「サッポーの『肌が育つケア』を支えるスキンケアにとって、どのような製品を選ぶと良いか、その基本を語る」今回のテーマは、肌の保湿に中心的な役割を果たしている化粧水や美容液を取り上げます。
本論に入る前に、一つお断りしておきます。
サッポーは保湿という言葉と(乾燥からの)保護という言葉を使い分けています。保湿とは水分を保持する力を指し、保護は水分の蒸散を防ぐという意味で使い分けをしています。
化粧水や美容液で保湿ケアをする目的
結論から、先に提示します。
化粧水は、さっぱりタイプとしっとりタイプの2つを用意し、保湿をさらに強化したい場合に保湿機能の高い美容液を用意していたら万全です。
もし、いずれかの一つしか用意できない場合は、しっとりタイプの化粧水を選びましょう。どうしてもさっぱりタイプでケアしたいという場合、保湿機能の高い美容液も用意しておくのがよいでしょう。
肌を保湿強化する目的
化粧水のもっとも大切な役割は、保湿することによって肌(角質層)を整えることにあります。肌が育つ環境作りの必須条件です。
- 角質層の水分保持量を増やし、表皮細胞の代謝環境を整える
- 角質層の水分保持量を増やし、バリアーである角質層をしなやかに整える
比熱が高く安定した水の力は偉大です。ほんの少しバリア層の水分が増えた状態が維持されると、肌は元気になれるのです。日々良い角質に育つために代謝活動をしている表皮細胞にとって、この上ない安らかな環境が用意されるからです。
保湿されたバリア層は、丈夫で傷みにくくなります。バリア能が衰えません。それは鋼のような強さではなく、柔軟さとしなやかさが作る強さです。この強さが肌が育つ環境を保証します。
いかがでしょう。これであなたの肌が育つ化粧水や美容液の適切な選択はできそうでしょうか?
結論といっても、さっぱりとしっとりだけでは、いくらでもあります。これではとても絞り込むことができませんね。でも保湿ケアの目的はしっかり憶えておきましょう。
化粧水・美容液の選び方
しっとり・さっぱりの化粧水といっても色々な製品があり、美容液はさらに色々なものがあり、保湿とは余り関係ない他の目的性の強いものまであります。サッポーの2つの化粧水と美容液の3点を揃えるなら、もう説明は要らないのですが、そうもいきません。
まず核となる保湿成分について選択の視点を蓄えます。
- 保湿成分
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有名なのは、ヒアルロン酸やコラーゲンです。ヒアルロン酸より保湿能の高い成分もあります。しかし大切なのは、これら保湿能の高い成分と複数の保湿成分の組合せで、いかに使い勝手がよくて、ほどよい保湿効果を発揮できる製品に仕上がっているかが大切なのです。
サッポーの化粧水は、ヒアルロン酸を中心に様々な保湿成分を調合されています。夏でも冬でも一定の保湿能を確保してくれるからです。夏はべたつくほどで、冬は保湿能が低下するといった保湿成分の中で、肌が育つケアを完成させるのに都合のよい貴重な存在です。
残念ながら、成分を確認するだけではよい仕上がりの製品かどうかまでは判りません。実際に使用して、上の視点を参考に気に入ったものを見つければよいのではと考えます。
適度に湿りを帯びた肌で維持されるのが理想の保湿加減
選択の視点として大切なのは、肌状態との合わせ方、環境との合わせ方です。
案外忘れられている事実ですが、皮膚の保湿にもっとも貢献している成分は汗です。しかし、汗はほぼ純粋な水(自由水)といってよいものです。簡単に蒸発し、多すぎると肌を水浸しにしてふやけさせ、バリアー層(角質層)を壊す一役を買うことがあります。
- 汗をかく環境、汗が多い肌状態では…
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保湿能は控えめの化粧水が、肌が育つ環境作りに適しています。保湿力が高い化粧水は、汗を際限なく取り込み肌を水浸しにしてしまうからです。結果、角質層が崩れてしまったら、肌が育つケアもなにもありません。未熟な肌に真っ逆さまです。
