髪は頭皮を護るバリアーとして働いています。肌の角質と同じように死細胞なので、自らを修復することはできません。言わば衣服のようなものです。だから髪が傷めば、弱くみすぼらしくなっていきます。傷んだ衣服を頭皮は数年間着続けることになるのです。(40センチの髪の毛先は約40ヶ月経過している)
このようなことなので、ダメージから髪を護ることはとても大切です。その方法については、他の講義に譲るとして、今回は「髪はどの程度のダメージを受けているのか」を見ていくことにします。
髪の受けたダメージ、見た目では分かりにくい
シャンプーにコンディショナー・トリートメント他、ヘアクリームなど様々なヘアケア製品には、皮脂に代わり髪をコーティングする成分が使用されています。様々なダメージを受け、髪が傷んでいてもそれなりに美しい髪を演出できるようになっています。
このようなわけですから、髪のダメージを知るのはけっこう難しいテーマなのです。しかし、髪のダメージ度や健康度を知らないままに、毎日ヘアケアを続けるのは、何とももったいない。
そこで、髪の健康度(ダメージ度)を調べる簡単な方法をお伝えすることにします。
健康度テスト その1…髪の強さを測る
髪は健康であれば、強靱なものです。しかし、ダメージを受けるほどに強靱さは失われていきます。従って、髪の強さがどの程度維持されているかをみれば、髪の健康度を知ることが出来るのです。
髪がどの程度の張力に耐えられるかを測るのが、以下の方法です。
準備するもの
- 台所用台秤(キッチンスケール、クッキングスケール等)
500g程度まで計れるものならOK。 - ジュースやビールのアルミ缶(空き缶)
タブがついた、350ml~500mlの大きさのものが適当。 - あなたの髪の毛を数本
20cm以上、それより短いと測るのが困難。
テスト方法
水を入れたアルミ缶を髪で吊し、どの程度の重さで髪が切れるかを調べます。
- あなたの髪の太さに合わせて、アルミ缶に水に注ぎます。
求める張力の二倍の重さが必要です。 - アルミ缶のタブを起こし、穴に髪を通します。
滑りにくいように髪の両端を、左右の人差し指に一巻きし、髪をつまみます。そして、そっと持ち上げることで、髪が切れるかどうかを見ます。
判定基準
- 平均的な太さの髪の場合:150~180gの張力に耐えられるのが標準
-
日本女性の平均的な髪の太さは0.08mm前後。アルミ缶の重さを300~360gにして切れなければ、まずまず健康といえ、ダメージの少ない髪です。
- 極細髪の場合:100~120gの張力に耐えられるのが標準
-
0.05~0.06mm程度の太さで、いわゆる猫毛などと呼んだりしますが、細く柔らかい髪で、欧米人の髪の平均的な太さです。アルミ缶の重さを200~240gにして切れなければ、まずまず健康な髪といえます。
- 極太髪の場合:200g~300gの張力に耐えられるのが標準
-
0.1mmを越える太さの髪はいわゆる硬毛。日本人には0.15mmある太さの髪もまれにみられます。アルミ缶の重さを400~600gにして切れなければ、まずまず健康といえ、ダメージが少ない髪です。
この方法で髪の健康度を知ることが出来ます。今までのヘアケアが、適切なものであったかが判定できるのです。
また、標準的な重さに耐えられない場合、将来の美髪が心配です。いえ、将来の毛髪、というべきでしょうか。
健康度テスト その2…髪の乾燥度を測る
髪はキューテクルと呼ばれる丈夫な角質が、スカートを無数に重ね着するようにして毛幹を覆い、守っています。その毛幹も、やはり丈夫な角質の繊維が束を作り、その繊維束が縒(よ)り集まってさらに束を作り、さらにその繊維束が縒り集まってさらに大きな束を作り、その大きな束がさらに縒り集まって、髪の中枢構造(コルテックス)を作っています。
これらの繊維束を満たしているのが間充物質(マトリックス)で、いわば保湿成分・結合成分ともいえる大切な働きをする流動性のあるタンパク質です。
様々なダメージでこの髪の構造が一部壊れ、間充物質が流出すると、乾燥が始まります。適切なヘアケアが行われていないと、さらに髪は傷み、乾燥は進行します。
髪の乾燥度を知ることは、髪の健康を守る上でとても大切です。髪が乾燥しているなら、ヘアケアのどこかに間違いがあることを示しています。
健康な髪であれば、11%~13%程度の水分を含んでいます。髪の乾燥を測定する器具もありますが、ここでは家庭で判定する方法を見ていきます。
髪の静電気を利用し、乾燥度を知る方法です。
準備するもの
- プラスチックの下敷き
- セーターを着たあなた
テスト方法
- 下敷きを脇に挟み、片方の手で下敷きを激しく前後させ、摩擦で帯電させます。
- この下敷きを髪に近づけ、髪がどの程度下敷きに吸い寄せられるように逆立つかを見ます。長い髪は毛先から持ち上げてみましょう。
そう、あなたが子どもの頃、よくイタズラしたあの遊びです。
判定基準
- たくさんの髪が逆立つ
-
髪がとても乾燥していて、ヘアケアに間違いがあります。
- 髪はさほど逆立たない
-
髪の水分量が多く、乾燥していない。
どれくらい髪が逆立つのかは、湿度など環境の違いにより左右されるので、人と比較するのではなく、定期的に測ることにより、変化を見て判定するようにします。日々のヘアケアが適切に行われているかの判定材料としていくのです。
以上、二通りの髪の状態を知る方法でした。いずれも簡単に測定できますね。
これからのヘアケアを美髪作りに役立つものとするために、是非実行してください。正しいスタートラインに立つことができます。
スキンケアが肌を知ることから始まるように、ヘアケアもあなたの髪を知ることから始まるのです。
- 髪の強さと乾燥度を知っておこう
- 髪のダメージは、将来の毛髪を左右する
編集後記
髪のダメージを身近な道具で簡単に測る方法を紹介しました。ぜひ実施してみてくださいね。
髪の健康を護れるのは、あなたしかいませんからね。
「サッポー美肌塾」第107号
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