サッポーのご愛用者や美肌塾読者にとってはもう周知のことかもしれませんが、今回は保湿ケアと乾燥からの保護ケアについてです。
サッポーでは、
- 保湿=化粧水や美容液などの水性成分で肌を潤すケア
- 乾燥からの保護=乳液やクリームの油性成分で乾燥から守るケア
と明確に区別しています。
しかし一般的には、洗顔後のスキンケアを“保湿”という一つの言葉でひとまとめに呼んでいることが多いようです。他の化粧品サイトでも、多くが保湿一本で説明しています。
スキンケア相談室に届く質問にも「保湿はしっかりしています」「高保湿の製品で乾燥対策をしています」とあるのに、実際どんなケアが聞いてみると、化粧水や美容液だけで、乳液やクリームは使っていないケースがよく見られます。
このように、スキンケアが片手落ちになっている方がいるのでは……と思い、今回のテーマに挙げました。
肌の立場からすると、この保湿と保護のケアは全く異なります。そしてどちらも大切なケアです。
今一度、復習しておきましょう。肌の育ちを妨げているボトルネックの発見に繋がるかもしれません。
保湿ケアと保護のケア……役割と違いを知る
保湿ケアの役割
水は、もっとも温まりにくく、冷めにくい性質を持っています。なので、角質層(肌)に適度な水分が保たれると、冷熱等の外部環境の変化がストレートに伝わりにくくなります。つまり、安定した環境が維持され、その下層にある表皮細胞組織では適切な代謝が行われます。結果として、準備が整った、よく育った角質が送り出されるようになります。
また角質層は、水分の少ない状態が続くと硬くなり、しなやかさを失って脆くなります。水分が十分あることで肌内部環境を柔らかく護り、外面はしなやかな感触の良さとなります。
このような安定した代謝活動としなやかな肌状態を追い求めるのが、保湿ケアです。そのためのツールが化粧水や美容液です。
保護ケアの役割
主に乾燥からの保護ケアと、紫外線からの保護ケアがありますが、ここでは乾燥に限定して見ていきます。
目には見えませんが、肌には常に汗が分泌され、潤いが与えられています。(不感蒸泄の汗)
その汗が角質層に水分を供給し、さらに分泌された皮脂と混ざり、皮脂膜が作られます。皮脂膜によって、角質層の水分維持が強化されます。これが保護の働きです。
しかし汗や皮脂だけでは、肌を乾燥から守りきることは出来ません。特に顔の肌は外部環境にさらされるのが当たり前なので、化粧品で保護を強化してあげる必要があります。
皮脂膜を手助けするのが、乳液やクリームです。油脂成分が水分の蒸散を防ぎます。
保湿ケアだけでは、肌を乾燥から守ることは出来ない
保湿能力の高い化粧水やジェル製品をつけても、水分減少が若干遅くなるだけで、残念ながら「乾燥から肌を守る力がある」とは言えません。
しかし、保湿成分のおかげでしっとり感が長持ちします。これを勘違いして、肌は潤っていると判断してしまったら悲劇です。
実際には肌の水分はどんどん蒸散し続けています。従って、乳液やクリームなどの油性化粧品による保護ケアが、乾燥防止にはなくてはならない必須アイテムなのです。
保湿ケアと保護ケアは加減するもの
上のように保湿と保護のケアをどちらも行う、これが基本です。しかし、一年を通じて“いつも同じケア”で良いのでしょうか?
ここでは季節や環境の視点から、保湿と保護ケアの加減(強弱)を解説します。
保湿ケアの加減
乾燥しやすい環境で過ごす時や乾きやすい肌には、保湿力の高い化粧水や美容液でケアする、は皆さん知っています。
一方で汗の量が多い時に、保湿力を弱めることは、あまり知られていないテクニックです。
この場合の汗というのは先ほどの不感蒸泄の汗ではなく、体温調節のために分泌される汗のことです。目に見える、感じられる汗です。同じ汗ですが、量が多いのです。
この汗の量が多い時に保湿力の高い製品を使用すると、保湿成分が必要以上に肌に汗を溜めようと働きます。すると、べたつきやテカリが増してしまうのです。
水分が肌に溜まった状態が続くと、角質層はふやけ、脆く崩れやすくなります。これでは肌は育ちません。
季節や汗に応じて、保湿能の高いものと低いものを使い分けたり、重ねたりして、加減することが必要です。
保護ケアの加減
私達の生活は、一年を通じて肌を乾燥させやすい環境が多くなっています。冷暖房の普及で湿度の低い空間で過ごすのが日常だからです。
夏は涼しく乾燥し、冬は暖かく乾燥しているわけです。快適ではありますが、肌は悲鳴を上げていることでしょう。
このような乾燥環境に対し、加湿する工夫も大切ですが、基本は乳液やクリームによる保護ケアの強化です。季節に惑わされることなく、湿度が低ければ強化しましょう。
例えば、乳液を重ね塗りする、乳液とクリームを併用する、クリームを重ねる等々です。
また夏は、外に出ると暑く、たくさんの汗をかきます。肌表面だけを言えば、湿度100%の状態が続きます。肌に汗を溜めやすい状態です。
前段で「汗の多い時は保湿ケアを控えめに」と説明しましたが、保護のケアはどうすべきか……やはり控えるべきでしょうか?
ここは、油性度の高いクリームでしっかり肌を保護する、これが正しい判断です。
クリームが汗の水分を適度に弾き、肌に溜まるのを防いでくれるので、べたつき防止と肌のフヤケ防止になります。汗を掻いても肌上をコロコロと転がり落ち、爽やかさが維持されるのです。
今回は、保湿ケアと乾燥からの保護のケアについてお伝えしました。このケアの違いと基本的な考え方、ご理解いただけましたか?ぜひ、保湿と保護はケアが異なると認識して、よい肌環境を心がけましょう。
- 保湿ケアと、乾燥からの保護ケアは、明確に役割が異なる
- 肌環境に応じ、保湿と保護のケアを加減する…がポイント
編集後記
保湿と保護、サッポーでは当たり前のように分けて案内しておりましたが、世間一般とは少し違うようで……“肌が育つケア”を始められた方は戸惑うかもしれませんね。
でも分けて考えるのが、スキンケアのレベルアップに繋がります。
「サッポー美肌塾」第400号
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