角栓に悩んでいる方は多いですね。見た目や形状には様々あり、ある人は角栓というが、ある人は皮脂詰まりだという。今回はスキンケア相談室に寄せられた、ご相談を元にこの間違えやすい角栓に焦点を当てて、解説していきます。
角栓がどのようなものかしっかり理解し、正しい対処法を知ってください。
角栓?皮脂詰まり?毛穴の黒ずみ?……の判断
まずは、美肌塾読者のまちこさんから相談室に届いたメールをご紹介します。
まちこさんのご質問・ご相談
私は今、顔にできる角栓に困っています。鼻はもちろんのこと、頬、アゴ、眉間、こめかみの辺りなどに、多数白い角栓がポツポツ浮き出ていて、いっそのこと毛穴パックでもして一気に取り去りたい衝動と戦って耐えているのですが、もう我慢の限界かも。。。
くわしく説明すると、お風呂上りなどに手鏡で肌をよく見ると、小鼻を中心にほっぺたなどに、白く少し突起した脂肪の大変小さな固まり(結構やわらかい)が目立って見えます。時間がたち肌が通常の状態に戻ると目ただないのですが、化粧などをし、ファンデを塗り時間が経つと、ファンデの成分と脂肪が混ざり合うのか、また白く、少し突起した脂肪の小さな固まり群達が目立ってくるのです。
まちこさんが書いておられる白い“角栓”とは、本当に角栓なのでしょうか。
角栓でないものまで混同されて角栓と呼ばれるようになっており、確認してからでないとその後のケアで間違いを犯すことになります。
正しい対策に繋がるように、念のため、確認しておきましょう。
- 1.角栓
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毛穴付近で起こる現象なのですが、この辺りの角質はそもそも傷みやすく剥がれやすくなります。
傷んだ角質は、未熟で、自ら分解酵素を出し剥がれていく能力も不足しているので、一部がくっついたままに肌に残りやすいのです。
これが角栓の始まりです。この角栓に皮脂や汚れが付着し、毛穴をふさぐ栓となる、文字通りの角栓となる場合もあります。
ところが、これら角栓を無理にはがすと、角質細胞同士がまだ部分的にしっかりとくっついているので、周辺の角質も伴って、必要以上に剥がすことになります。
こうなると、まさに悪循環の始まりというわけです。
次第に現象はエスカレートしていきます。 - 2.皮脂詰まりの初期
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開いた毛穴に白っぽい硬くなった皮脂が見え、ある程度硬くなると、ぎゅっと押すことで、「にゅる」と皮脂の棒が頭を出してきます。頭部分が酸化して黄色くなっていたり、汚れなどもついて酸化すると黒っぽく見える場合もあります。
洗顔時のマッサージなどでいつか取れている場合もあれば、皮脂が貯まり続けて大きなニキビに成長していく場合もあります。
この皮脂詰まりが、角栓と混同されていることがよくあります。
- 3.毛穴の黒ずみ
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毛穴付近の角質が未熟で硬い状態になっていると、毛穴は開き気味となり、毛穴の窪み部分に皮脂が付着しやすく、皮脂や油脂などの汚れを吸着させて酸化するので黒っぽく見えたり、茶色っぽく見える場合があります。
このような状態になったものを、通常“毛穴の黒ずみ”と読んでいます。
毎日の洗顔で角質が自然に剥がれる時に一緒に取れていくものですが、未熟なため、またすぐに黒ずむことが多くあります。
以上、角栓と角栓に間違われやすい例を挙げました。もちろんこれら三つが同時進行している場合もあります。
角栓と思っていたのに、実は……
今回の相談者、まちこさんの場合、どうやら角栓ではなさそうです(^_^;)
今の段階は2の皮脂詰まりの初期、つまりニキビです。それも角栓と間違うような、小さなニキビです。肌がそれなりに柔らかさを維持しているので、成長した(大きな)ニキビにならずに済んでいます。
もし、ここに角栓が発生すると、ニキビの成長が危惧されます。角栓でないのは、これ幸いだったのです。
皮脂は、洗顔時に適度に押し出され、洗い流されているのですが、またすぐに再発している状態です。今の状態が続くようでは困りますね。
このような小さなニキビ、炎症に至っていないニキビに限り、とっておきの方法があります。失敗することが多いので、積極的には案内していないのですが、まちこさんのような状態であれば、試してみてもよいかもしれません。
参考:「ニキビの芯出しをする前に、必ず知っておくべき「ニキビの段階」と「芯出しの手順」」
角栓と皮脂詰まり、同じように見えても、発生や対処法には違いがあるのですね。それに、自分のトラブルを正しく知っておくことは、スキンケアを行う心持ちも変わってきますね。
ここで、より知識が深まるように、角栓と皮脂詰まりの関係を案内しておきます。
角栓と皮脂詰まりの関係は?
