アトピー性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎の違いは?対処法はどうしたら良い?

アトピー?アレルギー?

アトピーという言葉とアレルギーという言葉は、ほとんど同義語として日常会話で使用されています。

  • 「私アトピーでね。また湿疹が出てしまったの」
  • 「アトピーって遺伝なんでしょ?お父さんやお母さんにアトピーがあるの?」
  • 「私だけよ。でも、お医者様にアトピーって言われたの。
    『ホコリにアレルギーがあるから気をつけなさい』とも……」
  • 「そうなんだ!私も春になると花粉症でアレルギーが出るの」
  • 「大変だよねー!アトピーって、いろいろ気を遣うことが多くて……」

……このように、厳密に区別する習慣は見られません。

そもそもアトピー性皮膚炎はアレルギーではありません。

参考図:敏感肌とアトピーとアレルギーの位置関係参考図:敏感肌とアトピーとアレルギーの位置関係

アレルギー性皮膚炎は、特定のアレルゲンに触れると起こるアレルギー反応が、炎症を引き起こすものです。でも、アトピーにはこのようなアレルギー性のものも含めて要因とされるため、混同してもおかしくない関係なのでしょうね。

サッポーではアトピー性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎を右図のような位置関係で捉えています。
分類方法が違うので、重なっている部分があるだけの話です。大切なのは、肌に起きている事実を正しく捉え、適切な対処をすることです。

今日の講義では、アトピーやアレルギーの発生原因やメカニズムの違いには深入りせず、ケアの対処法にフォーカスして解説していきます。

アトピー・アレルギー性皮膚炎に共通した負のスパイラル

対処法に入る前に、アトピーやアレルギーによる痒みや湿疹・炎症を起こした肌の状況をしっかり知っておくことが大切です。背景を知って対処するのと、何も判らないままに「とにかくこうしたらよい」では、成果の現れ方が大違いですからね。

アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎に共通した負のスパイラル

  1. 痒くて掻いてしまうことによって肌のバリア層(角質層)が壊れていく。
    湿疹や炎症で、肌のバリア層が壊れていく。
  2. バリア層の壊れからバリア能が低下、有害な菌や化粧や汚れ等の異物が侵入しやすくなる。
  3. 侵入物に対し、免疫反応(赤みや湿疹等の炎症反応)が起こりやすくなる。
  4. 赤みや炎症を起こした肌はターンオーバーのサイクルが異常に短く(早く)なる。
  5. ターンオーバーが早いと肌細胞が未熟化、一つ一つの細胞が小さく痩せて乾きやすくなる。
    顔の面積は変わらないので、肌細胞が小さくなると、バリアーの隙間が多く・大きくなる。
  6. 隙間が多く・大きくなると、菌や異物の侵入が増え、免疫反応を頻繁に起こす。
  7. 肌はますます未熟化するため、保湿力が備わらず、バリア層は一段と硬くなる。
  8. バリア層が硬いと、その硬さが痒み神経を刺激して、痒みを引き起こす。
  9. 炎症反応を起こす免疫細胞の信号も、痒み神経を刺激するようになる。
  10. (項目1に戻る)

このような負のスパイラルが肌に起きているのです。肌はますます敏感さを増して、大きく反応するようになっていきます。このような悪循環のスパイラルは一刻も早く止めなければなりません。

このような共通の事実を踏まえ、いよいよ対処法を見ていくことにしましょう。

アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎のスキンケア対処法

アレルギー性皮膚炎の場合、最初に行うべきは「アレルゲンを避けること」ですが、当たり前のこととしてここでは触れません。既に痒みや、赤み、湿疹等の炎症を起こすようになった肌の対処法を説明していきます。

痒みに対して掻かないようにする対処法

我慢するのも方法ではありますが、無意識に掻いていることも多いので、薬を利用するのがよいでしょう。バリアーが壊れ、バリア能が低下することがそもそもの始まりですからね。

  • ステロイドの利用も選択肢です。但し、医師の処方の下に使用することが鉄則です。
  • 抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の常備(医師処方薬、ドラッグストアの市販薬)

