サッポーです。
夏は肌が育つ季節!
ところが、夏には肌の育ちにブレーキをかけたり、後退させたりする危険もいっぱい!
本格的な夏対策をお届けしています。今回はその3回目です。
肌が育つケア…夏対策のテーマ1~4
- 汗の効用と弊害、弊害が起こると肌はどうなるの?
- 肌を傷めない、汗の弊害を少なくする3つの対策
- 肌が乾いたり湿ったり……冷房が招く乾燥への対処(今回)
- 夏の最大ダメージ?紫外線との付き合い方
前回までの、汗が果たす大切な役割と、弊害、そしてその対策については宜しいですね。今回は夏の冷房対処がテーマです。
「冷房はそんなに良くないの?」
「乾燥すると言っても冬ほどじゃないのでは?」
「汗をかかないから良いのでは?」
「乾燥しているなんて少しも感じないけど……?」
はい、そのように感じるのも無理はありません。ところが夏は冬より肌を乾燥させる環境があるのです。その大きな原因の一つに冷房があります。
もちろん、冷房だけが原因ではないのですが……。とにかく見ていきましょう。
夏は乾燥しない…という錯覚
大きなビルの冷房や、家庭でもずっと閉め切った部屋の冷房はどんどん乾燥が進み、時には20%以下になっていることもあります。したがって、冷房空間が乾燥した環境であることは間違いありません。真冬同様、乾燥に対する対応が求められています。
しかし、夏の乾燥には実感がありません。寒くないし、北風が冷たいわけでもありません。だからでしょうか?しっかり保護のケアをして肌を乾燥から守ろうなどといった意識は露ほども湧いてきません。
つまり、「夏は乾燥しない」という錯覚があります。
ところが、何のいたずらか、この錯覚はもう一つの夏の特徴である「汗」によって、見事な錯覚として完成しています。汗で肌が濡れていたら、乾燥しているとは思えませんからね。
こうして実感のないままに秋を迎え、乾いた秋風に、ようやく肌の乾燥を覚えます。でも乾燥ダメージを感じるわけではなく、「あー、秋の風が心地よい」といった感覚です。まだまだ気温の高い季節なので、汗の存在が肌の乾燥を厳しく伝えないようにしているおかげです。
このような経緯の中で、乾燥の悪影響は深く潜行しながら、実際はかなりの程度進行しているのです。
悪循環を繰り返す、夏の1日 あなたの肌は……?
夏の一日は、汗をかくことから始まります。顔を洗って肌を冷やし、汗をかかないように下地を作り、何とか上手く化粧をしても一歩外に出たら、もう汗が滲んでくるのを感じます。
朝の電車を待ち、冷房された車内に入ると次第に汗が引いていきます。次第に快適な感じが戻ってきます。そうこうする内に目的地に到着、降りた瞬間、熱気でムッとしますが、身体が冷えたおかげで、汗もすぐには出ません。
しかし駅を出る頃には歩行運動の成果?で身体は温まり始め、外に出た瞬間から汗が出てくるような感覚があります。
冷房の効いた職場にたどり着いた時は、生き返ったような心地です。さぁー仕事だ!です。その内に汗も退き、暑さも忘れて仕事に熱中します。お昼休みにちょっとコンビニで買い物のために外へ出ると、忘れていた熱気が戻ってきます。汗が噴き出る直前に、職場に戻ることが出来たら、もう本当にホッとします。
このような肌の日常が繰り返される……これが夏です。
だらだらと書いてしまいましたが、肌の立場からこのような夏の一日を言い換えると、「汗で濡れる→冷房で乾く→濡れる→乾く→濡れる→乾く→……」の繰り返しになっています。
流れる汗、噴き出る汗にならなくても、汗が出る前に冷房された空間にはいることが出来たときでも、実は既に肌自身は水浸し(汗浸し)状態になっています。この水浸し状態が一日に何度も何度も繰り返されます。
流れる汗は拭きますが、流れないと拭かないことも多いでしょう。いずれにしても、この繰り返しを、甘んじて受け入れているのが、冷房環境にいる夏の肌というわけです。
