「洗顔は湯水ですすぐだけが肌にとって一番よい方法」
「何もつけない方が、肌は健康になる、素肌もきれいになる」
このようなスキンケアの主張を、一度は目にしたり聞いたことがあると思いますが、興味をそそられたでしょうか?
- 「とんでもない!」と、断固否定される方がいるでしょう。
- 「美肌や肌の健康が保証されるなら経済的でいいけど、そんなうまい話はない」と無視される方も多いでしょう。
- 「何もつけない男性にもきれいな肌が……、ホントはそうなのかも!」と興味を持つ人がいるかもしれません。
- 「なるほど、トラブルの多い私の肌は、そうすれば良いかも!」と、中には早速実行に移す人もいます。
このようなケアの考え方と、上の4つの反応について、どのように評価しますか?
サッポーの結論を先に言いますと、次のようになります。
『いずれも正しい一面を突いているが、トータルとしては間違い』
何もつけない!洗顔はすすぐだけ!といったフレーズには不思議な説得性の魔力があるようで、このようなケアに心を奪われた、悲喜こもごもの相談や質問が、スキンケア相談室に一定割合であります。
影響力の大きいテーマと考え、どのように判断し、どのように取り入れたら良いのかを解説していくことにします。
水洗顔だけ、何もつけないスキンケア、これで良くなるケースがあるのは事実!しかし……
確かに良くなるケースがあるのです。以前と比べると、本当に嬉しくなるほどの変わりようです。というのは、以前の肌状態が悪すぎたという背景があるからです。
悪すぎた背景に共通しているのは、敏感な肌状態が続いていたことです。
敏感な肌状態とは、
- 赤みや様々な炎症反応とのつきあいが絶えない肌
- カサカサ、ガサガサする肌でいつも乾燥した肌
- ベタつきやテカリが一年中おさまらない肌
- 夏はべたつきやすく、冬はこわばりやすい肌
- 洗顔料を使ったあと放置すると、つっぱり感がとても強い
- 安心して長く使えるスキンケア製品がない(少ない)
- 昨日まで使えていた化粧品が突然肌に合わなくなる
- ……等々
本人が敏感な肌だと思っていなくても、上のような症状は敏感な肌状態といえます。このような症状の一つ、二つ、あるいは複数があてはまる場合、様々なレベルで敏感さが進行している肌なのです。
こんな状態が続いていたら、
- 「何もつけなくて良い。洗顔はすすぎだけで良い。」
- 「これだけで、肌が健康になる。きれいになる。」
- 「肌は本来、化粧品など使用しない方がきれいになれるのです。」
……などといわれると、少しは思い当たるところもあり、肌の悩みにうんざりしていたら、「それで良くなるなら!?」と信じたくなる気持ちはよく理解できます。
実際に良くなるケースもけっこうな割合であるのですから、「それでは私も!」となるのも頷けます。
しかし、改善効果を実感できる人は、(けっこうな割合といいましたが)実行した全体数から見たら少数派であることには違いありません。それでも良くなった人にとっては、何にも代えがたい喜びであり、嬉しい発見であったわけです。
ここで、良くなった種明かしをします。
上の敏感な状態が続いている肌を定義すると、下のようになります。
「角質層(バリア層)を構成する一つひとつの角質の育ちが悪いため、角質層に隙間ができ、バリア能が低い状態にある肌」
- 保水力が低く乾燥しやすい肌構造で、洗浄後のつっぱり感が強くなる
- 乾くとバリアーの隙間がより顕著になり、化粧品を始め異物を侵入させやすい
- 暑さや寒さの影響が過敏・過剰に伝わり、汗・皮脂の増大や減少に繋がりやすい
- バリア能が低下した時は、いつも使っていた化粧品で赤みや炎症を起こす
このような肌が何もつけないで、洗顔もすすぎだけにすると、どうして肌が改善されたのでしょう。
それは、洗顔料や化粧品が肌内部に侵入して悪さをし、肌細胞の正常な代謝活動には障害となっていたからです。この障害がなくなったこと、これが良くなった理由(種明かし)です。
しかし、良いことだけではありません。何もつけないケアの結果としては、次のようなパターンが考えられます。
- 改善が続かず、どこかでストップする。もしくは悪化する
-
乾燥・暑さ・寒さ・冷たさ・物理的接触…等々のダメージは肌の新陳代謝(ターンオーバー)にマイナス要素となる環境です。
化粧品を使って、保湿をしたり、乾燥からの保護をしたり、また紫外線からの保護ケアをしないのですから、これらダメージの影響を肌は丸々受けてしまいます。すると、ターンオーバーに対して大きなブレーキとして働きます。もともと、角質の育ちが悪いため、乾燥しやすく、バリア能は低く、環境ダメージに弱いのですから当然でしょう。
