米ぬか袋やパック、とぎ汁で肌がキレイになる!?米ぬか美容法

玄米と白米

私達の身近なものを利用した美容法が様々ありますが、「米ぬか美容法」もその一つでしょう。

米ぬか美容法の歴史は、江戸時代に遡ります。

それまでは、玄米や玄米を石臼で荒く精米したもの、またそれに麦や粟・稗などを混ぜて食べるのが庶民の暮らしでした。

ところが、江戸時代になると米が増産され、精米技術が進み、米ぬかがたくさん出るようになりました。当時、米は大変貴重なので、出た米ぬかを捨てずに使えないか?というのが始まりだったのでしょう。

米ぬかは汚れを落とす洗浄剤として、また肌を保護し美しくする化粧品の役割を担うようになりました。袋に包んだ米ぬかを水に浸し、顔や身体に押し当てるようにして使用します。銭湯の番台さんが米ぬかを売っているところもあったようです。

まさに、洗って良し、護って良し!の、万能の化粧品だったわけです。日本最初のスキンケア製品だったという説もあります。

そして、様々な洗浄剤や化粧品があふれる現代でも、米ぬかを利用した美容法は根強く残っています。

その魅力とは……?サッポーの視点で迫りたいと思います。

米ぬかに含まれる主な成分と美容法

漬け物のぬか床

米ぬかはご存じ、玄米を精米した際に削られる、米粒表面の薄皮や胚芽部分です。

この部分に豊富な栄養素が含まれ、乳酸菌の増殖と発酵に適していたため、昔から漬け物のぬか床に利用されてきました。

米の持つ栄養素の9割以上が米ぬかにあるのは事実で、近年の健康志向から玄米のまま食するのがブームになったりしています。

米ぬかの栄養成分

米ぬかには、どのような栄養成分があるのか、その一部を紹介します。

ビタミン・ミネラル類
  • ビタミンB群
    ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、葉酸、ビオチンなどビタミンB群が豊富で、身体はもちろん、皮膚の健康維持に関与している、なくてはならないビタミンです。
  • ビタミンE
    抗酸化作用をもち、活性酸素の働きを阻害します。すべての細胞の酸化防止につながるので、老化防止のビタミンとも呼ばれています。
  • ミネラル類
    必須ミネラル16種類のうち、カリウムにカルシウムを始め13種類ものミネラルを含む。全ての細胞の代謝に関与し、身体を健康に維持します。
油脂類

米ぬかの約20%が油脂成分です。不足しがちなオメガ3系脂肪酸であるα‐リノレン酸、EPAやDHAも豊富に含有しています。

生活習慣病を予防したり、ホルモンバランスを整えます。肌にとっては乾燥からの保護に役立ちます。

その他の成分
  • γ‐オリザノール
    医薬品材料としても使われる、ポリフェノールの一つ。コレステロールの吸収を抑え、ホルモンバランスを整える作用があります。
    皮脂の賦活や紫外線の吸収、酸化防止等の作用があるため、化粧品にも利用されています。食品には酸化防止剤として使用されます。
  • フェルラ酸
    上のγ‐オリザノールに含まれていて、同様の効果があります。

このように、米ぬかには人体を健康に維持するビタミン・ミネラルをはじめ有用な成分が豊富に含まれています。これらは、身体に必須の微量栄養素。つまり、身体の一部である肌にも影響を与えるのです。

米ぬかを利用した美容法

顔を洗う女性
  1. 米ぬか袋でスキンケア
    木綿(コットン)で作られた袋(自作でも市販品でもOK)に米ぬかを入れます。この袋に湯水を含ませて、白い液がしみ出てきたら、袋ごと顔に優しくあてがいます。
  2. 米ぬかパック
    米ぬかそのものや、はちみつなどを混ぜたものに水を適量加え、ドロッとした状態にします。それを肌に塗って10分ほど時間をおき、湯水で流して終わりです。
  3. 米のとぎ汁で洗顔
    白米を洗った際のとぎ汁で顔を洗います。白く濁った水には多少の米ぬか成分が含まれています。

これらが代表的な3つの美容法です。米ぬかが手に入れば、今日からでも簡単に始められそうですね。

ここまでの紹介でわかるように、米ぬかには栄養素が豊富で、美容にも良さそうです。

次項では、米ぬか美容法で言われている効果をサッポー流に見ていきます。

米ぬかの美容効果とその疑問

米ぬかで紫外線防止ができる!?

