スッキリさっぱり、きれいを追い求めすぎると……

マイクロスコープに映し出された皮脂や汚れを見ると、ぎょっとして洗い落としたくなる気持ちは理解できます。

もちろん頭皮の汚れは落とした方が良いのですが、一度の洗髪で「しっかり落とす」べきかというと、サッポーは賛同できません。必要以上に落としすぎていないか？と心配になります。“Ｍさん”の戸惑いもこの部分です。

汚れを落とすために洗浄力が強いシャンプーを使用すると、汚れと一緒に大切な頭皮（角質）までもを洗い流している可能性があるからです。※

※今回の“Ｍさん”のケースが該当しているかは分かりません。適切な洗浄である可能性もあります。

スッキリ洗い落とせばその場はさっぱりしますが、かえって皮脂分泌は活発化します。必要以上に皮脂を取られた頭皮は、バリア能が低下して皮脂や汗の分泌量を増やし、頭皮を守ろうとするからです。

それだけではありません。洗い過ぎて頭皮（角質）が予定より早く剥がれれば、ターンオーバーが早くなり未熟な角質が増えます。かえってフケ（角質の塊）が出やすくなります。

するとさらに洗って落としたくなるのが人情ですが、それで頭皮の状況が良くなることはありません。

洗髪は、洗浄力がマイルドなアミノ酸系の洗浄剤を配合したシャンプーを選びましょう。これだけで洗い過ぎることはなくなります。

今ある薄毛や抜け毛はどうすれば？

長期的なアプローチは分かったけど、現在進行中の薄毛や抜け毛、既に傷んでしまった髪はどうすればいいのでしょうか。

そこで役に立つのがトリートメントです。

トリートメントは、髪内部にケラチン物質類似成分（タンパク質）を補給し、髪内部の保水性を高めます。このことにより、傷んだ髪が一時的に修復され、損傷の進行がストップします。

1. アミノ酸系のシャンプーで洗髪
2. 髪の傷みをトリートメントで補修
3. 補修された状態をコンディショナーで保護

これが健康な頭皮や髪を作る、基本的なヘアケアです。

トリートメントは傷み具合に合わせて、週１回～毎日と使用頻度を調整します。薄毛や抜け毛がひどい場合は、毎日するといいでしょう。

頭皮と毛髪に良い環境が維持されると、毛母細胞が受ける刺激は減少します。次第に毛母細胞が健康を取り戻し、薄毛や抜け毛が減り、次に生える髪は太く美しく生まれ変わっていきます。