薬と化粧品、併用してもいい?

イメージ画像:薬品

「『○○△△炎』で、毎日薬をつけています。」

「サッポーの化粧品は薬を使いながら使用してもいいのでしょうか?」

サッポーが「敏感肌脱出プログラム」というトライアルセットを紹介してからでしょうか?このような相談が急増しました。

医師が処方しているケースもあれば、自分がドラッグストアで買ってきたものまで、背景となる皮膚の症状は相談者により様々です。何か説明や注意を貰っているはずですが、実際に肌の様子を見ていたら、どうしたらよいか判らなくなるのです。

医師のアドバイスも、「いつも使用しているのを使ったらいいですよ」というものから、「薬だけで他には何もつけてはいけません。でも紫外線には注意して!」といったものまで、様々なパターンがあります。ドラッグストアで買った薬の説明書を見ても、よく判らないものです。

過去の自分の体験・経験に照らすと、薬と化粧品を併用して何事もなく治ってしまった記憶もあれば、化粧品にかぶれたのか、ひどい目にあったという痛い記憶もあるでしょう。

しかし、顔の肌は見せないわけにはいきません。化粧だってしたいし、乾燥もすれば、紫外線を浴びることだって多い、炎症で悲鳴をあげている肌だからこそスキンケアは必要なのでは?と疑問も湧きます。迷い出すとますます答えが見えなくなります。

敏感な肌状態にある方が多いということもありますが、薬と化粧品の併用に、このような背景があることも関係しているのでしょう。とにかく、相談の多いテーマです。にもかかわらず、サッポー美肌塾で、このようなテーマを正面から取り上げたことがありません。断片的に関係するケアの注意に書き添える程度でした。

読者の皆様なら、どのように考えるでしょう。

サッポーは「ケースバイケースで対処せよ」とアドバイスしています

これがサッポーの答えです。でも、このままでは無責任な答えですね。

実は、前提として、ケースバイケースでどのように対処するかについての、いくつかの判断基準を知っていたら、対処法を自分で判断できるのです。けっして難しい判断基準ではありません。

肌に薬を使うケースにはどのようなものがあるでしょうか?

  • ニキビ発生に伴う炎症
  • 脂漏性皮膚炎に伴う炎症(赤み)
  • アトピー性皮膚炎
  • 様々な接触性皮膚炎
  • 日光皮膚炎(ひやけ)

良くある炎症を挙げましたが、他にも様々な湿疹や蕁麻疹などの発疹等、たくさんの皮疹があります。細菌や、真菌などのカビ、様々なアレルゲンや物理的・化学的刺激等々、原因も様々です。それぞれに使用される薬や治療法も異なります。

共通しているのは、肌が炎症を起こしていることです。
この炎症にどのように対処するかがケースバイケースなのです。
この時、押さえるべき視点は次の4つです。

  1. 炎症を起こした肌は、手厚く保護されることを求めている
  2. 炎症を起こした肌は、角質層のバリア機能が低下している
  3. 異物(化粧品等)が侵入しやすく、新たな炎症に繋がりやすい
  4. 炎症のある肌のマスト細胞※は、炎症を起こしやすくなっている

※マスト細胞:表皮直下に拡がる毛細血管周囲で危険の見張り番をしている免疫細胞の一つです。侵入物や強い刺激があると、免疫反応(炎症反応)を起こすために、警報を発し連絡する役目です。過敏な肌ほど良かれと思って活発に働きます。詳しくは美肌塾バックナンバー「敏感肌の原因!?マスト細胞が暴走するとき」を参照

炎症を起こしている肌は、バリア能が弱くなっているので、化粧品で守ってあげた方が治る環境としては格段に有利です。しかし、バリア能の低下は、化粧品の侵入を許しやすいと言う都合の悪い状態でもあります。化粧品の侵入に対してマスト細胞はさらなる炎症を起こして排除しようとするかもしれないからです。

炎症を促進しない範囲で、化粧品を利用して肌を守ってあげたらいいわけです。

でも、具体的には……さて、どうするか。

肌に浸透・侵入しにくい化粧品で肌を守り、肌の育ちを待つ

冒頭相談の回答としては、

「肌が炎症を拡大しない限り、薬と併用して化粧品を利用するのはよいことです。」

「しかし、少しでも炎症拡大の兆候があれば、すぐさま使用を中断します。」

となります。

これが大きな判断基準です。言い換えると、マスト細胞が許せば使用する。許さなければ、使用をやめると言う判断です。簡単ですね。

抗炎症剤といって、マスト細胞が警報を発して炎症を起こす連絡をしても、その連絡信号が伝わらないようにする薬が処方されていることがよくあります。これは幸いですね。炎症が促進されずに、化粧品でよい環境が作られたら、より早く、バリア能もしっかりしたものに育ってきます。

敏感な肌に求められる化粧品とは

薬で炎症反応が抑えられている時は、肌(バリア層)が育ち整うチャンスなわけです。肌が育つ環境作りに化粧品が大いに役立ちます。

しかし、この間に肌の育ちが上手く進まないと、薬をやめたとたんに、侵入した化粧品にマスト細胞が警報を発して再び炎症を起こす肌に逆戻りします。これでは、いつまでも良くなったり悪くなったりを繰り返すばかりです。

そこで、サッポーが考えたのが、バリア層がある程度育ち整うまでの間は、肌に浸透・侵入しにくい化粧品に統一して、できるだけの肌が育つ環境を作る方法です。

  1. 肌に浸透・侵入しにくい肌洗浄(メイク浮かし)アイテム
  2. 肌に浸透・侵入しにくい保護クリーム
  3. 上の下地に肌に刺激のないUV防止アイテムを重ねる

これなら、より有効に薬との併用が可能になり、薬をやめたあともしばらくの期間続けることで、安心して肌が育つ最低限の環境作りが可能になります。バリアーがしっかり整ってきます。

薬と化粧品の併用が失敗しやすい原因は、化粧品の基本的な性質として、肌に浸透しやすいように作られているためです。炎症を起こした肌にとって、浸透は侵入に繋がりやすいからです。

いかがでしたか?

薬と化粧品の併用について、あなたの判断基準は整いましたか?


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