前回は「サッポーの肌が育つケアを支えるスキンケアアイテムについて、どのような製品を選ぶと良いか、その基本を語る」ということで、まずクレンジング料=メイク落としについて講義を行いました。
今回のテーマは、洗浄剤、洗顔料です。
最初に結論を言います。サッポーは、肌の洗浄はアルカリ性の石けんが良いと考えています。なぜなら、肌の育ちを邪魔しないからです。
「ということは、肌の育ちを邪魔する洗顔料があるの!?」
このような疑問が湧きますが、実はそうなんです。時には肌が育つ大きなブレーキになっていますが、たいていは小さなブレーキです。育ち度70%~80%の安定した肌を目指すだけなら、たいていの洗顔料はどれでもOKです。
難なく育ち度80%以上の、誰が評価しても健康で美しい肌を目指し維持するなら、石けんでの洗顔を勧めます。
その理由は、「界面活性剤が肌に残らない」からです。
洗顔料とは皮膚を洗う洗浄剤。洗浄剤とは様々な界面活性剤ですが、大きく2つに分けられます。すすぎ洗顔したあと、
- 肌に界面活性剤が残らないもの…石けんという成分名の界面活性剤
- 肌に界面活性剤が残るもの…石けん以外の(全ての)界面活性剤
に分けられます。サッポーが推奨するのは、界面活性剤が肌に残らないで、効果的に洗浄できる1です。
界面活性剤そのものが肌に残っても、別に毒性を発揮するわけではありませんから、その点は何も問題ありません。問題は、界面活性剤が肌に残ると最表層の角質が少~し早く剥がれる傾向が作られることにあります。
界面活性剤が直接肌に付着(セラミド等の角質と角質を繋ぐ脂質部分に付着)していると、次の洗浄時には、角質が予定より早く洗い流されてしまうことが原因です。
角質が早く剥がれるとバリア能を補填するために、ターンオーバー(表皮細胞の新陳代謝)が少しだけ早くなります。これが肌の育ちにブレーキのかかる原因です。表皮細胞の角化が早まります。角化の準備が不足したままに、角質として完成してしまう細胞が増えるのです。つまり、未熟な肌になっていくということです。
このような、ちょっとしたブレーキですが、毎日繰り返されると、他のケアをどんなに上手にしていても、育ち度80%台の肌はかなり難しい目標になってしまいます。
肌の洗浄は石けんがベスト!しかし……
肌の育ち度を向上していくのに、石けん洗浄の良いことが分かりました。
ところが、残念なことに、石けんが全てにおいていつも良いわけではありません。大きな欠点も持っています。肌の育ちに大きなブレーキとして働くことがあります。ブレーキどころか後退させていることもよくあるのです。
石けんが良いからと、石けん命!なんて盲目の恋慕はいけません。いつかどこかで、必ず裏切られます。
石けんの長所・短所、石けん以外の界面活性剤の長所と短所について大まかなポイントを押さえておきましょう。
長所と短所
- 1.石けんという名の界面活性剤(洗浄剤)
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石けん最大の長所は、角質の剥がれを促進しない点=肌の育ちを応援する洗浄、足を引っ張らない洗浄になっていることです。
石けんの長所にもなっているのですが、同時に最大の短所になっていることがあります。性質が弱アルカリ性である点です。過敏さを持つ肌、肌の育ち度が未熟なためバリア能の低い肌は、このアルカリの刺激を大きな刺激として受け取り、肌自らが炎症を起こしかけたり、実際に炎症反応を起こしてしまうことがよくあります。
赤みや石けんかぶれです。このような反応があると、ターンオーバーは速まり、肌の育ちにブレーキないしは、さらに未熟化を進行させることになります。これは大きな短所です。
- 2.石けん以外の(全ての)界面活性剤(洗浄剤)
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石けんと比べると、いつもマイルドで肌に優しいのが最大の長所です。
未熟化がある程度進行した過敏な肌は、石けんで洗った後、つっぱり感を覚えますが、これらの洗浄剤はつっぱり感が少ないのです。肌に残った界面活性剤がしばらくは洗浄時の水分を捉える保湿剤として働いているからです。石けんのような刺激もありません。
短所は、肌の脂質部分に付着した界面活性剤が、角質剥がれをじわじわと促進していくことです。つまり、優しいのだけど、積極的に肌が育つ良い環境を作ってくれるわけではないのです。
洗浄剤として、石けんも石けん以外の界面活性剤も、その洗浄機能にたいした差はありません。しかし、上の角質層に与える影響の違いは健康な美肌作りを目指す上で、とても大きな違いです。
さて、どうしたらよいでしょうか?
はてさて、これはちょっと困ったことになりましたね。
確かに、石けん命!一辺倒ではダメなようです。といって、肌の育ちを積極的に応援してくれないのも困る……!?