皮脂が毛穴に少しでも貯まれば、それはもうニキビです
医療用語ではざ瘡とか、特に顔にできるものは面皰と呼ばれていますが、毛穴に皮脂が貯まると炎症が始まります。この段階で誰もがニキビと呼びます。
炎症はアクネ菌が増えることにより起こります。このように言うと、それならアクネ菌退治と思いますが、それは早合点です。
アクネ菌は誰の肌にも住んでいる、肌を守る常在菌の一つです。大切なのは退治することではなく、アクネ菌の大好物である皮脂を毛穴に貯めないことです。
貯めなければアクネ菌は増えません。増えなければ炎症を起こしません。炎症が拡大することもありません。
角質剥がれが早くなるとニキビは成長しやすくなる
まちこさんの肌は、今はかろうじて均衡状態を保っていますが、これを破るのが“角質剥がれの亢進”です。角質が予定より早く剥がれると、新しく表面に現れた角質はより早く水分を失い、以前より少し硬い肌となります。
毛穴の出口付近の角質が硬くなると、剥がれる準備ができてないのに剥がれかけます。乾燥して脆くなるからです。毛穴の出口付近で剥がれかけた角質、これこそが角栓です。
この角栓が皮脂や汚れとくっつくと、文字通りの角栓として皮脂詰まりを拡大します。炎症も進行していきます。このように、角栓の発生と皮脂詰まりが同時に起こると悪循環を起こしやすい仕組みになっています。
赤くなった腫れ物になって初めてニキビという認識が多いようですが、皮脂詰まりが絶えず起こる肌の持ち主なら、段階があるということを知っておきましょう。
上の面皰圧子による芯出しが“とっておきの方法”であるのは、硬くなってきた皮脂詰まりを取り除くことによって、皮脂詰まりから始まる悪循環の拡大を防ぐことができるからです。この間にスキンケアを怠りさえしなければ、肌は着実に変わっていきます。肌の育つ時間(余裕)が与えられるからですね。
そして一度皮脂が貯まらなくなり、正しいケアが続けられると、二キビ(皮脂詰まり)に悩まされることはありません。角栓もできません。
角栓と皮脂詰まりの関係を知ったら、正しいケアを!
まちこさんは、ご自身のスキンケアについて、このように教えて下さいました。
スキンケアには保湿が大切!「角栓ができるのは保湿がちゃんとできていないのかな?」と思い、洗顔後、保湿はかなり徹底して行なっているつもりです。それでも一向に角栓は減るどころか、さらに増加の一方をたどっているような気がします。サッポーの保湿を徹底し、角質層を育てる方法で治せるのですか?
まちこさんの場合、角栓ではなく、皮脂詰まりだと発覚しました。この皮脂詰まりが増え続けているということです。このままですと、角栓も出来、均衡状態も危うくなり兼ねません。そうならないよう、きちんと防いでおきましょう。
上記の面皰圧子による芯出しも良いのですが、王道であるスキンケアをきちんと行いましょう。こちらがメインとなるケアですよ!
洗顔後、保湿はかなり徹底して行なっているつもり
ここに少し懸念を抱きました。
もし、乾燥が影響している肌であれば、化粧水や美容液による保湿ケアは大切ですが、保湿だけでは乾燥を食い止めることはできません。乳液やクリームによる、乾燥からの保護ケアが必須です。
保湿しただけでは肌上の水分は時間と共に蒸発してしまいます。保湿された良い状態をキープするためは、保護ケアは欠かせないのですね。
保護ケアについては、下記を参考に
参考:「“肌が育つケア”乳液・クリームの選び方」
一方、洗顔に関しても、クレンジング料に洗浄力のある製品を使用していたり、石けん以外の洗顔料を使用されていた場合、角質が剥がれやすくなります。
洗浄剤の界面活性能が肌に残り、ジワジワと角質の剥がれやすい傾向が現れるからです。石けんは界面活性能が肌に残らない、唯一の界面活性剤なので、サッポーでも洗顔に勧めています。
角質が剥がれると、乾燥が進行し、角栓の発生に繋がります。また乾燥した肌を護ろうと、皮脂も増加傾向になります。
これでは悪循環に繋がってしまいます。正しい洗顔を行いましょう。
洗顔のケアについては、下記を参考に
今から、これらのケアを変えておかなければ、いくら肌が育つことを願っていても叶いません。次々と角質が剥がれる仕組みが作られているのですから、いつまで経っても肌が改善されることがないのですね。
まちこさんにおかれましては、角栓や炎症に発展する前にご相談を頂き、幸いでした。これから、どんどん肌が健康に美しく、ニキビのない美肌になって行かれることでしょう。
いかがでしたか?
あなたが角栓だと思っていたもの、本当に角栓でしたか?それとも、皮脂詰まり?毛穴の黒ずみ?
正しい知識を持って、スキンケアを行っていくことはとても大切ですね。
判断が付かない場合は、スキンケア相談室をご利用下さい。
- 角栓か、そうでないのか、正しく捕らえることが大事
- 皮脂詰まりを発展させないよう、正しいスキンケアを!
「サッポー美肌塾」第181号
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