背中にできる赤いポツポツ。これはニキビ?湿疹?それとも吹き出物?
治ったと思ったらまたできている!その内ポツポツが多くなって、いつも背中にある状態に!
痛みや痒みで困ることは稀で、顔のように毎日鏡で直視できるものではないので、普段は忘れていることが多いからでしょうか。
……このように、慢性化した状態になって初めて「これではいけない」と本気で取り組むのです。
そこで、色々と情報を集めて対処するのですが、なかなか良くなりません。
今回はこのような背中の赤いポツポツを解説してまいります。外見だけでなく、本当の背中美人を目指しましょう!
背中に赤みのあるニキビやポツポツができるわけ…原因と背景
背中にできる炎症はほとんどニキビなので、ここでは「背中のニキビ」に絞って解説します。
背景・原因は顔のニキビとほぼ同じ
- 何かの原因で肌が未熟化し、皮脂腺が活発化、肌が硬くなるのがそもそもの始まり
- 未熟化した肌は毛穴出口付近が硬くなり、皮脂が溜まりやすくなる
- 毛穴に皮脂が増えると皮脂大好き菌が増殖し、その代謝物に炎症反応が起きる
- 背中の場合、アクネ菌より真菌(マラセチア菌)の増殖によるものが多く、治りにくい
- すぐに赤み等の炎症反応を起こすので、肌の未熟さが改善されず、慢性化しやすい
炎症を起こさせる菌種が真菌であることが多い、この点が顔のニキビと異なります。顔の場合は、アクネ菌でしたね。
そして、真菌であることが背中のニキビを治りにくくしています。増加した場合、アクネ菌より炎症反応に結びつきやすいからです。
知っておくべき背中ニキビの特徴です。
以上、背中のニキビのあらましについて理解いただきました。
あとは、1~5の項目について、それぞれどのようにすべきかを考え、対処していけば背中のニキビとはサヨナラできます。
ところがこれがなかなかできないのです。治ったと思ったらまた新しいのができて酷くなる、数が増えていく、の繰り返し……どうしてでしょう。
これはたいていの方が、ニキビが無くなった時点で良くなったと思い込んでしまうからです。
本当に背中ニキビとサヨナラするには、予防策が日常の習慣となり、その結果「皮脂詰まりしない肌」にまで完成させなければいけません。
さて、それでは具体策に踏み込んでまいりましょう。
背中ニキビの赤いポツポツ…具体的な対策と予防法
前段で挙げた原因・背景の1番から順番に対策していこうと考えませんでしたか?実はこれ、逆なんです。
まず炎症反応を小さくする、頻度を少なくするところから始めるのが正解です。赤み等の炎症反応を起こしている肌は、一つ一つの細胞がバリアー作りのために粗製濫造状態になっています。
炎症を起こして肌が壊れているのだから、間に合わせでも良い、とにかく早くバリアー(角質の層)を強化したい、ということで、準備不足の未成熟な表皮細胞を早く角化させて、角質層作りに力点が置かれるのです。
ところが、間に合わせの角質達は乾きやすく硬くなりやすいので皮脂詰まりしやすい状態です。結果、皮脂詰まり、炎症性ニキビに発展……と、悪循環が続いてしまうのです。この時、肌はとても弱体化してると言えるでしょう。
だから、原因・背景の3・4・5番の炎症が起こる状態にフォーカスし、緊急に対処しなければなりません。
具体的には以下の二つの対策です。
- 炎症反応の原因となる刺激を減少させる
- 皮膚科受診や医薬品利用によって一時的に炎症反応を軽減する
もう少し詳しく見ていきましょう。
- 炎症反応を抑制するより、医薬品で炎症の原因を取り除く
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皮膚の炎症反応は免疫反応の一つです。皮膚の毛細血管周りで見張り番をしている免疫細胞(マスト細胞)は、危険だなと思ったら、毛細血管に信号を送り、炎症を起こして危険を排除しようとします。この結果が赤いポツポツです。背中ニキビの場合、真菌(マラセチア菌)増殖による刺激代謝物増加に対し、マスト細胞は危険を察知して反応します。
この場合、抗炎症剤でマスト細胞の働きを妨害するより、抗真菌剤で直接真菌の増殖を止め、減少させることの方が有効です。ドラッグストアより医師の処方薬が確実です。
一方で、過敏になったマスト細胞を安心させる作戦が必要です。真菌以外の些細な危険にも過剰に反応し、必要のない炎症反応を起こしていることが多いからです。
- お風呂や、シャワーの湯温は38℃以下にする
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39℃や40℃の湯だと、毛細血管内の血液が温められ、それにマスト細胞が反応したり、湯温そのものにも反応したりします。これではマスト細胞は安心せず、ちょっとしたことにも反応する癖を改めようとはしません。熱は免疫機能(マスト細胞)を活性化し、炎症を促進させるのです。寒い季節は浴室温30℃をキープすると、寒くなく入浴できます。
