表題のような質問を時々いただくことがあります。
先に結論だけを言うと、肌に優しい面が増えることは確かですが、本質的な長所・短所は変わりません。
潜在的に、かなり多くの方が戸惑っているテーマなのだと推定して、今日のテーマとして解説することにしました。
紫外線が肌にとって怖いものだという情報が当たり前になり、UVケアは日常のケアとしてごく自然なものになりました。日焼け止め下地製品だけでなく、ファンデーションなどベースメイク製品にも必ずと言っていいほどに、UV防止機能が付加されています。
紫外線が肌に及ぼす主たる悪影響は次のようなものです。
(日常生活で起こりえる現象に限定)
- 日焼けを起こす、火傷症状を起こす
- 肌が敏感になる(肌細胞が未熟化する)
- 肌がシミを作る引き金になる最大原因
- 肌にしわやたるみを作る最大原因
- 肌老化(加齢)の最大原因
以上は直接的な影響のみですが、現実には様々なトラブルに繋がり、結果として見た目の美しさが損なわれていきます。また、日焼けや火傷症状など判りやすいトラブルもありますが、敏感肌・シミ・シワ・たるみ・老化と言った項目は、時を経て進行するもので、日常における自覚症状がないものばかりです。
いずれにしても、様々な情報のおかげで、UVケアが当たり前の習慣になりつつあるのはとてもよいことです。最近の傾向としては、男性にもUVケアを意識する人が増えてきました。美肌であること、健康肌であることの価値を重視するように意識が変わってきたのでしょう。
さて、このような紫外線とUV対策ですが、より効果的に、より完成度高く紫外線を防止しようとすれば、化粧品利用が最適となります。日傘や帽子などは、紫外線直射をこそ防ぐことができますが、乱反射する紫外線には無防備と言えます。
つまり、UV防止効果のある製品の選択をどうしたらよいかというテーマが待ち受けています。
UV防止に使われる成分は、紫外線散乱剤と紫外線吸収剤に大別され、それぞれの特徴は以下のようになります。
紫外線散乱剤
酸化チタンと酸化亜鉛の2種類があり、パウダー粒子が紫外線を遮断(反射)する
- 肌に優しい存在だが、肌につける量により紫外線防止能が左右される
- 汗や水で崩れやすく、乾きすぎても崩れやすく、紫外線防止能が低下する
紫外線吸収剤
数十種類以上の成分が開発されており、油脂に溶けた状態で作られる
- 酸化チタンや酸化亜鉛のように白浮きしない
- 液状なので、乳液やクリーム状にもでき、肌に塗り伸ばしやすい
- シリコン油との相性が良く、ウォータープルーフ機能を強化しやすい
- 化粧崩れしにくいので、紫外線防止能が安定する
このように比較すると、紫外線吸収剤を使用したUV製品の方がずっと良さそうです。事実、UVケア製品は紫外線吸収剤を利用した製品の方が多く販売されています。しかし、上にはまだ書きませんでしたが、紫外線吸収剤には、大きな欠点があります。
- 紫外線散乱剤より肌に浸透・侵入しやすいため、肌を刺激していることがある
- 紫外線を熱に変えて紫外線の侵入を阻止する方式であるため、熱刺激がある
微弱な刺激なので、刺激に気づかず使用を継続することによって、敏感な肌部位を作り、敏感肌やシミ発生の大きな原因になっています。シミ患者の3割を超える原因が美白剤と紫外線吸収剤によって占められている事実を知ると、これは警告しないわけにはいきません。
刺激を受けて軽い炎症を起こしているのに、使い続けることがシミに至る原因なのですが、気づかないのだから仕方がありません。
サッポーは、紫外線吸収剤を使用したUVケア製品は特別な日だけの使用に留め、継続使用しないことを機会あるごとに呼びかけておりました。
このような背景があって「カプセルに包まれた紫外線吸収剤なら肌に優しいのでは!?」という質問をいただいたわけです。
ずいぶん長い前置きになってしまいましたが、この背景を知っておくことで、UVケアの失敗はグンと少なくなるはずです。しっかり理解しておきましょう。
シリコン油を利用したカプセルに紫外線吸収剤を閉じ込める効用
前段で、紫外線吸収剤の欠点を2つ例示しておりましたが、この内の1つが、カプセルで包むことによって解消できます。
紫外線吸収剤の欠点を再例示
- 紫外線散乱剤より肌に浸透・侵入しやすいため、肌を刺激していることがある
- 紫外線を熱に変えて紫外線の侵入を阻止する方式であるため、熱刺激がある
カプセルはシリコン油を利用して作られます。ウォータープルーフ機能を強化する、あのシリコン油です。
このカプセルに閉じ込めることによって、肌に浸透しにくくなります。既に肌が未熟化して、敏感な傾向にある肌にとっては、とてもありがたい効用です。浸透しにくいと侵入もなくなりますから、肌を刺激して気づかない程度の炎症反応を起こすことがなくなるわけです。
しかし、もう一つの熱刺激はカプセルで包まれたら、なくなるのかというと、それは関係ありません。熱に変換するのが紫外線吸収剤の仕事ですし、発生した熱は必ず伝わり刺激となって炎症反応を促進します。
というわけで、カプセルに包まれた紫外線吸収剤の方が、浸透しない分、肌に優しいことは事実です。しかし、熱刺激による炎症は、通常の紫外線吸収剤と同様に覚悟しておかないといけない、このように考えるのが正解です。
油に溶かした紫外線吸収剤をシリコンカプセルで包むことによって、油のぬるぬる感を無くす製品作りが可能になったのはもう一つの効用と言えます。さらさら感のある紫外線吸収剤を利用した製品にできるからです。便利なスプレータイプも可能となりました。
顔の肌は、敏感なので使用できなくても、健康な手や足の肌には遠慮なく使えます。もちろん、特別な日に限った使用ですよ。肌がサラサラした状態で、夏の1日を楽しめるのは、とても素晴らしいことです。
しかし、継続して使用するのは、たとえ健康な肌であってもサッポーはお薦めしません。
紫外線吸収剤の弊害に加えて、さらさら感を演出しているシリコンカプセルが、汗の効用を減じ、次第に水分の少ない肌に変えていくからです。敏感さが現れ始め、熱刺激を受けやすい部位が次第に増えていきます。気づかない変化が、いつの間にか弱い肌を作ることに繋がっています。
紫外線吸収剤やシリコン油を利用した製品の功罪については、下記のページを参考にして下さい。
いかがでしたか。UVケアの正しい知識は大切ですよ。
紫外線によるダメージを防止する大切さと利用するアイテムの弊害を天秤にかけ、選択することがあなたに求められています。
- 紫外線吸収剤の利用は、肌状態を踏まえ、使用是非を判断
- シリコンカプセルで包んだ紫外線吸収剤でも、継続使用は……
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