花粉症の発症が肌の悪循環をつくる

イメージ画像:花粉症の季節

春の、花粉症の季節がやってきました。考えただけで憂鬱になる方もいらっしゃるでしょう。中には今年から花粉症デビューなんて、嬉しくない舞台に突然立たされる人もいるのでは?

肌は好循環の波に乗り良くなる道を登り始めたら、どんどん良くなっていきますが、一度こじらせ、転落し始めると、どんどん状態が悪くなってしまう性向があることを、まもなく始まるスギ花粉の飛散を前にし、どうしてもお伝えしないと!……と、強く思った次第です。

好循環の波に乗るとは、肌(細胞)が順調に育ち度を上げ続ける状態です。逆に悪循環の罠に嵌るとは、何かが原因で肌(細胞)が育ち度を低下し始めることをいいます。

肌が花粉症の影響を受けると、何をしても上手くいかなくなります。花粉症をきっかけに、トラブル満載の敏感肌に転落する方がとても多いので、今回の講義テーマといたしました。

今年の杉花粉にはご用心!

昨年の猛暑の夏…、今冬の乾燥地域の拡がり…、杉はかなりの危機に陥ったはずです。加えて、林業が衰退し間伐などの手入れが十分にされていないため、全国的に杉の木の寿命が短くなっている背景があります。杉は種の存続に対しかなり危機的な対応を迫られているのです。

その結果として、今年は飛散するスギ花粉が昨年に比べ、大幅に増加するだろうという予測がされています(※配信当時)。また飛散期間も長期化が予想され、花粉症が重症化するケースが増えると予測されています。杉も必死なわけです。

早い地域では、今月(2月)の上旬から飛散が本格化し始めます。2月中に多くの地域で飛散が本格化します。3月になると東北、4月には北海道が本格化します。

飛散前の取組が決め手

スギ花粉症の肌への悪影響を阻止したり、被害を軽微にするセオリーは、

  1. 発症を阻止する
  2. 発症時期を遅らせる
  3. 発症を軽微にする

この三点です。この三点を満足させる決め手は、発症前の取組です。つまり、飛散前に取り組むことです。

もっともベーシックな取組は、良く育った肌=バリア能の高い肌でこの時期を迎えることですが、これはもう今からでは間に合いません。普段からの肌が育つケアへの取組がものを言います。まだの方は来年のために今から始めておきましょう。

第二世代抗ヒスタミン薬

薬のイメージ画像

直前の今の時期としては、市販薬、処方薬の利用が最善策です。飛散が始まる10日前、2週間前から始めるのが理想です。さらに早い方が良いものもあります。

第二世代抗ヒスタミン薬が市販されるようになり成果を上げています。飛散前から服用を開始する「初期療法」が発症時期を遅らせ、大幅に症状を軽減、春が過ごしやすくなるというものです。もちろん医師に相談し、処方薬として頂くと保険がきくので経済的だし、処方薬の選択も的確さが向上します。でも診てもらうために、日にちと時間を確保する必要があります。もう猶予はありません!

但し、この薬で注意したいのは、飲み続けるに従い次第に効果が高まってくるタイプだということです。だから、2~3日飲み続けて「効果がない!」なんて判断をしたら大間違いなわけです。

花粉症を軽減する常識的な備えと対策

前段で花粉症対策の基本的な取組策と、考え方を案内しました。しかし、一般に行われている対策を無視してはいけません。花粉症、及び花粉症の悪影響の拡がりは、やはり元から断つのが基本であることに違いありません。

花粉症は外気に接する粘膜部分から発症する

花粉症といえばマスク
  1. 花粉を目・鼻・口に触れさせない努力の徹底!
  2. 花粉情報は必ず確認し、その日の心構えをする
  3. 外出時のマスクは必帯、メガネも有効
  4. 花粉のつきにくい生地の衣類を心がける
  5. 帰宅したら服をはらい、顔を洗い、うがいをする
  6. 花粉を呼び入れないよう窓の開け閉めに注意する

花粉症既往歴のある方は、とにかくスギ花粉との接触を極力回避することです。粘膜部分からまず発症するので、鼻はグズグズ、目は痒くてショボショボ、鼻水と涙で辛い日常になります。上記1~6の徹底が発症を遅らせ、症状の程度を大幅に緩和します。

過敏な肌部位に花粉症が拡がりやすい

肌に炎症がある、炎症性の赤みがある、乾燥ダメージが顕著な部位、つっぱり感の強い肌、痒みやピリピリ・ヒリヒリを覚える肌、これら過敏さが増している肌部位に花粉症の悪影響が及びやすいことに注意する必要があります。粘膜部位と似た低いバリア能になっていることがあるからです。

肌に侵入できないはずの花粉も、過敏な状態にある肌は例外と考えなければなりません。症状が拡がりやすく、肌の痒み、赤み、炎症へと発展していきます。このような肌バリアの状態に自信が持てない場合、ちょっと過敏さが増したなと感じたら、以下の注意が役立ちます。

  1. 石けんの使用は中止、スキンケア・UVケアは基本通り行う
  2. 痒みが発生しても、掻かず擦らず、優しく押さえるだけ
  3. 鼻水・涙の処理は、強い摩擦や圧迫の無いように優しく拭うだけ
  4. 鼻をかむ時、硬いティッシュの摩擦・圧迫に注意
  5. 肌に痒みや赤みが現れたら、スキンケア製品を中止し、白色ワセリンで代用(+外出時はUVケアを忘れない)

こうして見ると、敏感肌が進行した場合の対処と同じです。つまり、細胞の育ち度の低い肌状態にある肌の対処方法となります。つまり、マスト細胞を刺激しないこと、大騒ぎさせないことが基本になるわけです。だから、もう一つ大切な注意点がありました。

  1. 熱い風呂や熱いシャワーは避ける

前回の美肌塾で「38℃のぬるま湯入浴に挑戦!」がありました。花粉症はマスト細胞が出すヒスタミンによって炎症が起きてしまうわけですから、臆病で過敏になってしまったマスト細胞に熱い湯はタブーだということを肝に銘じないといけません。参考にしてください。

事前の準備次第でぐんと症状を緩和できる花粉症。知識だけではいけません。実行です。さあ、すぐ準備にかかりましょう。

「サッポー美肌塾」第475号


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