目から入ってくる紫外線でシミが……どこまで気にすべき?

イメージ画像:紫外線が気になる女性

前回の美肌塾では、太陽と風と肌の良い関係について解説しました。

いつも紫外線に注意!とか、冷たい風や乾燥した風にご用心、などと目の敵のようにしていた太陽と風に、親しく付き合うのもいいことだよ、というのですから、非難の嵐を心配しましたが、視点の異なる肌の健康法として受け止めて貰えたようです。

でも、この話題で “Yumi”さんより、面白い質問がありました。

「目から紫外線が侵入すると、肌のメラニン生産量が増える!」って話です。 それを知って以来、“Yumi”さんはサングラス愛用派だそうです。皆さんはご存知でしたか?

今回はこのご相談を元に、美肌塾を進めてまいります。

“Yumi”さんのご質問・相談

朝~昼の日光を目に入れると、ホルモンバランスや免疫機能が整って、結果として肌にもいいとの指導がありました。それはそれで納得したのですが、高校の頃、生物教師に、

「いくら肌に日焼け止め塗っても、目が紫外線を感じたら、メラニンを作るんだから意味無いぞ。」と言われたことがあるのです。それ以来サングラスを愛用していたので……。

どう理解したらいいでしょうか?

この様なジレンマに、“Yumi”さんは、どうしたものかと、スキンケア相談室にメールされたようです。

UVケアだけでは、万全な紫外線対策とはいえない?!

目からの紫外線で日焼けするというのは、2001年に大阪市立大学医学部の井上正康教授(生化学)の研究チームによって、発表されたレポートです。マウスに紫外線を照射して得られた結論だそうです。

皮膚の一部に紫外線を当てたマウスのグループと、目だけに紫外線を照射したグループのそれぞれにおいて、メラニン色素の発生を比較したところ、ほとんど変わりがなかった……というものです。

人の場合にも同じことがいえるとしたら、これは大変です。

一生懸命に紫外線対策をしていても、目から入る紫外線がメラニン量に影響しているのであれば、“Yumi”さんの高校時代の先生が、「意味ないぞ!」といったのも頷けます。

ところが、この話にはもう少し奥があります。井上教授によると、紫外線による目の炎症が原因だろうとのことです。紫外線を浴びることによって目の角膜(虹彩を被う膜)が小さな炎症を起こすので、その炎症刺激が脳下垂体(様々なホルモン分泌のコントロールタワー)に伝わり、「メラニンを作って防御しなさい」という命令が全身に伝えられると推定されているようです。

目から入る紫外線がメラニンを作る……は、ホルモンによる指示だった!

ホルモンバランスの変化は、上で挙げた脳下垂体から分泌される指令ホルモンの働きです。困ったことに、この様々な指令ホルモンが全身を巡って働く時に、同時にメラニンを作りなさいという命令も併せ持っているのです。

肉体的・精神的に不調の時、妊娠中、出産前後、生理前等々は、脳下垂体からの指令ホルモンが活発化して、ホルモンバランスが変化する時です。だから、メラニンを増産しやすくなっている時と言えます。でもホルモンバランスが崩れたからといって、すぐシミができるわけではありません。

上のようなタイミングの時に、不用意に紫外線を浴びてしまうことがシミに発展してしまう原因です。普段なら、ちょっと日焼けしたかな?で済むのですが、このタイミングだと、外からのダメージ刺激と、内からの命令が重なり、メラニンが異常に増産されやすいのです。つまり、シミになる確率がグンと高まるわけです。このことは美肌塾でも再三話題にしておりました。

さて、それでは、人の目に入る紫外線がメラニンを作る影響はどんなものでしょうか?どうもマウスだけの現象ではなく、人にも影響するようです。

井上教授は、研究結果を実証するため、装備・装具を整え、紫外線の強いオーストラリアのメルボルンまで遠征して検証されたそうです。

人の場合、どの程度の注意が必要なのでしょう

いつもサングラスが必要?

サングラスをかけると良いことは判りますが、外出する時はいつも着用していては大変です。“Yumi”さんの様に、ご自分のスタイルに取りいれられて、抵抗なくサングラス愛用派になれる人はいいですが……。

しかし、そもそも角膜が炎症を起こしさえしなければ、メラニンを作らせる命令も出ないのだからサングラスは必要ないはずです。

では、どのような時に角膜が炎症を起こしているのでしょうか?

