「これ一本でスキンケアは全てOK!」とか、「美容成分が○○%配合されている!」といった、化粧品の広告見出しがあります。何がどう良いのかはよく判らないのですが、妙に魅惑的な響きを持っているので、つい読んでしまいます。
そういえばBBクリームもこれ一つで済むので、サッポーも大掃除や庭いじりの時に重宝しています。%で思い出すのは、「○○の原液100%の…」といった宣伝文句、原液が何を意味し、何に対して100%なのかは不明でしたが、不思議な魅力を感じたものです。
コマーシャル表現のワンフレーズですから、目くじら立てて「おかしい!」などというつもりはありませんが、心配なのは、私達の受け取り方です。「スキンケアとして優れている」と理由なく錯覚してしまうことがある点です。
何かの拍子に飛びついて、使った結果が良いと、そのあと、どんな時もこのケアが良いのだと思い込み、こんなはずではなかった…のところまで続けてしまうケースがあります。「これ一本」や「原液100%」がいつも良いはずと錯覚した結果なのです。
このようなボトルネックに迷い込まないようにするには、目に入る情報を正しく判断できる、スキンケア理論を持つ必要があります。
読者の皆様には、ぜひとも、サッポーが提唱しております「肌が育つケア」をスキンケア理論としてお持ち頂きたいと願うものです。今日の講義では「私の『肌が育つケア』」の視点で、タイトルをネタに判断の練習をしてみましょう。
これ一本のスキンケア…春や夏は良かったのに…合わなくなってきた?
オールインワン化粧品を使い始めた時、とても調子よく化粧のりも良かったので、すっかりお気に入りに。しかし、夏が終わる頃には、なぜか汗と皮脂でベタつきやすい肌に……。涼しくなった今でも、肌に硬さを感じるようになった一方、相変わらずベタつく状況が続いています。時々ピリピリと浸みたりする時もあります。使い始めた時の使用感の良さが忘れられず、今も続けていますが、私の肌に合わなくなったのでしょうか?
肌は変化し、季節・環境も変化してるのに、いつも同じケアでは「肌が育つ環境」が最適に維持されることはありません。好ましいスキンケアとは、変化する肌、変化する環境において、いつもその場にあったケアを目指すことです。
こちらの製品を見てみると、べたつき防止のためかウォータープルーフ機能があるものでした。汗をよく掻く一方、冷房のお世話になることの多い夏の間に、肌の乾燥を進行させてしまったようです。これがベタつきやすい肌に変性していった最大の要因だったと推定されます。
過敏さが強くなりかけていましたが、「何か、変?」と気づくことができたのは幸いでした。
ケアの加減を自在に調節する
その日の肌の一日を思いめぐらすと、どのようなケアをすべきかが想像できます。それに合わせて必要なケアをすることでいいのです。もちろん、現在の肌状況は押さえておくことが前提です。
- 洗浄
- 保湿して整える
- 乾燥から保護する
- 紫外線から守る
これら4つの異なったケアが、ほどよくなされることが毎日のケアになっていたらよいわけです。肌によっては洗い過ぎに特に注意しないといけない肌もあるでしょう。保湿は環境と汗の量を考えて適切な加減が必要です。肌の乾燥にはどの程度の守りが必要とされるかを予想します。紫外線との付き合い、今日はどうだろうか……このようにして一つひとつのケアにおいて加減・調節が決め手となります。
「オールインワン」「これ一本で」が丁度良い加減…このような出会いが偶然あったとしても、それで固定してしまったら、肌の変化、環境の変化に対応できません。
寒くなったら、コートを羽織るように、肌だって状況に応じて着る服は考えて欲しいはずです。それは、一つひとつのケア項目において、あなたにしかできないケア加減をすることによって可能になります。ケアのノウハウが育っていきます。
90%以上が美容成分で出来ている…の「美容成分」って??
美容成分ってなんだろう?
美容液みたいな成分?
何かのエッセンス?
そんなのが90%以上も配合されてるなんて!!でも、ちょっと待って……。
化粧水の成分を見ると水とアルコールがツートップ。美容成分90%以上ということは、水も美容成分なの?
いいところに気がつきました。
肌の理想的な代謝環境を作る上で「水」の存在は最も大切な役割を果たしています。保湿機能だって水分を肌に留めるのが役割です。乾燥からの保護機能だって、水分の蒸散を防ぐのが目的です。肌の柔らかさ、ハリ、しなやかさの元となり、バリア層の美しさと強さを作っているのですから。間違いなく一番の美容成分です。
でも、水だけでは保湿になりません。肌は濡れてふやけたりするだけです。角質は剥がれやすくなり、乾燥肌や敏感肌の原因になる存在になります。水も何か他の成分と結びつくことによって、肌に有益となります。
化粧品に配合される成分には、その一つひとつに大切な役割があります。たくさん配合されていたらよいというものでもありません。それら成分が作り出すハーモニーこそがその製品の個性であり、価値なのです。そもそも、化粧品の成分は全て美容目的、つまり、美容成分100%なのです。
いかがでしたか?便利な製品や魅力的な言葉に惑わされるのではなく、肌の声を聞いて自分で試行錯誤しながら、肌が育つ環境を作り続けることが大切なのです。このような視線で化粧品を選ぶと失敗が無くなります。
- 言葉の持つイメージに惑わされない、ケアは自分で加減する
- 肌が育つ環境を自由自在に作れるのが、理想的な化粧品
「サッポー美肌塾」第548号
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