ビタミンC誘導体とは、いったいなんでしょうか?と質問すると、様々な反応があります。
- 「ビタミンCはよく知ってるけど、ビタミンC誘導体って何?」
- 「ビタミンCが肌内部に誘導されていくのかな?」
- 「たぶん、ニキビに効くビタミンCのこと」
- 「美白作用のあるビタミンCのことを誘導体っていうのでしょう?」
ビタミンCと関係があるのは周知のようですが、あまり知られていないのが実態のようです。
正解は、「肌や体内に入ると、やがてビタミンCになるものを、ビタミンC誘導体(プロビタミンC)という」です。
一定の人気が続いているのは、「美白」「シミ改善」「ニキビ改善」「ニキビ跡改善」「老化対策」といった気になるテーマについて効果が謳われているからでしょう。
では実際に声を聞いてみると「明確な効果は実感していない」というのが大方の正直な感想です。
もちろん効果があったと思える時もあるようですが、長い目で見ると、問題の解決には繋がっていない……つまり、効果が続いているわけではなさそうなのです。
一方、ビタミンC誘導体配合化粧品の常用者に、一定割合で肌トラブルに悩み、相談される方があります。相談の過程でビタミンC誘導体の間違った使用が原因だとわかるのですが、自覚していた方は皆無でした。
はて、さて、ビタミンCやビタミンC誘導体とは、どのように付き合い、利用していけばいいのでしょうか。
まずはビタミンCを使う効用を見ていきましょう。
ビタミンC(誘導体)と肌とスキンケアの関係
ビタミンC自体は万能ビタミンといわれるほど優れた微量栄養素で、補酵素として身体のあらゆるところで活躍し、役立っています。しかし、ここでは、肌との関係に絞って見ていくことにします。
ビタミンCが肌に益する三大効用
- 1.抗酸化作用
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ポリフェノールやビタミンEの抗酸化作用は広く知られるようになりましたが、ビタミンCにも抗酸化作用があります。人体組織の全てが酸化によって老い、壊れたりするので酸化はあらゆる病気の背景にもなっています。肌もその例外ではありません。
- 肌の老化防止効果
- 抗炎症効果 ⇒炎症ニキビの緩和 ⇒ニキビ炎症跡の治癒促進
抗酸化作用で目を引くのは、酸化防止が抗炎症効果となり、ニキビの悪化を防いでくれたり、赤いニキビの炎症跡治癒が速まることです。
- 2.線維芽細胞のコラーゲン線維生成を促進する
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表皮を弾力ある状態に支えているのが真皮層ですが、その弾力性の元がコラーゲン線維です。日々、真皮層にある線維芽細胞がコラーゲン線維を作り替えているおかげです。このコラーゲン線維を作るにはビタミンCが欠かせません。肌の張り、しわのない肌、たるみのない肌の源泉です。
- 3.美白効果
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ビタミンCが持つ以下二つの作用によって、表皮に散らばるメラニン色素が減少したり、無色化したりすることで、肌が白くなります。世間ではこの現象を美白効果と呼んでいます。
- チロシナーゼ阻害作用
メラニンを作るメラノサイト(細胞)において働く酵素チロシナーゼの活動を阻害し、メラニン色素生成の邪魔をして、表皮内に放出されるメラニンを減少させます。
- メラニン色素還元漂白作用
ビタミンCの還元作用が、既に作られた表皮のメラニン色素を還元、淡い色に変えてしまう働きをします。
- チロシナーゼ阻害作用
ビタミンCが、ニキビによい、美白効果がある、シワ・たるみ防止に、老化防止に良いとされるのは、上のような効用が認められるからです。
いかがですか。これなら、ビタミンC配合の化粧品は大歓迎のはずです。
ところが、ビタミンC配合の化粧品を長年使用した人が、明確な効果を実感することが少ないのはなぜでしょうか?
