サッポーのスキンケア相談室へ訪れる年齢層は幅広いのですが、以前に比べ10代の方が増えているように思います。
10代といっても小学校高学年~高校生、大学生までと様々。たくさんの情報が手に入るネット社会の広がりを象徴しているようです。
子どもの頃からスキンケアに興味を持つのはいいこと!と思いながら、相談内容を読み始めると真剣に悩んでいる姿が見受けられ、きゅっと胸が締め付けられます。
悩みから解放され青春を謳歌して欲しい!と願わずにはいられません。
今回のサッポー美肌塾は、そんな一人、15歳の中学生“Mioさん”から相談を紹介し、講義をすすめていきます。
“Mioさん”のご質問・相談
こんにちは、はじめまして。
数日前にサッポー美肌塾を発見し、気になる毛穴について調べたのですが、よく分からなくて問い合わせ致しました。
15歳で、中学生なのですが、肌荒れがひどいのです。頬と鼻の毛穴が開いており、ぽつぽつと顔中に広がっていて、毛穴パックやその他の角栓除去用品を使用してもいっこうに良くなりません。毛穴の色は黒っぽいのですが、所々白くなっているところもあります。
小学4年生頃からニキビが出だしました。肌はぼこぼこしており、以前は脂っぽい肌質だったのですが、今年の冬から乾燥しがちになってきて、鼻の皮がめくれてきてしまいました。
色白な方なのですが、紫外線ケアはしっかりとしているつもりです。
どんなケアをしたらいいのでしょうか?回答お願いします。
化粧をする・しないの年齢の差はあれ、相談内容を読んでいると大人と悩みは変わりません。それもそのはず、肌の構造は生まれた時から変わるものではないからです。
ただ、構造は同じでも子どもの場合は成長途上にあるため、角質そのものが小さいのが特徴です。
“Mioさん”は15歳ということで、思春期特有の皮脂の活発さがあります。だからと言って同級生を見渡してみると、全員にニキビができたり、毛穴が開いたりしているわけではありません。
“Mioさん”の肌に何が起こっているのか見ていきましょう。基本の基本から解説していきます。
基本的な肌構造とトラブルが目立つ理由
私達が見ている肌とは、表皮の最表にある角質層と呼ばれる部分のことです。角質層は別名「バリア層」ともいい、言葉通りバリアーとして身体を守っています。
基底層では表皮細胞が日々誕生し、約14日の準備期間を経た後、細胞が核を失い(角化)、角質として完成します。完成した角質は積み重なって層を成して身体を守り、役割を終えた最表層の角質は日々剥がれ落ちてゆきます。このサイクルがいわゆるターンオーバーです。
この角質層の状態を見て、私達はしっとりしている、柔らかい、肌理が整っている、透明感がある……などと評価しているわけです。
表皮細胞が角化する(死細胞になる)までにしっかりと準備期間を確保できれば、保水力のある乾きにくく柔らかな角質に成長します。このような肌はトラブルとは無縁です。
逆に角質層を構成する一つひとつの角質が痩せていて薄く小さいと“Mioさん”がお悩みのニキビや毛穴、乾燥や肌荒れ、角栓や黒ずみ、凸凹等、多くの肌トラブルが現れます。
上で述べたように、子どもはそもそも角質自体が小さいのですが、さらに小さくなり角質層に隙間ができます。
水分を保持することが困難になり、乾きやすくなり、肌荒れを起こします。また、角質が小さいと毛穴も広がって目立ち、そこに皮脂が溜まればニキビが発生するというわけです。
いくら皮脂が多くても柔らかい肌なら皮脂がスムーズに分泌されます。思春期だからニキビができると言うより、硬い肌だからニキビができるのが真実です。
サッポーはこの様な状態を、未熟な肌と呼んでいます。
思春期の肌とスキンケアについて
肌トラブルが起こる仕組みの全体像は、前段の通りです。
では“Mioさん”の場合、未熟な肌になる原因は何だったのか、具体的にどのようなケアをすればいいのか、見ていきましょう。
肌が未熟化した原因と悪循環
まず最初のころのニキビは、乾燥や紫外線などの何かしらダメージを受けたことがきっかけだと想像します。しかし問題はその後の対処方法です。
対処の中で、毛穴パックによる角質剥がし、角栓除去用品による角質剥がし、洗顔による角質剥がしなどがあったようです。
しつこく「角質剥がし」といいましたが、これが大きな原因です。
最表層の角質を剥がせば、その代わりとなる角質を作らなければなりません。そこで肌は、まだ十分に育っていない細胞達をすぐに角化させて角質として送り出そうとします。
