年齢と共に、肌よりも顕著に傷みやすいのが、足のかかとかもしれません。硬くなってガサガサしたり、ひび割れたり……。
かかとの手入れについて「硬くなったかかと……どうしたらよい?」の講義をご覧になり、さっそく実行された“いく”さんから、感動と質問のメールを頂戴しました。
とても大事なポイントなのに、その後のケアについて、フォローが疎かになっていたようです。
“いく”さんのご質問を紹介し、補完させて頂きました。
“いく”さんのご質問・相談
かかとケアのことで質問させていただきたいのです。
かかとの調子がよくなるまでは、軽石&ラップパックによる保湿がよいとのことですが、軽石は毎日使ってよいのでしょうか?
昨晩、軽石とラップパックをおこなって就寝したところ、朝になってかかとが柔らかくなって感動です。
まだまだ表面上の潤いでしょうが、自分ではラップパックなど思いつかなかったので、こんなに効果があるのかと嬉しくなり、今まで諦めていたかかとの手入れも頑張る気持ちになりました。
回答よろしくお願いします。
“いく”さん、ありがとうございます。
かかとの状態が、軽石とラップパックでキレイになったとのこと!同じお悩みをお持ちの方は実行する勇気が出てきたでしょう?
軽石でなくても、スティック状の便利なやすりもありますし、手軽に出来、成果も出やすいので本当にお勧めです。
さて、そこで出てくる疑問ですが、かかとが良くなるまで、軽石・やすりを毎日使っても良いのでしょうか?
軽石とラップパックでかかとが柔らかくなって感動!……でも?
かかとも顔の肌も基本的な構造は同じです。肌が育つ良い状態を作れば、以前のように柔らかいかかとを取り戻すことが可能です。
そして、しっかり育った状態が実現すると、後は手間なく一年を通じて柔らかいかかとが維持できるようになります。
でも、かかとは角質層が厚いので、本当に安定するまでは長~い時間がかかります。ここがかかとケアの間違いやすいところです。
このようなことを踏まえて、講義を進めてまいります。
- かかとの角質を削るのは緊急避難のケア
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軽石や、やすりで硬くなったかかとを削るのは、緊急の危機を避けるための処置です。いわゆるピーリングに当たるので、定期的に削り続けていたら、肌と同じで良くなりません。
「ひび割れが起こりそう」「ひび割れが大きくなりそう」と言った緊急の場合だけの処置です。だから、毎日行うものではありません。
- 見かけの柔らかさが出来たら、スキンケアに専念
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厚くなりすぎた角質を削ったら、乳液等を塗り、台所用ラップでパックします。そして、何とかやっていける状態が出来たら、軽石・やすりは卒業です。通常は1~2回(日)の作業で十分でしょう。
そして、その後は、乳液やボディクリームをつけたり、ラップパックを継続していきます。良く育った角質が作られるようになると、少しのダメージでは揺るがないかかとになります。
参考:かかとのケア……あれこれ
角質はケラチン質と呼ばれる蛋白質で出来ています。このケラチン質が乾燥すると、とても硬くなります。
角質がせいぜい5~15層程度(厚み~0.02mm)しかない顔の肌では、多少硬くなっても、たいした硬さに感じません。ところが、かかとのように角質層が厚い場合(100層~150層。時には~200層)、乾くと本当に硬くなります。
まるで、干からびたお餅のような時もあります。そして、そのすぐ下層には、表皮細胞層、真皮層がピッタリとくっついて支えているのです。
なので、硬くなったかかとに強い力が加わると、それが角質層だけに留まらず、内部の皮膚組織にも亀裂が及んでいくわけです。歩く時に痛みを感じるのは、これが理由です。酷いときは、かかとがひび割れて、その痛みがダイレクトに内部に伝わります。
この様な特徴を持つ角質であり、かかとですから、昔から軽石や、やすりで削ることが行われてきました。削って薄くしておくことで、悲惨なひび割れを、ある程度防ぐ知恵だったのですね。
そして、ポイントは削った後の、ラップパックやケアの継続です。ここをおろそかにすると、すぐに傷みやすいかかとに戻ってしまいます。
やがて、上から下までよく育った「柔らかいかかと」が出来上がれば、軽石や、やすりなどは、そうそうお世話になる必要のないツールとして飾っておけるというわけです。
しかし、このような知識がないまま、一度これらの便利なツールを使い出すと、少し悪くなった、ちょっと気になる、程度で習慣的に使用してしまう方が多いのです。その場、その場では、良い状態が出来たように思えますが、そうではありません。
この様な角質は自ら剥がれていく能力がないので、剥がれて良い時期が来てもなかなか剥がれることが出来ず、厚い層を作っていくわけです。ひび割れるリスクをいつも抱えている状態です。ますます軽石や、やすりを使い続けることに繋がっていくわけです。
まさに悪循環ですね。
一方、しっかり育った角質で出来たかかとの場合ならどうでしょう。
角質一つ一つの周囲には豊富なセラミド等の細胞間脂質がたっぷり存在します。皮脂腺がない足裏でも、これらの脂質でバリアーが作られるため、何もつけなくても、そこそこに乾燥しない状態を維持することが出来るのです。
また、よく育った角質には、脂質分解酵素が十分備わっているので、毎日お風呂で優しく洗うだけで、サラサラと角質が剥がれていきます。角質が固まって、ゴソッと剥がれるような、皮むけのような剥がれ方はしません。
皮膚の構造やスキンケアの基本は、かかとも肌も同じなのですね。
- 便利な軽石・やすりはピーリングそのもの、続けて使用はしない
- 表面上キレイになったら、あとは“肌が育つケア”の継続
編集後記
かかと、私も気になります。夏はそれなりにいい状態でサンダルも履けますが、季節が変わるとてきめんで、まるで乾燥センサーのよう。
冬は冬で、タイツや分厚い靴下で隠れるため、見てない振りをしたり…でも、今年は真剣に取り組んでみます!
「サッポー美肌塾」第254号 / 2006年2月15日 発行
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