
- 肌と接触する物理的刺激に注意(手指、タオル、マスク等々)
一つ一つ解説すると長くなるので、次の講義を参考にしてください。ニキビ対策の前に、敏感肌からの脱出が必要です。これも大人と同じ考え方でOKです。
悩み別“肌が育つケア”「まず、過敏肌からの脱出を」
いかがでしたか?
お子様の肌について相談される方が増えました。そのほとんどがニキビに関することです。
たかがニキビ、されどニキビ……一昔前は“青春のシンボル”なんて言いましたが、子供にとって親や周囲の大人にはうかがい知れない負担になっている場合があります。
この負担の軽減は、子供達の健やかな成長の「頼もしい手助け」に、またスキンケア習慣や健康な肌は、将来の「財産」になります。
- 子どものニキビも大人のニキビも原因や背景は同じ
- 正しい知識とケア方法をいかに教えるかが重要である
編集後記
思春期は、難しい年頃です。肌トラブルが人間関係の悩みに発展したり、行動を制限してしまったり……今になって「そんな日々もあった」と懐かしく思えるんですけどね。
ニキビに悩む子供には、大人も昔の気持ちに戻って、寄り添う気持ちが大切なのかも知れませんね。
「サッポー美肌塾」第257号
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