「新陳代謝」という言葉は夏目漱石によって作られた話は有名です。古いものが新しいものに入れ替わることを意味し、色々な場面で使われています。
たとえば、身体に関することなら
- 「新陳代謝を高める○○」…健康法・食べ物・運動など
- 「新陳代謝を促進すると○○によい」…ダイエット・肩こりなど
- 「○○により新陳代謝が低下する」…加齢・冷えなど
健康や美容面で用いられる新陳代謝は、高めたり促進されるのが良く、逆に低下するのは良くないというイメージがあるようです。
古いものが新しいものに入れ替わる、これは人体でいえば、全ての細胞や骨までが次第に入れ替わりながら維持されていることを指します。人体の一部である肌も表皮層や真皮層を含め、同じことが起こっています。
しかし「新陳代謝」という言葉がスキンケアで使われると、一気に誤解が生まれます。どういうことか、見ていきましょう。
肌に関する「新陳代謝」はどのように使われている?
肌の新陳代謝が低下してターンオーバーが遅くなると、シミや日焼けの原因となるメラニン色素が排出されない。シミができたり、日焼けした肌が戻らなくなったりする。
あなたなら、これを読んでどう思いますか。
新陳代謝が低下すると、メラニン色素が排出されなくなってシミができちゃう?大変!ターンオーバーを速めて新陳代謝を活発にさせなくちゃ!
ターンオーバーを速めるには、やっぱりピーリング!?
ここでサッポーを思い出してください。
たしかサッポーは、ピーリングは勧めていない。それに「毎日一層ずつ剥がれる角質と一緒にメラニン色素も排出されている」って言っていたような。
はい、これではますます悩みますね。一体どのように考えればいいのでしょう。
答えを解説する前にもう一つの例を出しておきます。
加齢によって肌のターンオーバーが遅くなる?
年齢によってターンオーバー周期が違うという話を聞いたことはあるでしょうか。
一般的に「約28日」とされていますが、一説によるとこれは20代の周期で、30代なら約40日、40代なら約50日……と変化していくと。
元となる情報の出所は分かりませんが、「年齢+○日」や「年齢×○倍」など様々な説がありました。共通しているのは、加齢によって新陳代謝が低下してターンオーバーの周期が遅くなる……そうです。
この話を聞き、自分に当てはめて
私は40代だから、20代よりも20日以上も角質が肌に残っている……。この角質を取り除けば、ターンーバーが速くなって肌がキレイになる!
……と、思い込んでしまっても不思議ではありません。
サッポーも加齢によってターンーバーが遅くなる傾向があることは否定しませんが、このような実態があるとは思えません。
肌の新陳代謝 = ターンオーバー
上の2つの例でお気づきかもしれませんが、肌の新陳代謝とはターンオーバーそのものです。そして、主に表皮細胞の新陳代謝として解説されていることが多いようです。
表皮細胞は日々誕生し、角質になる(角化する)準備をしながら徐々に押し上げられていきます。これら細胞が角化するとき、核を消失してぺたんこになります。
この角質達が何層にも重なって肌のバリアーとして身体を守ります。そして、役目を終えると、垢となって肌から剥がれていく……この様が新陳代謝(ターンオーバー)です。
それなのに、肌を一生懸命守っている角質達を、メラニン色素を排出したいがために取り除く行為はいかがなものでしょうか。
たとえメラニン色素が排出されても、角質を無理に取り除けばメラノサイトは危機感を覚えます。メラニン色素を大量に生産し続け、シミを作る原因はなくなりません。
また、新陳代謝という人間が生きている限り続く営みが、年齢だけに大きく左右されるわけがありません。
サッポーではターンオーバーの周期は“肌がダメージをどれだけ受けたか”“肌の扱いやスキンケアをどのようにしてきたか”といった、個人差の方が影響が大きいと考えます。
70代でしわやシミが少なくハリのある肌の持ち主がいれば、20代でも肌の老化が見られる人もいます。
ダメージをたくさん受けたりスキンケアが不十分だと角質が傷み、剥がれやすくなります。すると、肌はターンオーバーを遅くするのではなく、速めるのです。
ターンオーバーが速くなった肌の末路
肌の新陳代謝を持ち出して「ターンーオーバーを促進」という説を見かけたら、一歩立ち止まって考えてみましょう。
肌のターンオーバーが速くなるのは、表皮細胞が角化スピードを上げて、新しい角質を一生懸命作っているからです。完成した角質は、成長の時間を十分に与えられなかったため、未熟な状態です。
未熟だから保湿力もなく乾きやすく、すぐにガサガサして傷みます。そして、予定より早く剥がれていき……剥がれた角質を補填するために、また肌は……。
これでは本末転倒、悪循環が続く肌になります。
「ターンオーバーを速めて新陳代謝を活発にすると、肌はきれいになる」というのは、実は大きな間違いです。角質を取り除いて肌がきれいになるのは、その場だけなのです。
大切なのは、肌にしっかり育つ時間を与えることです。いつも目指すのは、よく育った細胞が角化する、良いターンオーバー(新陳代謝)です。
このような状態が維持されると、加齢に伴うターンオーバーの遅延があっても約28日周期から大きく外れることはありません。いつまでも若い肌でいられます。
サッポーの“肌が育つケア”はそんな肌を目指すケアです。
- 肌の新陳代謝・ターンオーバーを速めよう!という言葉には注意
- 肌の老化は、実年齢よりもスキンケアや肌管理の影響が左右する
更新
角質を大事に……でも一体どうすれば?
講義はいかがでしたか?
毛穴、ニキビ、シミ、しわ、たるみ、肌のくすみ……さまざまな肌トラブルがあり、そして、これらに対処するため、専用化粧品が数多く用意されています。
しかし、ここまで講義を読まれた方はお気付きかもしれません。
こうしたトラブルへの見た目の対処、表面的な対処も大切だけど、その「根本」に目を向けなければ、いつまで経ってもトラブル解消にはならないだろう……と。
いつしか見栄えと表面的な対処だけが、私達のスキンケアになっています。
「根本」とは、健康に育った角質で肌が作られることに他なりません。つまりターンオーバーが正常に働く環境を作ることこそ、基礎となるスキンケアなのです。(サッポーでは「肌が育つケア」と呼んでいます。)
……と言っても、正常なターンオーバーと聞いて、ピンとくる人はいないでしょう。
ターンオーバーは肌表面0.2mm、ミクロの世界で行われていることです。目に見えないばかりか、イメージすることさえ難しいというのが実感です。
角質を大事するとは、実際のところ、どういうことなのか?
正常なターンオーバーの維持とは、一体どんな状態なのか?
その答えの一端は、「スキンケアモニター」で知ることができます。
踏み出してみましょう。
トラブル知らずの美しい肌が、あなたを待っています。
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