- 背中の洗浄は肌を柔らかくしてすすぎ洗いだけがベスト
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炎症部位は洗浄剤の刺激も嫌います。マスト細胞が警戒して反応すべく身構えます。特に石けんのアルカリ刺激に対して反応することが多々あるので注意です。また、摩擦等の刺激に対してもマスト細胞は過剰に反応しがちです。
入浴したらまず、ぬるい湯に浸かったり、めるいシャワーを浴びたりして背中に水分をしっかりなじませ、肌を柔らかくします。それから優しく手のひらで撫でるように背中をすすぎ洗いします。タオルの使用は肌を傷つけ失敗することが多いので勧めません。
これで十分清潔になったと信じてください。過ぎた洗浄・清潔は炎症の治りを遅くするだけです。
- 処方薬で落ち着いても、化粧水や乳液は使わない
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処方薬で炎症が治まり、赤みが消えていきます。この段階では、薬ではなく、肌に浸透しにくいサッポー推奨の敏感肌用クリームか、ワセリンを塗って保護しておきます。
皮脂詰まりを防止するため、肌を柔らかく保つ化粧水や乳液がよいのではと考えがちですが、肌に浸透しやすいスキンケア製品は逆効果です。炎症が治まっていてもバリア層はまだまだ脆弱な状態で、化粧水や乳液を使うと、浸透を通り越し、生きた表皮組織まで侵入して、マスト細胞の反応を導いてしまうからです。
以上が、背中ニキビ対策の柱です。
このほかにも、真菌増殖は皮脂が原因なのだからと、皮脂を減らす対策がよく言われます。ホルモンバランスが影響大であるとか、はたまたストレスが影響しているとか、あるいはまた、皮脂の酸化を抑えるビタミンC誘導体がよい……等々。全て事実ではありますが、全て枝葉の対策に過ぎません。
まず、柱となる上の対策をしっかり行い、赤いポツポツがなくなっても、対策を継続することが大切です。
炎症のない肌状態で、幾度かのターンオーバー(新陳代謝)を繰り返した時、肌のバリアー(角質層)は、しっかり育ち、肌を守るようになっています。肌はいつも柔らかさを保ち皮脂詰まりやニキビができなくなっています。
ここまで辿り着いて初めて完成となります。つまり、原因・背景の1番と2番への対策も完了したことになります。
途中で安心して手を抜いていたら再発して、また一からやり直しです。
良くなっても対策の継続が予防策となることを、くれぐれも忘れないでくださいね。
背中ニキビが再発しても慌てない知識…アクネ菌も真菌も皮膚常在菌の一つ
アクネ菌は顔にできる炎症ニキビの原因菌としてお馴染みです。背中はアクネ菌が原因となることは稀で、真菌(マラセチア菌)が原因の大半を占めます。そこで、これらの菌をやっつけたいと思う気持ちが強くなりがちです。でも、そのような意識は捨ててください。
アクネ菌や真菌はたいていの健康な肌に棲み着いている皮膚常在菌です。善玉菌や悪玉菌、そして日和見(ひよりみ)菌に大別されて説明される腸内細菌の働きに似ており、その中の日和見菌に似た存在です。
普段、アクネ菌や真菌は、その他の皮膚常在菌と一定の勢力バランスを保って棲み着いており、有害な菌などの侵入を防いでくれる善玉菌の一つとして働いています。しかし、大好きな皮脂が毛穴に溜まると増殖して代謝物が増えます。この代謝物の増加を警戒して、マスト細胞が炎症を起こすのでした。つまり、悪玉菌に変わってしまうのです。
このようなわけですから、医薬品の利用で減少して治ったと思っていたら、ある日突然増殖して、赤いニキビが再発します。でも、ここでけっして焦ってはいけません。
すっかり皮膚常在菌のバランスが整うまでは、再発しやすいのだと認めることが大切です。再発しても今日の美肌塾で案内した予防策を行えば、以前より早く治癒します。すっかり肌が安定するまで粘ることが、遠回りに見えて、実は早く良くなるんですね。
きれいな背中をみると、思わずうっとりと見とれてしまいます。素肌がきれいに整った背中は、女性の魅力でしょう。自分の背中を普段まじまじと見ることはありませんが、きれいに整った背中があると想像するだけで幸せな気分になれますからね。
- 皮脂対策よりも、真菌や炎症の対策を優先する
- 背中ニキビが再発しても、粘り強く対処を継続
「サッポー美肌塾」第436号
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