このようなケースでは、さっぱりタイプの化粧水が適しています。しっとりタイプを使用せざるを得ない時は、使用量を半減させることです。またもっと保湿能が高く作られた美容液を利用する時は、汗の多い場所につけてはいけません。
「私の肌がべたつきやすいのは、汗ではなくて皮脂の多さだと思う」
このように思う方も、べたつきやテカリの大半は汗が作っていると考えて下さい。皮脂もべたつきを助長していますが、けっして主役ではありません。たくさんの汗に少し皮脂が混じったものがべたつきの招待です。従ってべたつきの多い肌もさっぱりタイプの方が適していると言えます。その他の肌は、しっとりタイプを選ぶのが基本です。
化粧水・美容液による保湿能が、寒い冬でも絶えず蒸泄されている汗と上手く結びつき、夏でも冬でも適度に湿りを帯びた肌が維持されている…これが理想的な保湿ケアです。肌が育つ環境です。
最初に結論として、さっぱり・しっとりの2つの化粧水を用意し、保湿強化のための美容液があれば万全といったのは、このような様々な状況、様々な状態の肌部位に対応できるからです。
“過ぎたるは、なお及ばざるが如し”の選択視点
化粧水・美容液選びのもう一つの視点は、余計な目的は持たない普通の化粧水、美容液がよいということです。いかに適切な保湿ケアができるかということです。そして、適切な保湿の目的は最初に挙げた以下の2つです。
- 角質層の水分保持量を増やし、表皮細胞の代謝環境を整える
- 角質層の水分保持量を増やし、バリアーである角質層をしなやかに整える
この2つの大目的を支えるための小目的・小機能が、様々に加えられるのはよいことです。しかし、あれもこれもと全く別の目的・機能が付加された製品は、サッポーには肌が育ち度を上げるのを妨害する邪魔者に見えます。
- 美白剤の付加
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美白剤による、使用を続けている間だけの一時的な白さ作りではなく、肌自身がメラニン色素を多く必要としない肌環境をケアによって作っていくのが、本物の美白です。肌自身が健康な白さを自ら作りだしていきます。美白剤の間違った使用によりシミを作るリスクもなくなります。
- ニキビ肌専用、敏感肌用、○○用…等々
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肌が育ち度を上げると、ニキビはできなくなります。敏感な反応はなくなります。様々なトラブルが解消していきます。細胞の一つひとつが本来の姿に育つと、肌も本来の姿を取り戻すからです。
○○用といった製品は様々なトラブルが作る好ましくない局面を回避するための製品です。これらの全てを否定するつもりはありませんが、どこかで肌が育つケアに移行しなければ、本来の目的であるトラブル解消のゴールにたどり着くことはできません。
- 過敏な肌、脂性・べたつき傾向の強い肌はアルコール濃度の低いものを
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アルコールは化粧品作りに欠かせない材料で、様々な成分の溶剤として多用されます。化粧水には基材としてしっとりタイプの製品には概ね10%程度が配合されています。お酒のアルコールそのもので、清浄、殺菌、収れん、可溶化、乾燥促進作用などに重きを置いた配合がされるケースもあります。成分の表示名は、エタノールまたは変性アルコールです。
問題が起きやすいのは、アルコールの配合量を15%前後に増量したさっぱりタイプの化粧水です。丁度ワインや日本酒と同じ程度です。脂性肌、べたつく肌に向いているのですが、この傾向にある肌は細胞の未熟化が進みバリア能が低下しています。そのためアルコールの持つ刺激に過敏・過剰に反応するケースが多くなります。
最近はアルコールを一切使用しない化粧水も販売されるようになりました。サッポーのさっぱりタイプはアルコールの配合を1%未満にしています。化粧水としての完成度を損ねず、過敏な肌に優しさを確保する加減だと考えています。
「サッポー美肌塾」第467号
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