汗の効用と弊害、弊害が起こると肌はどうなるの?

汗を拭う女性のイメージ

夏のスキンケア対策をテーマに美肌塾を進めていきます。今回は第1回目、汗についてです。

汗の効用は誰でも知っているはずなのに、夏になると、どうしても嫌な印象が目立ちます。汗の存在をこの機会に再確認しておきましょう。

汗の効用とは

  1. 体温調整機能として働き、体温を一定に保つ
  2. 角質層(バリア層)を潤し、美しさとバリア機能を維持

まず、この二大機能の持つ効用があげられます。

1.の体温調節機能は説明するまでもありません。私達の肉体生命を維持する重要な機能です。発汗を担う汗腺は、全身の皮膚に存在していいます。

人の一日の汗の分泌量はペットボトル単位!

冬にゆっくり過ごした日でも、一日の汗の量は1000cc以上です。夏だと同じように活動しても一日3000ccは汗をかきます。夏は、外を歩けば1時間で500cc、ジョギングだと2000cc、マラソン選手は一回のマラソンで6000ccもの汗をかくそうです。

一方皮脂の場合、分泌量は夏は冬より多くなるといっても、一日1~2gです。汗とは随分違います。汗腺はこのように余裕のある器官なのです。

2.が肌に潤いを与えてくれる、なくてはならない汗であることは案外知らない方が多いようです。

この汗がなければ、私達の肌は爪のように硬い、鱗のような肌になっていたでしょう。このくらい大事な機能で暑くても寒くても絶えず分泌されているのですが、感知できるものではないので、「不感蒸泄の汗」と呼ばれます。

肌は、皮膚の中から水分が補給されているのではなく、この汗により外から絶えず水分を補給され、一定の柔らかさと高いバリア能を維持できているのです。

この不感蒸泄の汗の分泌量は、一日300ccから400cc程度ではないかと推定されています。汗は天然の化粧水でもあり、化粧水2~3本分に相当します。

汗の弊害とは

  1. べたつき、化粧崩れ、不快感…紫外線や乾燥等のダメージを受けやすくなる
  2. 角質層が膨潤(ふやけ)、肌が脆くなる……様々なトラブルに繋がる

不感蒸泄の範囲なら、これらの弊害のない大切な存在です。でもそれ以上の汗は弊害に繋がってしまうのです。

感触や見映えが悪くなるだけであれば我慢も出来ますが、ダメージを受けたり、トラブルに見舞われるのは避けたいところです。

汗の弊害、どのようなことが起こっているか、掴んでおきましょう。

汗は99%以上が純粋な水で、それ以外の微量な成分に特に悪いものはありません。つまるところ、この水が悪さをしているのです。

化粧品の保湿成分がこの汗を捉え、潤いを保とうと働きます。さらに、皮脂や化粧品の油脂が汗と混ざり、乾きにくい状態が作られるので、ベタベタしてきます。

ベースメイクが崩れ、当然UVケアも崩れるため、乾燥したり、紫外線が侵入しやすい状態になります。

また汗で濡れた状態が長時間続くと、角質層の水分量が許容量を超えてしまいます。すると、水で肌がふやけるのです。

この状態が繰り返されると、角質層はゴソリゴソリと剥がれるようになります。水を多量に含んだ山肌が土砂崩れを起こすようなものです。

すると、このようなことが起こります。

  • 肌が硬くなる
  • カサカサ、ザラザラ
  • 汗や皮脂の過剰な分泌
  • 混合肌の進行
  • オイリードライ肌(インナードライ肌)
  • キメが粗くなる
  • 毛穴が目立ってくる
  • 角栓が出やすくなる
  • 毛穴が黒ずんでくる
  • 皮脂詰まりが発生

……等々、ターンオーバーが早くなり、未成熟な肌が作られます。

肌トラブルに眉をひそめる女性のイメージ

さらに、進行すると

  • 痒み
  • 赤み
  • ピリピリ感
  • 炎症(ニキビや湿疹等)

……など、敏感肌にも陥りやすい状態です。

このような汗の効用と弊害は理解いただけたでしょうか?さらにもう一つの弊害として、夏という季節は汗の弊害に気付きにくいことが挙げられます。

これは汗が必要以上に肌を潤す状態が続くからです。乾燥を感じにくく、むしろ鬱陶しいくらいのしっとり感が続きます。

そして、未成熟化した肌に気付くのは、秋風が吹き始めた時です。汗が減り、空気が乾き始めたころ……というわけです。そのころには敏感肌に転落しており、ちょっとやそっとでは取り返しのつかない状況にさえなり得るのです。

では、どうすれば良いのか?汗の対策については、次回で案内します。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 汗の効用→ 体温調節と肌の潤いと健康の維持
  • 汗の弊害→ 肌に溜まることでトラブルや敏感肌の誘発
黒板に注目!

編集後記

日本の夏は湿気が多いですよね。湿度が高いと汗が乾きにくく、なんとも不快……。

でもこればっかりは、上手に付き合っていくしかないですね。そのためにも効用と弊害をしっかり覚えておきましょう。

「サッポー美肌塾」第371号


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