“細胞賦活作用”とは?肌にどんな働きをするの?

肌トラブルに悩む女性

スキンケア相談室に、時々耳慣れない用語についての質問が届きます。その一つが“細胞賦活(ふかつ)作用”です。

保湿し潤す・乾燥を防ぐなどという作用は、ストレートに理解できます。しかし、細胞賦活作用といわれると「えっ!どんな作用なの?」「どんな成分なの?」と戸惑ってしまいます。

細胞賦活作用を謳った化粧品の解説や案内を読んでも、解りにくく、次のような質問を頂くことになります。

  • 「細胞賦活作用にはピーリング効果があるような解説があり、ターンオーバーを無理やりはやめてしまうと見たのですが、大丈夫なのでしょうか?」
  • 「私が使用している洗顔料に細胞賦活作用があります。細胞を賦活(活性化)させた結果、ターンオーバーが早くなってしまわないかを心配しています。」
  • 「ある馬油の製品に細胞賦活作用があるとありました。これは角質の剥がれるスピードを速め、肌によくないことになるのでしょうか?」

さすがに皆さん、サッポー美肌塾の読者だけあって「細胞賦活作用には、ターンオーバーをいたずらに速める弊害があるのでは」と思われたようです。

スマホで検索する女性

中には、かなり調べられた様子が窺える質問もありました。

  • 「細胞賦活作用を謳う製品がかなり見受けられ、細胞を活性化させる、新陳代謝を上げる、ターンオーバーを活発にするなど、様々に案内されています。以前ならプラスの印象を持ったところですが、(サッポーと出会った)今では、どのように受け止めるべきか迷っています。正しい解釈をお聞かせいただければ……」

このよう混乱している方も多いようなので、ここでサッポーの細胞賦活作用についての見解を述べておきます。

“細胞賦活作用”は具体的ではなく、広義な表現

“賦活”とは、活性化する・活力を与えるという意味ですが、“細胞賦活作用”の場合、細胞の何を賦活させるのか、どのように活性化させるのかが明示されないと本質はわかりません。

でも、それは仕方ないことです。特定するような説明がない限り、細胞に何かしらプラスに働くものといった、広義的なものにすぎないからです。

肌を保湿する・乾燥から護る、これらも細胞賦活作用の一つです。UVケアやクレンジング・洗顔も然りです。

ただし、これらははっきりと目的のある作用なので、具体的に表現されます。

化粧水で肌を潤し代謝環境を整える保湿作用・乳液やクリームで乾燥を防ぐ保護作用・紫外線から肌を護る保護作用・酸化ダメージを軽減する洗浄作用……などです。

もちろん、これらも細胞賦活作用と表現しても良いのですが、それではいたずらに意味が通じにくくなるだけです。

ところが、注意したほうが良い“細胞賦活作用”の表現もあります。次項で解説します。

これらの“細胞賦活作用”には注意しましょう

冒頭の読者の不安にもあったように、細胞賦活作用という言葉を用いて「ピーリング作用」を謳っている化粧品には注意が必要です。でも、これはここで説明するまでもありませんね。

以下、パッと見ただけでは理解できないような難しい言葉での、細胞賦活作用を紹介しておきます。皆さんも一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

例えばFGF…「線維芽細胞成長因子産生促進」や「線維芽細胞増殖促進」

線維芽細胞は、表皮を支える弾力線維層を真皮層でコツコツと作り続けている細胞です。コラーゲン線維が代表的な産生物です。

この線維芽細胞に軽いダメージや刺激を与え、その働きを活性化させる(細胞賦活作用)といった成分(因子)があるのは事実です。しかし実際には、表皮を超えて真皮層の線維芽細胞にそれらを届けることも、届けたところで正常に働かせるのは到底不可能です。

しわやたるみが気になる女性

このような基幹的な働きが可能になれば、大ニュースとなり、しわやたるみのトラブルが大きく改善されるでしょう。今の段階では、その成分が化粧品に配合されていても保湿剤として働くだけです。過度な期待をしているとがっかりするかもしれません。

例えばEGF…「表皮細胞増殖促進」

表皮細胞増殖促進作用を持つ様々な成分(因子)が発見され、実際に活用もされています。ステロイド剤がその代表です。間違いなく“細胞賦活作用”を持つものですが、ご存知の通り、功罪があります。

医師の指導の下、医療的に利用すべきものであって、美容目的にしてはいけません。読者の質問で多くあったようにターンオーバーを速め、未熟な表皮細胞・未熟な角質を作ってしまいます。

FGF・EGFについては、こちらのサッポー美肌塾も参考にしてください。

参考:「ノーベル賞も受賞!上皮細胞増殖因子“EGF” スキンケアにおける効果とは?

いかがでしたか?

“細胞賦活作用”は特定の作用を指したものではないのですね。大切なのはそんな作用より、私達の肌を構成している細胞達が、本来の姿に育つ環境を作ることなのです。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 細胞賦活作用とは広義であり、特定されたものではない
  • 細胞賦活作用を謳った化粧品に過度な期待をしない
黒板に注目!

編集後記

細胞賦活作用、聞いただけで、すごいことが起こりそう!と想像をかき立てられます。でも実際は広義的な意味で使われ、実態がハッキリしたものでは無かったのですね。

そんなことより、毎日コツコツと肌に良いことを積み重ねましょう。地道で着実が一番♪

「サッポー美肌塾」第686号


コメントは受け付けていません。