ホルモンは人体の恒常性維持機能の重要な一つとして働いている
男性ホルモンとか、女性ホルモン、成長ホルモン、そして、副腎皮質ホルモン(いわゆるステロイド)といった総称名がお馴染みですが、血糖値の制御にかかわるインスリン、グルカゴンなどは単体名称としても、一般に知られるようになっています。スキンケアの分野では、ホルモンバランスという言葉がよく使われますが、どんなホルモンのバランスを言うのか皆目わからないのが現実。そもそもホルモンとはいったい何なのでしょう。
ところがこれがとんでもなく複雑多岐に渡り、しかも重要な働きをしている存在で、とてもこのような場所で、気軽に説明出来るようなものではありません。しかし、あえて簡単にまとめると、以下のような働きです。
ホルモンとは、人の身体の内外で起きた情報をもとに、体内で合成・分泌され、循環器系(血液やリンパ液)を通して、特定の決まった場所(細胞や組織)に情報や命令を伝え、働かせる生理活性物質です。ごくわずかな量で、人体の様々な機能を発現させたり、亢進したり、抑制したりします。
私達の身体は、いつも一定の機能と状態を保っています。例えば体温や血圧、血糖値などが一定範囲に保たれていることや、バイ菌やウィルスなど不都合な異物の排除、怪我をしたら修復する等々、身体の内外の環境を一定に保ち続けようとする調整機能を持っています。このことは、恒常性とか、ホメオスタシスなどと言った言葉で知られています。
この人体の恒常性維持を可能にしているのが、様々なホルモンや全身に張り巡らされた自律神経の働きです。内分泌系(ホルモン)、自律神経系などと呼ばれます。そして、この二つの指令調整機能をコントロールしているのが、間脳の視床下部です。身体の健康を左右する超重要な働きをするのは間違いありません。
ホルモンバランスの変化と肌への影響
様々なホルモンが身体のあらゆる場所で、それぞれの機能を働かせており、100種類以上あることが知られています。実際には、もっともっとあるのでしょう。またそれぞれが相互に影響し合い、複雑な調整をしているわけですから、ホルモンバランスが崩れて、肌の調子が悪い、皮脂が活発化した、肌荒れをした等々……といって、こうしたらよいと言った確実な処方箋があるはずもありません。
つまり、肌を含め私達の身体の恒常性は、何重もの調整メカニズムによって保たれている、複雑系システムなのです。
ホルモンバランスが不都合に崩れると体調に大きく影響するのはよくわかります。体調が悪くなれば、肌にも影響するのは必至です。しかし、だからといって関係するホルモンのバランスを自由にコントロールするなど、現代の人智ではとても無理なのです。
そこで、次のようなお決まりの解説がされます。
- ホルモンバランスが崩れているようなので、整えましょう。
- 肌には女性ホルモンのバランスが大切。
- ストレスと不規則な生活によって、ホルモンバランスが乱れています。
そして、食生活・睡眠・運動・リラックスなどの必要性・生活習慣の改善が説かれるのです。よく耳にすることばかりですね。
……と、続けると、このような改善策を軽視しているようですが、けっしてそんなつもりはありません。大切なことばかりです。ただ、そのような対策が肌によい影響を与え、見事に功を奏するかと言えば、すぐに期待できるものではありません。もっと先、遠大な方針と捉えた方が良いでしょう。
とはいえ、ホルモンバランスの乱れが続いていると、内分泌系と協調作業をしている自律神経の失調を来すことがあります。そうなると、頭痛・不眠症、のぼせや多汗、動悸に呼吸困難、イライラ、めまい。また、婦人疾患である生理不順・生理痛、不正出血、不妊……等々、重要な疾患にいたることが多いものです。こういうときは、自己治療ではなく、医師に診て貰うことが先決です。
さて、それでは肌との関係に話を移しますが、ホルモンバランスの崩れが肌に影響しやすい人はどうしたらよいのでしょう。
サッポーは二刀流の対処をお薦めします。
一つは、上の解説通り、様々な生活習慣の改善でよいと考えます。心身ともに、健康的な生活に向けて整えていくことです。でも、これは、様々な内外の障害を取り除きながらの長期的な対策となります。
もう一つのお薦めは、サッポーの“肌が育つケア”です。
表皮は約一ヶ月に一度全ての細胞を新しいものに置き換えながら、以前より少しでも育った細胞になろうと努力を続けています(ターンオーバー)。あなたが少し手を加えてあげるだけで、一歩また一歩と、以前の肌より良い方向に変化していきます。順調にこのような経緯を繰り返していくと、一ヶ月毎に肌の変化を実感出来ます。
数ヶ月で見違えるような肌に変貌することも夢ではありません。トラブルを抱えていた肌でさえ、一年を目標にすれば、健康で美しい肌が実現する可能性は十分にあります。
このようにして肌が育つと、ホルモンバランスの崩れが肌に影響を与えたとしても、その悪影響は最小で済むようになっています。
今日は、ホルモンバランスの崩れと肌との関係を位置付けてみました。今日の講義がこれからのスキンケアのヒントになれば幸いです。
- ホルモンバランスの崩れには、複雑な要素が絡んでおり特効薬はない
- 肌が育つとホルモンバランスの悪影響を受けにくくなる
編集後記
ストレスや体調不良、生理など……私達のホルモンバランスは日々変動しています。乱れない人の方が珍しいかも??
それはそれと受け入れて、心身の管理と共にスキンケアにも励んでいると、肌への影響は少なくなっていきます。これだけでもストレスが一つ減りますね。
「サッポー美肌塾」第653号
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