γ‐オリザノールやフェルラ酸には、確かに紫外線を吸収する性質があります。

ただし、市販の製品に紫外線吸収剤として利用されているのはあまり見かけません。もっと効果的でふさわしい材料があるからです。

また、ほとんどの植物油脂には、UVB(短波長紫外線)を防ぐ能力があります。米ぬかの油脂も同様です。しかし、UVA(長波長紫外線)は肌に通してしまいます。

これでは、火傷(炎症)を起こして赤くなる紫外線は防げても、肌内部に侵入し、メラノサイトを刺激したり、真皮層を酸化破壊する紫外線は防ぐことができません。将来のシミや、しわ・たるみ予防にはならないということです。

さらに油脂を塗ると肌が均一になり、紫外線を透過しやすくなります。サンオイルを塗るときれいに日焼けするのと同じ原理です。

米ぬかには美白効果がある!?

γ‐オリザノールとフェルラ酸はポリフェノールであり、その抗酸化作用が高いということが起源のようです。

肌が紫外線を浴びると、チロシナーゼという酵素が大量生産されます。チロシナーゼには、メラニン色素生成を促進する働きがあります。

そして、ポリフェノールの中には、このチロシナーゼの働きを阻害するものがあるというのは事実ですが……米ぬかのポリフェノールにどれだけの働きがあるのかは解りません。もし効果が高ければ、すでに多くの化粧品に利用されているでしょう。

そもそも肌内部のチロシナーゼに働きかけるには、角質(バリア)層を通り越して、ポリフェノールを侵入させなければ成立しません。

肌を護るバリアーを通過させるのですから、危険な行為です。でも安心して下さい。米ぬかを塗っただけでは、肌を通り抜けることはありません。

米ぬかにピーリング効果がある!?
ピーリングで肌がピカピカ

これは、本当です。但し、米ぬかの粒子の大きさと摩擦の強さがポイントです。いわゆる、泥やスクラブを利用した方法と同じ、物理的なピーリングが行えます。

上に挙げた3つの美容法でも、1の袋を肌に当てるだけでなく、擦れば、垢すりになります。2のパックも、流す前にマッサージ等をしたらゴマージュと同じです。3のとぎ汁洗顔の粒子はとても細かいですが、肌の擦り具合によっては、軽いピーリング効果があるでしょう。

ピーリングの是非は、いつも美肌塾でお話しているように、その場はきれいになったように見えますが、まだ肌に必要な角質を剥がしていることには違いありません。続けていると悪循環に陥ります。

粒子の大きさ×摩擦の強さ=ピーリング効果の大きさ

なので、1層だけ剥がれることもあれば、ごそっと数層剥がれるケースもある……このような関係です。

米ぬかで肌のセラミドが補給される!?

米ぬかや米自体にもセラミド様の脂質は含まれており、実際米ぬかから抽出し製造された化粧品成分に「コメヌカスフィンゴ糖脂質」があります。

通称「米セラミド」と呼ばれる油脂成分です。他のセラミド成分と同じ働きで、肌を乾燥から護ります。

しかし、肌につけても細胞間脂質としてのセラミドとして働くわけではありません。ところが中には、あたかもセラミド様成分が肌の細胞間脂質を構成するような説明をする化粧品もあり、誤解を招いているようです。

セラミドの誤解については長くなるのでこちらを参考に。

参考:「セラミドの麗しき誤解 ~細胞間脂質とラメラ構造とは~

以上、世間でよく言われている米ぬかの美容効果について、サッポーの視点で判定し、解説してみました。

確かに米ぬかは化粧品が未開な時代には、大いに役立っていたと思われます。化粧品技術が飛躍的に発達した現在では、もっと安全で安心な製品を使うのが賢明です。

米ぬかのイメージを利用して販売されている化粧品を見かけます。これらは全て現在の技術で化学的に精製された製品なので、そう心配するような製品ではないでしょう。

いずれにしても、サッポーは米ぬかを美容法ではなく、食生活にこそ活用すべき逸材だと考えます。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 米ぬかには身体に良い微量栄養素がいっぱいある
  • 米ぬかの効果を誇大に見せる美容法には疑問がある
黒板に注目!

編集後記

私達の身近にあるお米や米ぬか、身体にも良いのだから、肌に良いように思いますが、そうとは限りません。

やはり肌には、肌用に開発された化粧品に軍配が上がります。お米は食べて、身体の栄養素にしましょう。巡り巡って、肌の健康に役立ちます。


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