掻いてしまう状況がある限り、改善は見込めません。痒み対処は大切な第一歩ですよ。

肌に浸透・侵入しにくいケア製品でスキンケアを行うのが鉄則

クレンジングから洗顔、そして乾燥からの保湿・保護の製品、さらに紫外線を防止する製品の確保が必須です。しかし、化粧品は普通、肌に浸透しやすく作られています。

バリア層の壊れた肌は、角質層への浸透どころか、容易に肌内部への侵入を許してしまいます。これでは赤みや炎症を起こす免疫反応を起こしてしまうのは目に見えています。さて、これでは困ります。

  • まず洗浄においては、洗浄性能がなく、肌の化粧や汚れになじむだけのクリームを使用する方法を推奨します。化粧や汚れが浮き上がったら、あとはすすぎ洗いするだけです。洗顔料は使用しません。このクリームにも肌に浸透・侵入しにくいものであることが求められます。
  • 次に、肌の保湿・保護ですが、化粧水はどんなものでも肌に浸透しやすいので、良くなるまでの間は使用をストップします。肌に浸透・侵入しにくいワセリンでの保護が適しています。しかし、ワセリンは見映えと感触が良くないので、ワセリンに変わる肌に浸透・侵入しにくい保護製品があれば尚良いでしょう。
  • そして、忘れてならないのは、UVケアです。敏感で、未熟化した肌ですから、熱刺激を与える紫外線吸収剤を使用した製品や、未熟化と敏感さを進行させるウォータープルーフの製品は避けます。紫外線散乱剤型のUVケア、ファンデーションが適しています。

サッポーの『敏感肌脱出プログラム』は、このようなスキンケア製品のトライアルセットとなっています。自分で浸透・侵入しにくい製品を探すのが難しい、という方におすすめです。

以上で、スキンケアとしては一通りの必要な説明が終わりました。

マスト細胞が活躍しないような環境を意識して作る

しかし、スキンケアだけで、免疫反応(赤みや炎症等)を起こしやすくなっている肌は、おとなしく黙ってくれるわけではありません。

一度敏感さを高じさせてしまった肌は、掻くという破壊行為や、侵入物だけに反応するのではなく、様々な刺激に免疫反応を起こすようになっています。この部分の注意が、とても大切なのに、世間ではあまり解説されていないように思われます。

上記に、免疫細胞が痒み神経を刺激するとありましたが、この肌の見張り番をしている免疫細胞をマスト細胞と言います。マスト細胞は、身体を守るために炎症を起こして有害物を排除する働きをしているのですが、既に敏感になった肌のマスト細胞は、ちょっとしたことにも過剰に働く癖がついていて、赤みや炎症を起こすようになっています。

冷熱の刺激、物理的刺激に注意!

マスト細胞は、冷たい・熱いの刺激にも反応します。健康な肌でも、冷たすぎたり、熱すぎたりすると、凍傷や火傷という炎症を起こしますが、既に敏感になってしまった肌は、多少冷たい、多少熱いといった程度でも、赤みや炎症を起こすよう、マスト細胞が働いてしまうのです。

タオルの使い方には注意

日常で注意すべきは、シャワーや入浴時の湯温です。38度以下が敏感な肌に適した温度です。敏感さの程度によっては、37度台にしないと反応しているケースもあります。浴室を暖かくして湯温は低く設定する……これが極めて大切な鉄則となります。

もう一つ、マスト細胞が働いてしまうのが物理的刺激です。肌に加わる圧や摩擦です。掻く行為はその最たるものですが、タオルの使い方や、スキンケア時の肌マッサージなどにおいて、優しいつもりでも、マスト細胞は反応していることがあります。

詳しくは、サッポー美肌塾の「悩み別・肌が育つケア」にある「まず、過敏肌からの脱出を」に詳しく説明されています。もし悩みが該当しているなら、隅から隅まで読んでしっかり取り組んでみましょう。

スキンケアや環境作りが順調に行われれば、前節に挙げた、負のスパイラルが正のスパイラルに変化していきます。バリア層に出来た隙間がなくなり、アトピー性の皮膚症状、アレルギー性の皮膚症状の改善が進み始めます。

サッポーのデータでは、95%の肌がアトピーやアレルギーのない肌同様のレベルまで、回復しています。肌は、アトピー体質やアレルギーを持っていても、環境次第で成長し、変化する力を備えているのですね。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • アトピーとアレルギー、症状は違ってもケア方法は一緒
  • 肌は環境次第で成長し、バリアーが強化されると変わる
黒板に注目!

「サッポー美肌塾」第611号


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