ピーリングは有効?それともタブー?

今回は珍しくピーリングの話です。

肌の治療に使われるピーリングは、美容目的にも利用されます。

治療としてのケアと私達が日常行うスキンケアの狭間で、少なからぬ混乱が起きているように思います。サッポーも境界線を明瞭にして、わかりやすい講義にしないといけないな……と、反省しました。

“kmky”さんのご質問です。

皮膚科の先生の言と、サッポーの理論が違う……どちらが?

“kmky”さんのご相談です。

> 通っている皮膚科でにきび跡の治療にケミカルピーリングをすすめられました。

> サッポーでは角質をはがすことやピーリングはタブーとのことですが、皮膚科の先生はしみやにきびのケアにはピーリングが有効だと言います。皮膚科の先生がでたらめをいうとは思えませんがサッポーの理論も納得しています。

> 今にきびあとが気になっており何をしてもなかなか改善しないのでピーリングをしようかどうか迷っています。どうかよい回答をお願いします。

“サッポー美肌塾スキンケア相談室”の返信です。

どちらも正しい……!?

そうですよ。先生のいうことを信用しましょう。でも、サッポーのいうことも信用して欲しいのです。

……これでは、「えっ?」ですね。

治療(cure)と、ケア(care)の違いでしょうか。私達は治療もケアも、ほぼ同意語として使用しているように思います。ここに大きな勘違いが生まれてしまうようです。

擦り傷が出来た皮膚、炎症を起こした皮膚の回復は、猛烈なスピードで細胞を再生し、新しい皮膚を作って行くことによって行われます。よく表皮細胞のターンオーバーが28日周期で行われ、新しい細胞に入れ替わっている…という話をお聞きになっていることと思います。

このターンオーバーが数日で行われるような早さで行われるのが、傷や炎症からの回復期にある肌の状態です。

このような皮膚が持つ素晴らしい自然治癒の能力を利用したのが、ピーリング治療であり、ステロイド剤による皮膚トラブルの治療です。

医療としてのケミカルピーリングには、市中で使用される弱いピーリング剤ではなく、強度のピーリング剤が使用されます。擦り傷や炎症を起こした肌と同じような猛烈なターンオーバー(新陳代謝)を引き起こすことが狙いです。

急速に新しい細胞で皮膚が形成されるのですから、トラブルの症状が早く消えます。しかし、それは細胞一つひとつの未熟化を代償に、取り敢えずの良い状態(バリアーする状態)を作っているわけです。

ピーリング治療で大切なのはここからです

トラブルを解消したかのように見える新しい肌は、未熟でひ弱な肌(角質層)が守りの矢面になっているのだと理解すべきなのです。

環境ダメージ(紫外線や乾燥)や外部刺激に対し、とても過敏な状態になっているので、保湿して肌を整える、保護ケアによって乾燥から肌を守る、UVケアによって紫外線から肌を守る、…といったスキンケアの基本が極めて大切な時です。もちろんその他にも、過敏な肌が驚くようなことはしない細心の配慮が求められている状態です。

ピーリング治療後は徹底した肌が育つ環境作りが必須です

つまり、サッポーがいつも推奨している「肌が育つケア」、肌が育つ環境を作るケアが大切なのです。肌が育つには時間がかかるので、肌の運命は肌が育つケアの「継続」に託されます。

肌はターンオーバーが一巡し、100%新しい細胞に入れ替わったからと言って、育ち度も一気に100%になるわけではありません。ターンオーバーを繰り返す毎に肌の育ち度は一段ずつ上がっていくのです。

育ち度が上がると、例えば、肌の育ち度が70%を超えると、肌はグンと安定します。しかし、まだ万全とは言えません。ちょっとひどい目に会うと、乾いて硬く縮みやすい肌は、様々なトラブルを呼び込む不安定さも隠し持っているからです。

さらに肌が育ち度を上げていく環境を維持していく、つまり肌が育つケアの「継続」こそ、誰が評価しても美しく、健康な肌、多少のダメージには揺らがない肌を実現していきます。

ピーリングケアの繰り返しが悲劇を生む

一方、私達が市中で求め、使用が許されるピーリング剤は、ピーリング効果が弱く、ある程度ターンオーバーを早める程度のものです。ある意味安全なのですが、治療にはならない程度と考えねばなりません。

しかし、古びて汚く見える角質を取り除き、新しい無傷の角質を見せるわけですから、その場、その場はきれいになったように見えます。ところが、角質を取り除かれた肌のターンオーバーは早まりますから、まだ準備不足の表皮細胞が角質として送り出されていくようになります。

つまり、使用したその日、その場は直前よりきれいに見えながら、実際は明日の肌の未熟化が次第に進行していくわけです。でもこの現実にはなかなか気づかないものです。もう少し長い目、例えば1ヶ月毎の視点で評価すると、トラブルはさらに拡大しているのが簡単にわかります。でも毎日みているから判らないのです。

気づかずピーリングケアを続けていると次第に肌の過敏さが高まり、さらなるトラブルへ発展していきます。でも、ここで気づいたのでは遅過ぎます。本来の肌に回復させるには、過敏さからの脱出という難題を抱えながらの肌が育つケアとなるからです。

ピーリングによる美容ケアは、日常の定期的な美肌術(スキンケア)として利用すべき手法ではないのですね。

着地点はよく育った肌=健康な肌=美しい肌=強い肌です

このようなわけで、サッポーは治療としてのピーリングやステロイド剤の使用を否定していません。積極的にお勧めしないだけです。

治療としてのピーリングといえども、適切な医師の指導と、肌が育ち続ける存在であることを、よく理解した患者の適切な事後のケアを前提として、はじめて上手くいくものです。もし適切な事後の肌管理が拙いものになれば、未熟化を進行させた過敏な肌は遅かれ早かれ、さらなるトラブルに巻き込まれることは容易く想像できます。数多く見られる悲劇の告白や相談です。

ピーリング治療によって炎症や炎症反応が早く癒え、肌が育つケアの最初の工程を短縮することが出来るのは、大きなメリットです。しかし、私達の理想はもっと高いところにあるはずです。

さらに肌の育ち度を上げていき、さらなる健康と美肌を実現することが最終的な狙い、着地点でしたね。


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