肌なら赤くなるので、炎症を起こしていることがすぐに判りますが……、ここがポイントのようです。

そういえば、一日戸外で長く過ごした日、お風呂上がりに鏡を見ると、真っ赤と迄は行かなくとも、目が充血していることがあります。角膜部分は黒っぽいのでよく判別できませんが、同じ上皮に違いありませんから、白い部分同様に炎症を起こしているのだろうなと、想像できます。
プールや海に行ったあとのことを思い出すと、分かりやすいですね。

このような時に、脳下垂体からのホルモンによるメラニン量産の指示も行われているに違いありません。ということは、目の充血が予想されるような時だけ、サングラスをすればいいわけです。日常体験する紫外線との付き合いでは、サングラスの必要性のない人がほとんどと推定されます。

いかがでしょうか“Yumi”さん。
これだと、UVケアさえしっかりしておけば、いつもサングラスが必要なわけではなさそうです。いざという時用に備えておけばいいかな、といったところでしょう。

もっと美白を目指したい!加えて明るい陽の光の恩恵も享受したい

もっと美白を目指そう、健康な肌を目指そうとしたら、紫外線対策が基本ではありますが、目からの紫外線の影響も、全くの無視は出来ません。サングラスの利用は優れた対策の一つです。

しかしここで、前回の美肌塾のように、明るい陽の光を受けて、ホルモンバランスや免疫機能を整え、美肌が育つ恩恵も同時に享受したいとなると、ちょっと考え込みますね。

実は“Yumi”さんとはその後何度かやり取りがあり、下のような質問も頂戴していました。

“Yumi”さんのご質問・相談

紫外線を目に入れずに高い照度の中にいる方法が、サングラス以外にありましたら教えてください。直射光が目に入らなければ紫外線は目に入っていないでしょうか?

たとえば、自分は日陰にいて、明るいとこを見る、は大丈夫でしょうか?
または、晴れている日に窓際に座る、は……。 教えてください。

“Yumi”さんは、美肌への強いこだわりがあるようです。

太陽の恩恵は明るさ(照度)が2,500ルクス以上あればよい

目から入る光が視床下部に影響し、免疫系、ホルモン系に良い影響を与えてくれるには、一定以上の照度を持つ光でさえあればいいのです。2,500ルクス以上の光が必要とされています。紫外線は関係ありません。なくて良いのです。

でも、室内の光ではダメです。いくら明るい事務所でも、照度はせいぜい400~500ルクス程度、店舗のどんなに明るい照明でも1,000ルクスを超えることは期待できません。

紫外線を避けつつ陽光の恵みを受けるには?

しかし、晴れた戸外の昼間なら、軽く100,000ルクス程度あります。曇った昼間の太陽光でも地上では35,000ルクス程度あるとされています。室内の照明とは照度において桁が違うのです。

従って、日陰でも明るい戸外なら十分な照度があり、目に光は入り、良い影響を受けています。サングラスをかけていても、2,500ルクスは確保されているでしょう。

一日合計で30分以上、この様な明るい環境に身(目)を置くことが出来たらよいとされています。これなら、誰だって出来そうですね。

“Yumi”さんにおいては、今までのスタイルを崩さなくても、太陽の恩恵が受けられているということです。

「晴れている日に窓際に座る」は有効か?との質問がありました。

これは有効な場合とそうでない場合があります。直接、陽の射す窓辺や、直接陽が射さなくても、南向きの窓辺なら、明るい昼間だと十分有効だと考えられます。でも肌の紫外線対策は忘れないでください。

目から入る紫外線、知識としては持っていても面白いかもしれません。でも、そんなに気にする必要はないのですね。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 目から入る紫外線のメラニン増産は、目が赤くなる時だけ
  • サングラスをかけていても、太陽光の恩恵だけを享受できる
黒板に注目!

編集後記

目から入る紫外線の影響なんて、気にしたことがなかったのですが、実際に影響があると聞くと気になってしまいますね。

私も車に乗るときや海や山に行くときなど、サングラスをかけます。光よけや疲労を溜めないため、と思っていましたが、肌にも回り回って、よい影響があったのですね(^_^)

「サッポー美肌塾」第276号 / 2006年7月26日 発行


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