顔の垢すり、つまりピーリングは良くないという常識は広まりつつあります。
でも、身体はどうでしょう?ボディーソープ・石けんを泡立てたタオルやスポンジ等で洗っている方がまだ多いのではないでしょうか?
今回は身体の垢すり、中でも多い背中について、いただいた相談を元に解説していきます。
“まゆみ”さん の質問
背中だけ垢すりしたくなります。
純石鹸の泡で、素手で体を洗うようにしてから、以前より汗疹が減りました。でも、背中だけベタベタして、たまに痒いときがあります。
おばあちゃん子で、幼いときからたまに背中の垢すりをしていました。今は、長い柄のついた豚毛のブラシで背中を洗っています。くぼみのとこは優しく洗いますが、何か物足りません。
どうしたらよいのでしょうか?教えて下さい。
“まゆみ”さんは、手で洗うようになって、汗疹(あせも)の発生が少なくなったとのことです。ぜひこの調子で汗疹とはさようならして欲しいですね。
ところが背中はたまに痒くなり、べたつきも気になるご様子。そして、その時はいつもの手ではなく、ボディブラシを使用されていうようです。
ご本人も身体は手で洗うことが良い、洗うための道具を使ってはいけないことは理解されているものの……痒いのは我慢出来ない!この時は垢すりのように思いっきり洗いたい!というわけです。
この気持ちはよく解りますが……どうすれば良いのでしょうか。
背中の垢すりをしたくなるのはなぜ?
背中は顔ほどではありませんが、身体の他の部位と比較すると、汗や皮脂が活発で、べたつきやすい部分です。
肌が健康で美しい角質で覆われるようになると、角質(垢)が剥がれる時、その姿は目に見えません。石けんの泡で優しくなでるだけ、シャワーで流すだけで、肌から角質が自然に離れ、一片ずつヒラヒラと剥がれていきます。
でも角質が不健康な状態であれば、周りの角質を伴って、ゴソッゴソッと剥がれていきます。角栓や角質が目立つ顔の肌と同じですね。
このような状態で、さらに垢すりをすれば、どんなことが起こるか想像出来ますか?
垢すりで出る垢は、この角質が巨大な塊となって剥がれたものです。本来は一日一層剥がれる角質が、一瞬にして数層単位でこすり取られているものです。
すると、その下で待ち構えていた、角質達が十分に育つ時間がないままに角化し、角質層を必死で補強し始めます。
でも、未熟な角質達が間に合わせで作った角質層ですから、バリアーの役目としては弱いのです。そして弱い角質達を守るために、身体は汗や皮脂を多く分泌しようとします。こうして作られた皮脂膜は、もう一つのバリアーなのです。
この結果、もっとべたつきが増す、外部刺激に弱くなり痒みが発生する、という現象が起こります。ベタベタして気持ちが悪い、痒みが我慢出来ない……そこでゴシゴシ洗い、垢すりをしたくなるのです。
このようにして、悪循環が繰り返されます。べたつきや痒みだけでなく、背中の炎症ニキビも、このような経緯から始まっている場合があります。
背中だって、優しく洗いましょう
どうしたら解消されるか、は簡単ですね。この悪循環を断ち切れば良いのです。でも、実際は難しいかもしれません。
べたつく部分をしっかり洗いたい気持ちや痒みの部分をゴシゴシする快感は理解できますから(^^;)
でも、ここはグッと我慢!が必要ですよ。
べたつきは、道具を使ってゴシゴシしなくても、シャワーで洗い流したり、湯水に浸かるだけで落ちます。でもまた、すぐにべたついてくるのは、未成熟な角質で覆われているからです。ある程度(期間)は仕方がないとしないといけません。
背中に痒みがある場合、道具の使用は絶対にいけません。摩擦ダメージを与えることになり、角質が傷み、さらに痒みの強さや頻度が増していくからです。
控えたいのは、道具だけはありません。石けんの使用も、です。
サッポーが敏感肌の洗浄に石けんは使ってはいけない!と言っているのと理由は同じで、石けんのアルカリ性質で反応する可能性が高いからです。反応すれば、さらに痒みは増長、赤みが出て、炎症に発展します。
また石けんは脱脂力が強いので、必要な皮脂まで落としてしまいます。肌の努力も無駄になってしまうのですね。
なので痒みがあるときは、背中には一切触れず、シャワーを浴びたり、ぬるめの湯(38℃台)に浸かるだけにします。
掻いてしまうようなことがあれば、お風呂上がりに痒み止めの軟膏を塗っておきましょう。処方薬でも市販薬でも構いません。
そのうち、肌が育って、成熟した角質で肌が覆われるようになります。
でも痒みがなくなったからといって、垢すりを復活してはいけません。
洗う時、手が背中に届けば、石けんを泡立てて、手で優しくなでるだけにしましょう。手が届かない場合は、普通のフェイスタオルを使用します。泡をタオルにつけ、背中に垂らして、ゆらゆら揺らせば、それで十分です。
痒みや炎症などのトラブルが背中(身体)にない方は、今日から早速始めてみましょう。顔だけではなく、身体も健康で美しくありたいですね。
- 背中のベタベタや痒みは、垢すりでも増長する
- 痒みがあれば石けんを控え、なくても道具は使用しない
編集後記
背中、どうしようもなく痒いときがあります。でも、掻いたりゴシゴシ洗いをするのではなく、優しく扱ってあげることが大事なのですね。
後ろ姿・立ち姿だけでなく、肌まで背中美人を目指しましょう。
「サッポー美肌塾」第240号
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