サッポー流「肌が育つケア」の洗顔法
石けんとそれ以外の洗浄剤、それぞれの持つ長所と短所を知った読者の皆様なら、どのようにされるでしょうか?両者のいいトコ取り…は可能でしょうか?
サッポーが大切にする洗浄とは
- 肌洗浄は大切だが、肌の育ちにブレーキをかける洗浄になってはいけない
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いずれの洗浄剤を選んでも、肌の育ちにブレーキをかけたり、肌の育ちを後退させたりする欠点がある以上、サッポーが課す定義を満足させる洗浄剤など存在しないことになります。
このようなわけですから、これがイイ、あれがイイと捜し回っても解決しません。
- 洗浄に完璧さを求めない方が良い
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解決のキーは、洗浄のレベルを少しくらい下げたって良いではないか…と考えることにあります。水洗い(すすぎ洗い)だけでもそれなりに肌はきれいになっていると考えたら、うん、それなら…色々と考えることができる、もやもやとした霧が晴れてきます。
洗い過ぎるより、洗い足りない…の方がよほど健康的なのです。肌は毎日最上層の角質を犠牲にしながら生まれ変わっている存在なのですから……。
ここで、全ての肌を満足させる、サッポーの「肌が育つケア」洗顔法を公開します。
- 1.超過敏な肌の洗浄法…洗浄は湯水ですすぐだけ
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何をつけても、ピリピリしたり、赤みやかぶれ症状を起こしやすい肌があります。また時にはそのような状態に陥るという肌もあります。洗浄剤にも反応することが多い肌です。
このような肌は湯水ですすぐだけがベストなのです。これで洗浄も合格ライン60点です。やがて次の2の洗浄ができるようになります。
- 2.過敏な肌の洗浄法…サッポーのクレンジングクリーム+すすぎ洗顔
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サッポーのクレンジングクリームは洗浄力のない肌につけるクリームと同じ造りですが、化粧や汚れ、酸化物になじみ肌から浮き上がらせてくれます。浮き上がった汚れをすすぎ洗いすることで、肌に優しくレベルの高い洗顔を可能にします。
さらに肌に浸透・侵入しにくい工夫がされているので、肌が反応してしまうことは極めて少ない特性があります。洗浄の完成度は80点ですが、過敏な肌のとしての、洗浄完成度は100点満点です。
夜だけでなく、メイクをしていない朝もこの方法がベストです。その内にハイレベルの洗浄も可能になってきます。
- 3.安定した肌の洗浄法…サッポーのクレンジングクリーム+石けん洗顔
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洗浄の完成度100点、もちろん肌が育つケアとしての洗浄完成度も100点満点です。
肌トラブルを抱えた肌には、朝晩共にこの洗浄法がベスト。
肌が安定し、トラブルも解消し、肌が健康になれば、朝は石けん洗顔だけでOKです。
いかがですか?いつもワンパターンの洗浄ではいけないということですね。
特に過敏さを持つ肌は、この1~3のステップの使い分けを叩き込んでおきましょう。
この三つの洗浄法を心得ていたら、どのような肌状態でも肌が育つ洗顔ができるようになります。すすぎ洗顔、肌に浸透しない洗浄能のないクリーム、そしてアルカリ性の石けん、これらを肌状態に合わせ上手く使い分けていけば、汚れを落としても不必要に角質を剥がすことのない、肌が育つ条件をクリアーできるわけです。
これがサッポー流、プロフェッショナルな肌洗浄法、つまり、肌が育つ洗浄法です。肌は育つと、必ず美しさも育っていきます。
次回は「保湿して肌を整える…化粧水・美容液等」をテーマにします。
お楽しみに~(^_^)/~
「サッポー美肌塾」第466号
更新
出来てるようで、出来ていない……“洗い過ぎない洗顔”
サッポー美肌塾では、洗顔による皮脂や汚れの「取り過ぎ」「洗い過ぎ」に警鐘を鳴らしています。でも、これは今では常識になってきました。しかし「洗い過ぎない洗顔」の出来ている方はごく少数です。
- 「もしかして私の洗顔も、“洗い過ぎ”なの?」
- 「洗浄力の弱いクレンジングなら、大丈夫なのでは?」
どこからが洗い過ぎなのか、ハッキリとした判断基準が無いので、次々と疑問や不安が湧いてきます。
洗い過ぎにならないためには『洗浄力』と『手指の力加減』がポイントです。
- 洗浄力の無いクレンジング料
- 界面活性剤が肌に残らない洗顔料
- 手指と肌の摩擦で汚れを取らない
これらが揃って“洗い過ぎない洗顔”だとサッポーは解説しています。
サッポーのクレンジング料も洗顔料も、上の条件を満たしています。あとは力加減を調節するだけ。
洗顔は、毎日行うスキンケアです。小さな変化の積み重ねが、大きな変化に繋がります。良い洗顔を選びたいですね。
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