イボはウイルスによる感染症の一つで、スキンケアの専門外です。なので、サッポーが直接相談に応じるべきものではありません。でも皮膚に起きる異変には違いないため、時々相談をいただきます。
治療はお医者様か、イボ地蔵におまかせするとして、サッポーの役目としては、
- イボか、そうでないか?の判断材料を提供する
- イボのできない肌を目指して貰う
この二つが大切なのではないかと考えた次第です。
イボ?それとも、イボみたいな何か?
相談をいただく症状は、「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」か、ウイルス性のイボである「扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)」と呼ばれるものがほとんどです。
圧倒的に多いイボは、子ども時代に出来る「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」ですが、思春期を過ぎるとほぼできなくなるので、この講義では割愛いたします。
脂漏性角化症
お医者様は分かりやすいように「老人性のイボ」と説明することが多いようですが、実は本当のイボではありません。脂漏性角化症というのが正式な呼び名です。
表皮の良性腫瘍で、紫外線を浴びやすい顔や手の甲などにできます。もちろん身体にもできるものです。
ちょっとふくれてカサカサし、ほくろに似ています。黒っぽい色~茶褐色になるのは、メラニンの生産量が亢進しているためです。そのため、スキンケアの世界ではシミに分類されます。
原因は、表皮の加齢的変化によるものとされています。また加齢的変化は、永年紫外線を浴び続けたことが大きく影響します。
そのため、紫外線曝露が積み重なる中年以降に多発しやすく、「老人性のイボ」や「老人性のシミ」と説明されるようです。でも、“老人性”という言葉は気にする必要はありません。30代でも当たり前に散見されます。
脂漏性角化症は、通常は炭酸ガスレーザーによる治療で跡形もなく消えるとされています。もちろん肌の健康に注意していたら、いつか自然に消える可能性も高いですが、早く治したい人はレーザー治療も選択肢の一つです。事後のケアが、適切だと再発することもありません。
扁平疣贅
大人において、もっとも多く見られるイボ、これが本当のイボです。
脂漏性角化症と違い、一つで済むことは少なく、数が増えるのが普通です。イボはウイルスが皮膚に感染して、その対処に皮膚が増殖を始めた良性腫瘍の一つだからです。
扁平疣贅といわれるイボは、ほくろほど黒くはなく、褐色の数ミリの斑点のように見える表面の平たい隆起です。
いずれにしても、イボは不思議なことに、いつのまにか消えていきます。何かがきっかけで細胞性の免疫反応が起きるからだとされています。このきっかけを起こす「何か」はよく分かっていません。
おまじないをしたり、各地にある「イボ地蔵」にお参りすると、治ることが多いのは「何か」のきっかけが働くからでしょう。
免疫反応が始まると、多発したこれらのイボがある日突然、一斉に痒くなり、赤くふくれてきます。それから一ヶ月ほどの間に炎症が治まると、これらのイボは跡形もなく消えている……このような経緯をたどります。
この免疫反応を起こす様々な薬が開発されていますが、今のところ暗示や励まし(おまじないや地蔵参り)の方がウンと免疫反応を起こす効果・確率は高いようです。治るという積極的な意思を患者が持ったときにこの反応は呼び起こされるのでしょう。
そして完治すれば、このウイルスによるイボは二度とできなくなります。
このようなわけで、ウイルスによる本当のイボだと判れば、とにかく余り心配する必要はありません。いずれ消えるのですからね。
しかし、イボらしき病変は見ただけでは判りにくいものも多く、お医者様にも正確な判定が困難なこともあります。悪性腫瘍のことも稀にありますから、「何か様子が変!?」と気になる場合は、病理組織を検査してくれる専門医に診てもらいましょう。
イボのできない肌を目指すのがスキンケア
イボを発症させるウイルスですが、よく育った健全な肌状態であれば感染しません。ウイルスがバリア層(角質層)を通り抜け、さらに最下層の基底層まで侵入して、初めて感染・発症するものだからです。といっても、肌表面から基底層までの厚みはわずか0.2mm、コピー用紙一枚分しかありません。
それでも、バリア層が健全であれば、細菌やウイルスは侵入できません。水分子さえ通さないのが本来のバリア層なのです。
しかし未成熟なバリア層は、小さな隙間だらけです。ちょっと肌表面が乾き気味になると、さらに隙間が大きくなって危険な状態になります。このような肌は、既に普段から敏感な傾向が出ているはずです。傷や炎症がある肌はもちろんですが、敏感さのある肌も、感染リスクは高くなります。
よく育った肌の持ち主なら、このような心配は不要です。でも、ウイルスは目に見えないものですから、育った肌状態を維持することも忘れないでくださいね。
- ウイルス性のイボなのか、脂漏性角化症なのかを見極める
- よく育った肌は健康で、イボはできない
編集後記
今回はスキンケアから少し離れたイボの話題でした。離れているとは言え、実は相談が結構多いのです。
シミなのかイボなのか見分けがつかないことも多いからでしょうか。文中にもありましたが、あなたのイボはいかがでしたか?
「サッポー美肌塾」第680号
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