肌が求める化粧品…化粧水編 Part-1

イメージ画像:汗は肌の機能が生み出す天然の化粧水。でもその能力には限界が…

お風呂上がりしばらくの肌はモチモチと柔らかく、見映えも感触もよい状態です。しかし、肌が乾き、しばらくするといつもの肌に戻っています。よく育った肌はこの落差が小さく、育ちの悪い肌はこの落差の大きさに溜め息が出るほどです。

肌に水分が保たれることは、美しさの大切な要素だとわかりますが、乾いてしまえば美しさが消えるばかりか、肌の元気だって消えてしまいます。

このような水分(自由水)の欠点を補い、水分が肌に留まり、肌を元気で美しい状態に保とうとしたのが化粧水です。いわゆる保湿機能の働きです。

それなら、保湿機能の高い化粧水をいつも使用していたらよいのかというと、そう単純なことでもありません。肌にとって保湿能の低い方が良い時もあるからです。

ただ付けたらよいだけの化粧水のはずなのに、なんだか難しい話に!?

でもそんなことはありません。肌が育つケアの視点で化粧水と肌を見直せば、肌が求める化粧水・適切な使用法が見えてきます。

化粧水の最も大切な役割は“適度な”保湿機能

表皮細胞が死細胞の角質に変化した細胞の層を、角質層と呼んだり、バリア層といったりしていますが、普段私達が肌と呼んでいるそのものです。この肌が適度な水分を保ち続けることが、肌全体の健康と、美しさと、強さにとって不可欠です。

適度な水分を保持することが

  • 肌の柔らかさ、しなやかさを作っている
  • 肌のハリ、艶、透明感の源となっている

見た目の美しさ、感触の良さは、水分の存在によるものです。

それだけではありません。柔軟なバリアーとしての肌を保証しているのも、肌が適度な水分(汗)を備えていることによります。

バリア層の水分存在量が

  • 表皮細胞の理想的な代謝環境(肌が育つ環境)を作っている
  • 冷・熱刺激や物理的な力の緩衝と、侵入物阻止の役割を果たす

肌が育つより良い環境を作るために、バリア層の保湿機能を適度に助けるのが化粧水最大の役割です。具体的には、肌(バリア層)の保湿機能を高め、肌の水分保持を助けることです。

でも、化粧水に求められる保湿機能に大切なポイントがあります。それが、”適度な”保湿であることです。保湿不足も、過剰な保湿も、肌が育つブレーキになることがあるからです。

この点については、次の「肌に備わる保湿機能」のあとに解説します。

肌に備わる保湿機能

化粧水の果たすべき役割を理解しても、肌自身に備わる保湿機能を無視して化粧水を選択・使用するのは失敗の元です。

肌の保湿機能

  1. 絶えず蒸泄される汗=天然の化粧水
  2. 角質層(バリア層)とその水分を保つ構造

体温を調節する流れ出る汗もあれぱ、寒い時でも絶えず肌を潤す汗の存在もあります。不感蒸泄の汗といって、天然の化粧水の役割を果たしています。

本来なら、この汗が絶えず角質層に供給されることによって、肌は柔らかさやしなやかさ、艶やハリのある肌を維持し、適切なバリアーとして機能しています。バリア層を作る一つひとつの角質がよく育った肌であるほど、水分が適切に保たれ、高いバリアー能を持つ肌となります。

しかし、少し乾燥が過ぎると汗による水分供給だけでは乾燥がちになります。逆に、暑くて汗の量が増えると、水分過多となり、水(自由水)の欠点である肌の保湿機能を奪う働きが出てきます。

つまり、肌の基礎的な保湿機能として働く汗ですが、万能ではなく、不足や過剰に対しては人の知恵でフォローする関係にあるのです。この中心的役割を果たすのが化粧水です。ところが、このフォローの考え方を間違え、改善とは逆のケアをしているケースを発見します。

化粧水の選択や使用法に影響する大切なポイントです。

肌と化粧水の保湿機能の調整に失敗している!

汗による保湿機能を強化するのが化粧水の役割です。しかし、汗の量が多くなる時は、肌の”適度な”保湿状態の調整に失敗しやすいのです。いつも通りの化粧水による保湿が、この過剰な汗を抱え込み、バリア層(角質層)のふやけた状況を作ることになるからです。

もちろん、汗が少なすぎる時も、肌は悲鳴をあげています。しかし、これは私達も心得ていて、化粧水やその後のケアで十分にフォローしています。

汗(自由水)の弊害

汗は水道水やお風呂の水と同じで、自由水として働きます。長風呂すると、角質層の厚い手のひらや足裏が白っぽくふやける現象がその弊害です。

これは、角質層の水分を保つ構造が半分壊れかけている姿なのです。汗が肌に滲んでいる状態の長く続いている場合がよくないのです。本来ならば、自由水である汗はすぐに乾き、気にする必要はないのですが、化粧水による保湿能が強化されていると、乾きにくいのです。このことがべたつきや長風呂状態を作りやすいわけです。

顔の肌は角質層が薄いので、足裏のように白っぽくは見えないため、気づかないままに長風呂に浸かるような毎日を過ごしている方も多いのです。

しっとりタイプの化粧水と、さっぱりタイプの化粧水

イメージ画像:化粧水の選択基準、見えてきたでしょうか?

肌状態が様々である上に、肌を取り巻く環境が変わること、生活スタイルも変わること等を考えると、どのような化粧水を選び、どのように”適度な”保湿を実現するかは、とても大切なことになります。

「脂性肌だから、さっぱりタイプを」「乾燥肌だからしっとりタイプが」というのも一つの選択基準ですが、サッポーは両方のタイプの化粧水を用意して、使い分けたり、重ねたりして肌の保湿能を整えるのが、肌が求めている化粧水の選択・利用法だと考えています。

読者の皆様の肌は、様々な状態にあると想像します。

次回は、様々な肌の状態別に、求められる化粧水とケアを具体的に解説してまいります。


コメントは受け付けていません。