前回、前々回に汗の弊害とその対策を案内したように、汗が浸潤した角質の層はとても脆く崩れやすい状態です。それが何度も乾いては水浸しになるのを繰り返すわけですから、角質剥がれが一気に加速し、肌の育ちはブレーキがかかった状態になっています。
さらに、他のダメージも加わると、ブレーキではなく、肌の育ちが後退していることが多くなります。こうなると、様々なトラブルが表面化してきます。夏のニキビ、炎症、汗疹、過敏さの増大、痒みの発生、べたつきやすさとカサカサ・ゴワゴワ……等々です。
もし、このように明瞭なトラブルが無かったとしても、乾燥の悪影響を受けている場合があります。ところが、これがなかなか気付くことができません。冷房により肌の乾燥が進行していても、流れる汗、不感蒸泄の汗が皮脂とともに肌を潤すからです。
汗と冷房による乾燥…その対策
汗と冷房による肌の乾燥は、困ったことに、効率よく角質の剥がれを早め、角質層は未熟な角質に入れ替わってしまいます。
必要以上に溜まっていた肌の水分が、秋の進行とともに減少、ふやけた肌が引き締まり(=水分を失う)、爽やかな秋の空気の中、次のような素肌の実態がさらされることになります。
- 肌の硬さが増してくる
- 乾くとカサカサ~ザラザラが…
- 皮脂や汗の過敏・過度な分泌
- 混合肌の進行
- オイリードライ肌の傾向が…
- 肌理のあらさが目立ってくる
- 毛穴の目立ち度合いが拡大…
- 角栓が出やすくなる
- 毛穴が黒ずみやすくなる
- 皮脂詰まりの発生頻度が高まる
- 肌の過敏さが進行しているのを実感
- 肌に刺激感…ピリピリ・痒み等
爽やかな、しかし乾いた秋風が原因で、肌がダメージを受けたように思いますが、実際は夏の間に肌の未熟化が進行していた…というのが真相で、表面化しただけです。秋になって大騒ぎしても遅いのです。
理想の対策はよく育った肌で夏を迎えること
汗と冷房による乾燥‥その対策は、汗が噴き出る季節までに始めている必要があります。よく育った肌にして真夏を迎えるのが理想なのです。
よく育った肌は化粧の乗りも良く、耐水機能を強化した製品(ウォータープルーフ)を使わなくても、汗は肌を転がり落ち、容易には汗を肌に溜めないのです。よく育った肌の細胞間脂質(セラミド等)は充実しており、必要以上の水分を肌に浸透させないからです。
まだ育つ途上の肌、これから肌が育つケアを始めようという場合、肌の育った成果を享受できるのは来年の夏になってしまいます。
しかし、今すぐできる対策もあります。見ていきましょう。
冷房による乾燥対策は“クリーム”です
汗の多い夏は、油性度が高くベチャベチャしないタイプのクリームで乾燥からの保護対策をしっかりすべきなのです。クリームが育つ途上の肌にしっかりなじんでいたら、育った肌に代わり、汗を弾いてくれます。そして乾燥からの保護もしっかりしてくれるわけです。
よく育った肌、余り汗をかかない環境の肌にとっては、クリームより水相成分の多い乳液でも同じ効果が得られます。但し、乳液はクリームより汗や水分に弱いという弱点を知っておき、使い分けましょう。
いかがでしたか?
このように、汗や冷房による乾燥を受けずに、夏を過ごすことができたら、夏は肌が育ついいチャンスであることは間違いありません。
よく育った肌で秋を迎え、冬を過ごすことができたら、たとえ年を一つ重ねても、肌年齢は加齢していかないのです。今まで間違ったケアをしていたら、むしろ肌年齢は年ごとにきっと若返っていくことでしょう。
- 汗と冷房が乾燥肌を作っている背景を腑に落とす
- 乾燥や汗対策に、クリームが夏のマストアイテム
「サッポー美肌塾」第第373号
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