でも未熟なまま角質になったものだから、凸凹して毛穴が目立ち、乾きやすく硬いので皮脂も詰まります。
その時、肌の見映えが悪いからと“Mioさん”のように「角質剥がし」を繰り返せば、悪循環に陥ります。角質細胞に育つ時間など与えられるはずもありません。
思春期の肌、具体的なスキンケア
“Mioさん”はまだ中学生なのでメイクはしません。でも、スキンケアは必要です。今すぐ「角質剥がし」を止め、角質細胞に育つ時間を与えるようなケアにシフトチェンジしましょう。
スキンケアのステップごとに案内していきます。
- 洗顔
-
- 朝…石けんのみ
- 夜…洗浄力のないクレンジングクリーム+石けん
あまりトラブルのない肌であれば、夜も石けん洗顔だけでOKですが、未熟な肌は硬くなって汚れがこびりつきやすいため、クレンジングの使用をお勧めします。肌の汚れはメイクだけではないですからね。
洗浄力がないクレンジングクリームとは、サッポーのクレンジングクリームのように洗浄剤としての界面活性剤を配合しておらず、汚れだけを浮かす優しいタイプです。
洗浄剤を配合したクレンジングは、洗い流しても肌に界面活性剤(洗浄剤)が残ってジワジワと角質を剥がしていきます。またその後、石けんで洗顔をすれば、洗浄力のあるもので2度続けて洗うことになります。洗い過ぎによる角質剥がしが心配です。
赤みや痛みを伴う炎症ニキビが出来ていたり、肌荒れがひどい場合は朝・夜ともに洗浄力のないクレンジングクリームのみの洗顔にします。石けんはアルカリ性質や洗浄力の強さが刺激になるので使用を中止します。
- 保湿
-
化粧水が反応せずに使えるなら使用します。ただし、ニキビ用・毛穴用などの特殊な製品は角質を剥がす傾向があるものが多いため控えます。
普通のしっとりする化粧水でOKです。手元になければ、お母様の化粧水を借りましょう。
- 保護
-
化粧水で保湿され、肌が潤った状態をキープするのが保護のケアです。乳液やクリームで行います。
もし、乳液やクリームに反応する場合は、サッポーエスカバーのような敏感肌用のクリームもしくは、白色ワセリンを使用します。
- 紫外線対策
-
日焼け止め(ウォータープルーフでないもの)を使用します。
紫外線は、角質層を通り越して真皮層にまで入り込むダメージです。若いうちからきちんと防御する習慣があれば、大人になってもシミやしわのない肌は夢ではありません。
紫外線散乱剤(酸化チタンや酸化亜鉛)を利用した日焼け止めが肌の負担にならないので最適です。
このようにスキンケアも大筋は大人と同じです。
思春期~20代、30代のころは好奇心も旺盛で色んな化粧品に興味を持たれるでしょう。その時でも基本のスキンケアの考え方からブレないことが大事です。
“Mioさん”は15歳で、「サッポー美肌塾」や「肌が育つケア」に出会いました。これだけでも同年代より一歩リードしていると自信を持ってくださいね。
肌は育つことによって健康で美しくなるということを身をもって体験していただければと願います。
- 皮脂の多さでニキビや毛穴の目立ちに至ったのではなく、角質剥がしが原因
- 子どもも大人も肌の構造は変わらない、スキンケアも基本は同じでOK
更新
角質を大事に……でも一体どうすれば?
講義はいかがでしたか?
毛穴、ニキビ、シミ、しわ、たるみ、肌のくすみ……さまざまな肌トラブルがあり、そして、これらに対処するため、専用化粧品が数多く用意されています。
しかし、ここまで講義を読まれた方はお気付きかもしれません。
こうしたトラブルへの見た目の対処、表面的な対処も大切だけど、その「根本」に目を向けなければ、いつまで経ってもトラブル解消にはならないだろう……と。
いつしか見栄えと表面的な対処だけが、私達のスキンケアになっています。
「根本」とは、健康に育った角質で肌が作られることに他なりません。つまりターンオーバーが正常に働く環境を作ることこそ、基礎となるスキンケアなのです。(サッポーでは「肌が育つケア」と呼んでいます。)
……と言っても、正常なターンオーバーと聞いて、ピンとくる人はいないでしょう。
ターンオーバーは肌表面0.2mm、ミクロの世界で行われていることです。目に見えないばかりか、イメージすることさえ難しいというのが実感です。
角質を大事するとは、実際のところ、どういうことなのか?
正常なターンオーバーの維持とは、一体どんな状態なのか?
その答えの一端は、「スキンケアモニター」で知ることができます。
踏み出してみましょう。
トラブル知らずの美しい肌が、あなたを待っています。