前回「肌が求める化粧品…化粧水編 Part-1」では、“適度な保湿”が肌が育つ環境として大切だと案内しました。
肌状態は様々で肌の環境も様々、どのような化粧水をどのように使用していけばいいのでしょう。代表的な例で解説してまいります。
べたつきやすい・テカりやすい肌は
べたつきやテカりは皮脂の増加だけでなく、不感蒸泄の汗※の量が増えていることが大きく影響しています。肌のバリア能が低下しているため、汗や皮脂の量を多くしてカバーしようと皮膚が努力しているためです。
つまりバリア層(角質層)の構成要素である角質が未熟な育ちでバリア能が低下している結果なのです。根本からよくなるには、よく育った角質の肌になることが必要です。
しかし、直面する問題は「ベタつきテカる肌を今すぐにも何とかしたい」という切実な要求があります。但し、そのケアが肌の育ちにブレーキをかけるようなものでは困ります。肌の育ちを応援するケアであることが条件となります。
- ※不感蒸泄の汗
- 寒い時でも、汗は絶えず肌(角質層)表面に分泌され、一部は肌を潤し、一部は蒸発している。これを不感蒸泄の汗と呼んでいる。汗そのものは体温調節の流れる汗と同じものである。
このような事前知識と設定で化粧水とケアを見てみましょう。
1.アルコール配合が少なく、保湿能がセーブされた化粧水
具体的には、保湿力控えめの化粧水≒さっぱりタイプの化粧水を使用するのが基本です。保湿力が高いと、汗を捉えて肌に留める力が高いので、ますますべたつきやテカりがひどくなります。
ところがさっぱりタイプの化粧水は、アルコール(エタノール)配合量の多いものが主流です。その場の使い心地はよく爽やかでもありますが、多過ぎるアルコールは角質剥がれを促進する方向に働くので、その場はよくても結果としては肌の未熟化を進め、敏感さが高まり、さらにべたつきテカる肌に導いてしまいます。
サッポーのスキンコントロールローションのように、アルコール配合量が、通常のさっぱりタイプとは反対に減量されたものがよいのです。保湿能も適度にセーブしたものです。
べたつきテカりやすい肌は肌の過敏さが進行しているので、このようなマイルドなさっぱりタイプ化粧水を選ぶ必要があります。肌の育ちに繋がっていきます。
2.化粧水のあとは乾燥保護のケア(油性化粧品)が必須
乳液やクリームなどの油性化粧品の使用と使い分けがポイントです。ところが、べたつきやテカりに悩む人には、乳液やクリームの使用を忌避するケースが多いのです。しかし、これは大きな誤りです。避けていたら改善は遠のきます。
全ての乳液やクリームには、ある程度の耐水機能があり、ほどよく汗を弾き(浮かせ)流す性質を持っています。
大まかな区分をすると、乳液より油性度の高いクリームの方が汗を弾く力に優れ爽やかな肌を維持してくれます。汗が多くなる夏に、サッポーが、べたつきやテカりで困る肌にサッポーのモイスチュアクリームを勧めるのはこのような成果が期待できるからです。
しかし、間違っても、耐水機能を特別に強化したクリームやベースメイク製品を使用してはいけません。爽やかで化粧崩れも少なく快適ですが、肌はさらにべたつきやテカりの増す方向に導かれます。行き過ぎた耐水性は、汗の弊害を防止しますが、必要以上に汗を弾いて、本来の効用(肌を潤す)を打ち消すので、肌は水分不足(乾燥)になって、肌の未熟化を進めてしまうからです。
乾燥するのに脂っぽさを感じる肌は
オイリードライとか、インナードライと呼ばれる肌のことです。具体的には、元々脂性がちな部位に起こりがちな現象で、乾燥すると肌が硬くなり、触るとべたつきはしないが脂分を感じる肌です。
これは、ビル内の冷暖房下で過ごす人に多く見られるトラブルです。過酷な乾燥環境に居る時間の長さ+間違ったケア、この二つの不運が重なると現れやすいのです。
間違ったケアとは、
- 化粧水による保湿ケア中心で、乳液やクリームによる乾燥からの保護ケアをおろそかにしている。
- 乾燥保護のケアはしているが、耐水機能強化製品※を併用している。
(※化粧下地、UV下地、ファンデーション等) - 肌の未熟化を進行させる洗顔やケアをしていた。
等です。
そもそも、脂性肌の人は、過酷な乾燥環境だと自覚しないことが背景にあるので、間違ったケアに走りやすいのでしょう。
インナードライ肌を調べると、全て未熟化した細胞(角質)が作る肌になっていることがわかります。
例えば、上の1の場合だと、皮脂だけで必死に肌を乾燥から守っていたが、守りきれるわけもなく、乾燥ダメージによりじわじわと肌の未熟化を許してしまった現れです。
さて、このような肌を改善していく時の化粧水の選択とケアは?
この場合、しっとりがいいとか、さっぱりがよいとは、単純に言えない難しさがあります。外部環境の影響を受けやすい肌だからです。例えば、夏場にビルから一歩外へ出ると汗が出やすい肌なので、べたつきやテカりやすい肌状態となります。
ビル内ではしっとりタイプがよいが、外ではさっぱりタイプの方が向いています。どちらにするかは、肌と相談しながら体験的に「私にはこれがイイ」を選んでいきましょう。
ケアの基本は、前段のベタつきテカる肌と同じです。
とにかく乾燥肌なの!…の場合の化粧水
それはもう、しっとりタイプ!このように言いたいところですが、そうでもないのです。
確かに、基本は保湿能力の高いしっとりタイプでよいでしょう。しかし、大きな陥りやすい罠があります。
乾燥しやすい肌は、バリアー能が低下しており、角質の育ちが未熟になっています。このような肌は、暑い夏の季節などは、汗の量が多く、汗を溜めやすい肌になっているのです。
しかも、乾燥肌だからと、保湿能力の高いしっとりタイプの化粧水を一律に使用する習慣があり、さらに汗を肌に溜めやすくなります。その結果、水(汗)浸しによる角質崩れで、肌の未熟化を促進し、相変わらず乾燥肌が続いていきます。
汗を掻かない時はいつも通り、しっとりタイプでよいのですが、汗だくになることが予想される時は、さっぱりタイプの方が肌が育つ環境を維持できるのです。
肌状態別に、あるべき化粧水とケアの関係を追いました。
部位により皮脂や汗の機能の差と、肌の育ち度の差が、環境に応じて様々な表情を見せているわけですから、以上の代表的な例を参考に自分の場合を見直してみましょう。
私の肌はさっぱりタイプ・しっとりタイプといった化粧水の決めつけ方をせず、二つのタイプの化粧水を使い分けするのが正解です。保護のケアもベタつきテカりやすい肌の2を参考に乳液やクリームを、肌状態により、季節により使い分けていけばいいわけです。
その場を取り繕う様なケアに陥ることなく、未来の肌を見据えた適切な保湿加減を目指すと、化粧水との良い付き合いが始まります。
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