ニキビ、それも炎症ニキビと切っても切れない関係にある、アクネ菌……。
このアクネ菌に関して、愛用者の“guria”さんから興味深いご相談を頂いたので、本日のテーマとして取り上げたいと思います。
“guria”さん、ありがとうございました!
“guria”さんの質問
サッポーのクレンジングクリームの成分の一つに、オリーブ油とありました。オリーブ油にはオレイン酸が含まれているのでしょうか?
オレイン酸はニキビの炎症原因、アクネ菌が好む栄養分との認識があるので、気になっています。
“guria”さんがおっしゃるには、ネット上にこのような情報がたくさんあるとのことでした。サッポーも調べてみましたら、確かに「オレイン酸の含まれるオリーブ油はニキビにはよくない」と早合点しても不思議ではない内容が溢れていました。
でも、これは本当に正しい情報なのでしょうか?
オレイン酸とアクネ菌、ニキビの関係
オリーブ油を初めとして、植物油は様々ありますが、普通1種類ではなく、10種類近くの脂肪酸(脂質)で構成されています。
オレイン酸はリノール酸と並び、ほとんどの油で中心的な脂肪酸になっていますが、その構成割合は様々です。オリーブ油に至っては、確かにこのオレイン酸の割合が他のオイルより頭一つ分多い構成になっています。
しかし、他の油にも含まれるオレイン酸ですから、特にオリーブ油に多いと言うだけで、そのことは余り気にしなくて良いと思います。
そもそも、私達が分泌する皮脂においても、オレイン酸は主要脂肪酸の一つです。それに、実はアクネ菌はオレイン酸に限らず、脂肪酸が好きなのです。
つまり、アクネ菌は、皮脂や化粧品の油脂、それらの中にオレイン酸がたくさんあるからといって、ニキビを作るわけではないのです。
- ニキビ発生の根本原因
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ニキビ(皮脂詰まり)が発生するのは、毛穴に皮脂が溜まり、詰まるからです。
これは、毛穴を構成する皮膚表層(特に毛穴出口付近)が硬くなっているからです。なぜ硬くなるかというと、何らかの原因で、皮膚表層の細胞一つひとつが未成熟で、痩せているからです。これが、しっかりしたものになると、肌の水分保持能力も高くなり、柔らかい細胞を持つ角質で毛穴が作られます。
こうなると、皮脂が溜まることも、詰まることも起こりません。本来、いくら皮脂が多くても、自然に押し出される仕組みになっているからです。しかし、皮膚表層が硬くなっていると、皮脂の分泌が少なくても溜まり詰まるようになります。
- 炎症ニキビ発生の根本原因
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皮脂が溜まって詰まって、ニキビが発生すると、この皮脂を好むアクネ菌(肌の常在菌の1つ)が異常に増殖します。するとアクネ菌の代謝物も増えるため、それに肌の免疫細胞であるマスト細胞が反応して、肌が炎症を起こします。
これが通常のニキビが炎症ニキビへと変化していく様です。
情報に振り回されないために、正しい知識を得よう
今回の“guria”さんように、頂くご質問やご相談の中には、このような、一見真実らしき情報に振り回されているケースがよくあります。
でも、周辺の事実についてある程度の知識がなく、また最初の切り口に嘘がなければ、導かれる結論も真実に違いない……と思ってしまうのですね。
インターネットで簡単に様々な知識や情報を拾うことができます。しかし、その情報が確かなものか?間違いを含んだものか?全くの間違いなのか?というのは、本当のところよく判らないのが現実です。
吟味せず、鵜呑みにしていたら、とんでもない目に会うことがあります。そのためには、今回のような雑学的スキンケア知識も、大変有意義といえます。
サッポー美肌塾でもこのような話題を積極的に取り入れて行きたいですね。
よ~く考えてみても判断出来ない、サッポー美肌塾と違うことを言っている……と感じた情報は、ぜひスキンケア相談室までお寄せくださいませ。
- アクネ菌が好きな脂肪酸は、オレイン酸だけではない
- 一面の真実を含む情報は、よく吟味して考えてみよう
編集後記
オリーブオイル、身体にもいいし、大好きです。化粧品成分として化学的に利用するにしても、肌に悪いとは考えたことはありませんでした。
でも、このような角度から見せられると、なるほど……と思ってしまう何かがあり、ある意味、感心してしまいます(^^;)
「サッポー美肌塾」第383号
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