確かに、化粧品が直接肌に反応を起こさせることがなくなった分は改善の力として働きますが、この良い傾向として働く力と、上のブレーキとして働く力の均衡するところで、肌改善はストップしてしまうのです。
肌環境の悪化が想定以上だと、力の均衡は崩れ、肌の改善は下り坂を転がり始めます。
ストップどころか、悪くなってしまうのです。
- 肌状態は良くならず、さらに悪化してしまう
-
敏感な肌状態にも程度の差があります。もともと化粧品が肌に侵入するほどの状態ではなかった場合、化粧品による保湿や保護のケアがなくなれば、その分肌環境は悪くなり、必然的に肌の状態も悪化します。ブレーキだけが働いてしまうわけですね。
スキンケア相談室に届くこの種の相談は、まさにこのような、「良くなったけど、その後は期待外れ」といったものや、「一度は良くなったのに、また逆戻りしてしまった」「悪化しただけ」というケースがほとんどです。
上手く行くケースとそうではないケースがあり、上手く行っても、一時的な良さ止まりでは、乗り気になれません。もっと着実に肌の敏感な状態を改善していく方法はないのでしょうか?
敏感な肌状態に合わせて、スキンケアの方法を変えていくのが正攻法
運良く肌状態が以前より良くなったら、バリア能も少しは良い状態になっているはずなので、使用しても侵入せず反応しない化粧品が増えていることが期待できます。
ずっと何もつけないでいたら、どこかで肌改善は頭打ちになってしまいますから、勇気を出して、化粧品を試してみることです。化粧品が反応さえしなければ、肌の代謝環境が良くなる分、もう一段肌状態は改善されるわけです。
でも、もし肌を反応させてしまったら、これは大きなダメージとなって、ターンオーバーの成果を大きく後退させてしまいます。またスタートからやり直しです。このように、化粧品が反応するかしないかは試さないと判りませんから、どうしても失敗のリスクと不安がつきまといます。
ではこの限界を突破する方法はないのでしょうか?
良い方法を紹介します。それが、サッポーの「敏感肌脱出プログラム」の考え方です。
- 1. 肌の敏感な状態が続いている場合、スキンケア製品を、肌に浸透・侵入しにくいもので統一して、肌の洗浄や、保湿・保護のケア、紫外線保護のケアを始めます。
-
何もつけないケアで、一時的とはいえ肌が改善するのは、侵入物の影響がなくなるからです。もし肌に侵入せず、肌を守ることのできる化粧品があれば、ダメージ防止に繋がるので、肌のさらなる改善が約束されます。
- 2. 角質層がある程度のバリア能を備えるようになれば、肌は独り立ちできます。
-
1のようなケアを続けていると、ターンオーバーが正常化し、多少のダメージくらいでは、敏感な肌状態に逆戻りしないまでに変化してきます。この状態で安定している肌は、浸透しやすい化粧品で肌を守ることが可能になります。
つまり、化粧品が自由に使えるようになるということです。さらに良い肌環境作りが可能となり、バリア層はさらに強化され、肌はより美しく、より健康な状態の維持できるターンオーバーが繰り返されるようになります。
このように、サッポーは、敏感な状態にある肌に行うべきケアと、独り立ちした肌に行うケアとは明確に区別しています。
「水洗顔だけ!何もつけないスキンケア!」は、何をしても良くならない、どうしたらよいか判らない……といった人には、一条の光となるかもしれません。
しかし、それで満足するのではなく、次のステップに進まないとさらなる改善は望めません。そして、一定レベル以上にバリア能が高まれば、そこには肌にとって、別世界が待ち受けています。普段のスキンケアが、より健康で、より美しい肌に繋がる世界です。
- 何もつけないケアで安定するのは、バリア能が低下した敏感肌
- 何もつけないケアからのステップアップが大切
編集後記
スキンケアで思うように悩みが解消されなければ、私たちは化粧品のせいにしていまうことがあります。でも実は、化粧品よりも自分の肌に問題があることの方が多いのですね。
健康な肌になれば、どんな化粧品でも使えます。対極にある、何も使えない肌にに水洗顔は唯一のケアです。ほとんどの肌は、その中間点なのではないでしょうか。
「サッポー美肌塾」第627号
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敏感肌脱出プログラム
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