以前は“アンチエイジング”という表現が流行っていましたが、薬機法(旧薬事法)上、効果・効能を謳った(表現した)とみなされ、化粧品の案内に使うのは違反となるため、エイジングケア(和製英語)という呼称が、今は一般的となったようです。
「エイジング(加齢)する肌に適切なスキンケアを」といったところが本来の意味合いでしょう。
ところが、最初に“アンチエイジング”=肌を老化させないぞ!=若返らせるぞ!といった意味合いのイメージが行き渡ったからでしょうか。エイジングケアにも同様のイメージが重なったままになっているようです。
まるで、エイジングケア専門の化粧品や特定の成分があるかのように言葉が独り歩きしています。大きな誤解が拡がっているので、読者の皆様が迷われないように、ここはサッポーが一石を投じておく必要があると、今日の美肌塾になった次第です。
少し抽象的な講義になりますが、ご勘弁ください。
エイジングケアという言葉が生んでいる誤解
スキンケア相談室に頂く質問を例に、どのような誤解が生まれているかを見ていきましょう。
- 「サッポーに○○成分が入ってないけど、エイジングケアの効果はあるの?」
- 「攻めのエイジングケアと、守りのスキンケア、どちらがいいの?」
- 「××才過ぎたら、○○というけど……」
- 「エイジングケアはいつから始めるの?」
- 「サッポーの美容液だけでエイジングケアができているのか不安」
- 「アンチエイジングに四苦八苦する私の年代でも、肌が育つケアは効くの?」
これらは全て大きな勘違い!……とまではいいませんが、エイジングケアという何か特別なものがあるような誤解が見て取れます。
大きな視点でいうと、肌は二十歳を過ぎると誰でも下り坂になります。つまり、加齢の影響がじわじわと始まっています。加齢のスピードの違いは肌年齢として表面化します。例えば30歳の人であれば、10歳くらいの肌年齢差が見られます。25歳の肌に見られたり、あるいは35歳の肌に見られたり……といった程度の差です。加齢するに従い、この差は大きくなっていきます。60歳を超えると、20歳程度の肌年齢差が普通に見られます。
このように見ると、エイジングケアというのは「何歳から始めたら良い?」という考え方そのものが大きな勘違いであることが解ります。肌の加齢は二十歳から始まるのですから、早いほうが良いに決まっています。
十代からエイジング(加齢)を意識したそれなりのスキンケアをした方が、実年齢より若い肌を目指すには絶対的に有利です。でも、十代の若者に肌のエイジングを意識しなさいというのは無理があります。せいぜい、良いケア習慣を身につけるのが十代、肌が下り坂に向かい、本格的なスキンケアを意識するようになる二十歳の頃には、できるだけ良い肌状態からのスタートにしたいところです。
つまり、私達が毎日行っているスキンケアは、全てエイジングケアなのです。エイジングケアとは適切なスキンケアそのものだと考えるべきです。
少し抽象的な表現になりますが、肌は、過去に造り上げた肌を土台にして、今日の肌を作っています。土台が良ければ、今日の肌はさらに良いものに仕上がります。この逆もまた真なりです。不満足な土台だと、今までより劣った肌になってしまいます。このように、良きにつけ悪しきにつけ、日々のスキンケアが未来の肌に繋がっています。
このように、肌はターンオーバー(新陳代謝)という営みの繰り返しによって成り立っています。年齢が30歳、40歳……70歳と重なるにつれ、良いターンオーバーが繰り返された肌と、そうでない肌では、肌年齢が大きく変わってくるのは、容易に想像出来るでしょう。
加齢という下り坂を進みながらも、今日は昨日よりほんの少しでも良い肌を作ろうという努力が私達に求められているのです。サッポーは、このようなケアを『肌が育つケア』と呼んでいます。『肌が育つケア』とは、エイジングケアそのものなのです。年齢より10歳、20歳若い肌はけっして夢物語ではありません。当たり前に実現可能なことです。
特定の成分や化粧品を選んだからと言って、肌の加齢が止まったり、良いターンオーバーになるわけではありません。なぜならそれは一つの構成要素に過ぎないからです。肌が育つにはもっとたくさんの条件が必要なのです。
既に肌年齢が進んでしまった肌は、まず実年齢に戻す努力をすることです。そこから、さらに肌年齢の進行を遅くしていけば、年齢よりも若い肌が実現できるでしょう。
『肌が育つケア』は70歳からでも十分な成果を期待出来ます。なぜなら、肌はいつもターンオーバーを繰り返しているからです。良いターンオーバーを重ねていくと、必ず良い結果が現れてきます。肌はそのようにできているのですね。
あなたのエイジングケアに自信が生まれ、希望が見えてきたとしたら、今日の美肌塾講義は成功です。いかがでしたか。
- 適切なスキンケアを続ければ、それがエイジングケアとなる
- エイジングケアに特定の方法や成分は存在しない
編集後記
エイジングケア、女性なら誰しも惹かれる言葉です。老化には勝てる人はいませんからね。
でも特別な化粧品を使わなくても、若い肌は作れます。肌は何一つ特別なことを求めていないのですから、いつものケアを正しく継続するだけでOKなのですね。
「サッポー美肌塾」第649号
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