毛嚢(もうのう)炎という言葉を聞いたことはありますか?毛包炎とも呼ばれます。
毛穴の最深部に毛根があり、それを包んでいるのが毛嚢、あるいは毛包と呼ばれている部分です。ここに炎症が起きたものが毛嚢炎で、皮膚にポツポツと小さな赤みや膨らみができます。大きくなったり、一面に拡がる場合もあります。また中心部に黄色い膿が溜まっていることも。
ところが、毛嚢炎だと気づく人は少なく、ニキビと思っても不思議ではありません。どちらも毛穴部位に起きる炎症なので、よく似ているのです。
毛嚢炎は毛がある部位であれば、どこにでも発症する可能性があります。中でも皮脂分泌が活発、毛の濃い、蒸れやすい、不潔になりやすい部位によく出来ます。顔、脇、背中、膝(ひざ)等々。
顔や背中はニキビが発生しやすいので、間違えることが多々あります。しかし、今までニキビとのつきあいがほとんどなかったのに、上の様なプツプツや発赤が見られたら、毛嚢炎を疑ってみましょう。
触れるとヒリヒリしたり、痛みを感じやすい毛嚢炎。ニキビも炎症に至ると同じように痛みますが、ちょっと違う感じの痛みです。
毛嚢炎の原因を知ると、予防ができる
アクネ菌が毛穴内部で増殖することが炎症ニキビの原因です。一方、毛嚢炎の場合、多くは黄色ブドウ球菌の増殖が原因です。
アクネ菌も黄色ブドウ球菌も普段は皮膚表層で肌の健康維持のために働く「皮膚常在菌」です。
しかし、毛嚢部位は毛穴よりさらに奥にあるため、普通なら菌が増殖することは考えられません。では、どうして黄色ブドウ球菌が増殖するのでしょう?
それは、毛嚢に何かの異変、刺激があったからです。
顔剃り・髭剃り・毛抜き・脱毛等……に注意
毛抜きで毛嚢を物理的に傷めるのは容易に想像出来ます。脱毛テープなども同様です。またレーザーや光脱毛では、その熱によって毛嚢を傷めていることがあります。施術後しばらくは肌が過敏になり、炎症(免疫反応)を起こしやすい状態です。
顔剃りや髭剃りは、肌表面を傷めても、毛穴深部の毛嚢にまで刺激を与えないだろうと思われがちですが、そんなことはありません。刃の切れ味が悪ければ、毛が強く引っ張られます。毛抜きほどの力が加わるわけではありませんが、似たような負担があるのは事実。たとえ刺激や痛みを感じなくても、やはり毛嚢は傷ついています。
このような毛嚢への刺激が、黄色ブドウ球菌の増殖機会を作っているのです。
ここでは特に顔の毛嚢炎と関連のある、顔剃りと髭剃りついて注意を紹介します。毛抜きや脱毛と違い、工夫とテクニックによって刺激は避けられます。また身体にも応用できます。
- 切れ味の良い剃刀や電動シェーバーを使う
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お薦めは替え刃が容易なT字剃刀です。電動シェーバーは切れ味が悪くなっていても使い続けているケースが多いので、注意しましょう。
- 顔剃りや髭剃りの前に、毛を十分湿らせてスパッと切れやすくしておく
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乾いた毛はたとえ産毛のように細い毛でも、硬くて切れにくいのです。男性の髭のように太ければなおさらです。この硬さが引っかかりを作り、毛嚢を傷つけています。
- 肌を傷めないように刃と肌の潤滑剤は必須
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お薦めは石けんより、市販のシェービングクリームです。ジェルでも泡状でもOKです。肌を傷つけることがなくなります。
上手に優しい顔剃りや髭剃りが出来たら、毛嚢炎のリスクはなくせます。毎日行っても肌や毛嚢を傷めることはありません。
詳しくは、こちらの講義を参考にして下さい。
毛嚢炎に医療的対処は必要か?
毛嚢炎と病名がつくと、皮膚科に行った方が良いの?と思われるかもしれませんが、これは炎症ニキビと同じで、症状の軽重によります。
軽い症状であれば、刺激を避けて清潔にしていたら、一週間もすれば炎症は治まり、赤みやプツプツも退いてきます。
しかし、毛嚢炎を繰り返していたり、他の原因で肌が過敏になっている場合は、化膿して膿が溜まりやすく、炎症が拡大し、凸凹した痕が残ることもあります。
このような時は、医師に診てもらい、症状に合わせて外用剤、内服薬、時には切開による処置を受けるべきです。
比較的、対処は簡単で治りも早いものです。しかし、放置していると重症化しやすいので、軽視はしないようにしましょう。
毛嚢炎・炎症ニキビが出来ている場合、間違いなく肌は敏感になっています。
このような時は、スキンケアによるアプローチも必要です。詳しくは下記を参考に。
参考:「まず、過敏肌からの脱出を」
- 毛嚢炎と炎症ニキビは似ているが、違いを知ることが大切
- 痛みがなくても、毛を引っ張る行為を避ける
編集後記
毛嚢炎は名前の通り、毛嚢に炎症が起こっています。一見ニキビとよく似ていますが、原因も対処法も異なるので、悪化して、判断がつかない時は、皮膚科に行くのが良さそうですね。
「サッポー美肌塾」第658号
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