ビタミンCは不安定で壊れやすく肌内部に入らない、無理に入れると炎症の原因に
ビタミンCが生きた表皮細胞組織や、さらに下層の真皮層に達すると、上で解説した三大効用が現れます。しかし、ビタミンCは肌に浸透しても角層上層までがせいぜいで、生きた表皮細胞組織や真皮層にまではとても侵入することはできません。
わずかに経皮吸収されてしまうことはあるかもしれませんが、効用を発揮するほどの吸収は期待できません。それに、ビタミンCは不安定で、空気に触れるだけで酸化がはじまり壊れていきます。また、紫外線が当たれば一気に酸化が進行し、ビタミンCではなくなってしまうのです。
これでは、いくらビタミンCが有益で肌に良いといっても、役に立たないわけです。
そこで、何とかならないかと開発されたのが、ビタミンC誘導体です。プロビタミンCと呼ばれることもあります。
ビタミンC誘導体
ビタミンCにある物質をくっつけて、酸素と結合しないように加工したのです。このようにしたものを化粧品に配合すると、酸化しないので壊れず安定して存在してくれます。こうすることでバリア層(角質層)を突破して、表皮内や真皮層内に送り込み、さらに、くっつけた物質が外れたら、ビタミンCとして働くことができるわけです。
しかし、これだけでは、まだもう一つの大問題が残っています。ビタミンC誘導体にはバリア層を突破して、肌内部に侵入する能力はないのです。わずかに経皮吸収されるだけでは、効果の有無はよくわからないでしょう。
イオン導入やリポソームによる肌侵入措置
わずかな経皮吸収を増やすために、バリア層を100倍多く侵入できる誘導体などが喧伝されていますが、比較する元々の値が小さいのですから、100倍といってもわずかな量です。
そこで、さらなる対処が考案されます。肌に微弱な電流を流し、電化したビタミンC誘導体との反発・引き合う力を利用して肌組織内への侵入を促進するのです。イオン導入と呼ばれる手法です。もう一つは、リポソームという脂質で誘導体を包んで、組織内をするりとくぐり抜けさせる方法です。
現状では、この二つが効果を発揮する有効な方法とされています。
しかし、ここでも次なる問題が待ち構えています。
ビタミンCやビタミンC誘導体を肌が受け付けない
肌に導入できるビタミンCの量が多ければ、それだけ効果も期待できるのですが、配合濃度が高い場合、肌内部に導入されると、拒絶反応をして炎症を起こしてしまうのです。炎症を起こせば、ターンオーバーが早まり肌の細胞組織は未熟化します。ニキビに良い、美白効果が…、しわ・たるみが…、といった期待とは全く逆効果に繋がってしまいます。
そこで、自ずとビタミンCの配合量は制限せざるを得なくなります。すると、どうしても効果があるのかどうか判らないといった製品作りになってしまうのです。
その結果起こりうる問題として、炎症が起きていても気づかないといったケースが生まれてきます。炎症による皮むけや粉ふきが現れていても、軽度なので化粧水や乳液をつけると目立たなくなります。つまり炎症反応が起きていることに気づかないまま使用を続けることになるのです。すぐに気づけば、トラブルには繋がらないのですが、判断が難しいのでしょう。
美白目的で使っているのに、かえってシミが増えた。ニキビがよくなると思ったけど、かえって悪化した……などの例は、このような事情が背景にあります。
それでは、ビタミンCの三大効用は諦めないといけないのでしょうか!?
そんなことはありません。
医師の監視の下で、ビタミンCを導入すればいいのです。ただし、保険の適用外ですよ。そして続けねばなりません。
もう一つの方法は、皮膚からの導入に固執するのではなく、ビタミンCを食品として摂取強化すればいいのです。肌に回る量は少ないですが、それなりの効果は期待できます。それに、身体にいいことは、間違いのない栄養素ですから……。
美白効果やニキビ対策は、もっと正面から本格的な取組をすべきです。それで十分きれいな肌が実現できますし、着実で確かな方法です。その結果は、間違いなく、肌の老化防止にも繋がります。
具体的な方法はサッポー美肌塾で探してみてください。
- ビタミンCの働きは、肌にとって素晴らしいものがある
- 化粧品でビタミンCを肌に与えるのは無理が多く、危険
編集後記
ビタミンCが身体に良いことは、みんな知っています。だからでしょうか、肌にも良いと謳っている化粧品が一部みられます。
でも、実際は良い面も悪い面もある…というのが結論で、良い面はそこそこ良い、悪い面はかなり危険!ということが言えそうです。ビタミンCは食品から美味しく頂きましょう。
「サッポー美肌塾」第635号
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