石けん製法の優劣&石けんカス

 
 
S》》
サッポー先生

こんにちは、サッポーです。

お待たせしました。
“komasan”さんに質問をいただくまで、サッポーは石けんの本質的な良さと本質的な欠点のみ、一生懸命強調していたようです。

S》》

でも石けんについては、もっとたくさんの情報が入り乱れています。
周辺情報と、本質となる大切な情報の見分けがつかないと、ちょっと別な観点からの情報が入ると、くらくらと揺さぶられ、「なにが本当なんだろう?」……と、つい先ほどまであったはずの自信も、ぐらぐらと揺らいできます。

前回の続きで、今回は石けんの製法に関わる視点を講義します。

 
 

石けん製法の優劣について

 
 

■ “komasan”さんのご質問

> 今日は、石鹸についてお伺いしたくメールさせて頂きました。
> 近頃よく、コールドプロセス石鹸が良いと耳にします。グリセリン
> 等を添加しなくても、この製法なら天然のグリセリンが豊富だと
> か、いろいろ良さそうなことを聞きます。私もコールドプロセス石
> 鹸をいくつか持っていますが、確かにグリセリンは豊富かなと思
> うのですが、突っ張るものもある気がします。
> 
> サッポーさんの石鹸は、ホットプロセスですよね?コールドプロセ
> ス・ホットプロセスについて、サッポーさんのお考えはいかがです
> か?


 
 
S》》

読者の皆様はいかがでしょうか?
石けんにも製法の違いがあるのですね。

今まで、製法を意識して石けん選びをしていましたか?
こだわり派、無頓着派……実際には様々な“派”があるのでしょうね。

S》》

はい、それではサッポーの視点を紹介していきます。

 
 

石けんに製法の優劣はある? ―肌を洗浄するアイテムとして

 
 
S》》

ホットプロセスとか、コールドプロセスなんて、ちんぷんかんぷんですね。
製法といえば、まず、鹸化法とか中和法という言葉があるのですが、聞いたことはあるでしょうか?
それに枠練りとか機械練り、それなら手練りもありそうですね。

S》》

さらに、そのようにして作られた石けんが、「純粋である」とか、「不純物が多い」とか、「化学合成された洗顔料ではない石けんこそ、肌に優しい洗顔料である」とか……この辺りまで取りあげていくと、もう言葉の定義から始めないと収拾がつかないような議論が行われています。
コマーシャル案内も、いずれの製法だって良いことばかり書いてあります……?????

S》》

製法を詳しく見ても余り面白くありません。
製法には簡単に触れて、石けん作りにとって最も大切な視点は何かを知ることにしましょう。
その大切な視点が判れば、本当の意味でよい石けんがわかるはずです。

もちろん、視点のベースは「肌が育つケア」です。

 
 
サッポーの
シンボル/サッポーの視点
視点

ここで前回の結論を再確認です。

  •  石けんの長所:洗浄後の肌に界面活性剤を残さない
  • × 石けんの短所:洗い上がりの肌感覚として優しさに劣る
  • × 石けんの短所:アルカリ性の性質が肌に刺激を与える

肌が育つケアにとって、洗浄剤に求められる最大の長所は「角質を不用意に剥がさず汚れを取り除くこと」です。
その点で、界面活性能が消えてしまう石けんは最大の長所を満たしているわけです。
いずれの製法もこの最大の長所は満たしているのです。
洗浄力も大差ないですから、長所には差がないと考えてよさそうです。

その他に様々な長所が様々に表現されていると思われるのですが、それらは枝葉末節の取りあげるに足らないことだとサッポーは考えます。

問題は二つの短所です。

1.洗い上がりの優しさに劣る

前回触れましたが、これは肌に界面活性剤が残らないがために感じる短所でした。
汚れを落とし、皮脂や油脂もきれいさっぱり取り除いてしまうので、全くの素肌が現れます。
素肌は乾燥した外気に触れるととても乾燥しやすい状態だからです。
育ち度レベルの低い肌だと強いつっぱり感を覚えます。
ひどい場合は、痛みさえ感じる肌もあります。

この点においては純な石けん成分(石けん素地)以外の混合物(不純物)が多い方が肌は洗い上がりの優しさを感じるでしょう。
不純物の大半は鹸化過程に生じるグリセリンだからです。保湿剤として使用される成分です。
これらが僅かでも肌に残る方が乾燥が緩和されるというわけです。
この点を重要視すると、あとで説明する製法で塩析をして不純物を取り除く製法や、不純物を原料段階から除外する中和法といわれる製法などは、洗い上がりの優しさに劣ると言えます。
この欠点を補うために、いずれの製法においても、さらに保湿性のある様々な成分を練り込む方法が取られます。
成分表示を見たら本当に様々な成分が配合されているのに気づきます。

でもこの点において、サッポーの視点は「本当の意味で純粋な石けんだけでよい」と考えます。
あるいは「洗っている時の使用感を良くする(摩擦の減少)程度の保湿剤が配合されていたら十分」と考えます。
洗い上がりの保湿性能まで補強しようとすると、基本として求められる洗浄機能の低下が心配です。

洗い上がりはつっぱって良いのです。
つっぱり感を強めに感じるなら、すぐにケアを始めてあげることです。
これでマイナス影響は即座になくなります。
それだけではありません。
余計な保湿性能などない方が洗い上がりの肌状態をチェックできるのです。
いつも肌の育ち度レベルを知り、今日肌が受けたダメージ度を知っておくことは、肌管理者としての基本でもあります。

 
 
S》》

何も石けんに配合した保湿成分で肌を保湿する必要はありませんね。
そのためにスキンケア製品があるのですから……。

S》》

石けんの短所、一つ目の優しさについては以上のように考えます。
サッポーはこの欠点の性質さえ知っておけば何も問題がないと考えています。
読者の皆様はいかがですか。

しかし、もう一つの短所が残っています。

 
 

2.アルカリ性の性質が肌に刺激を与える

石けんの本当の弱点はこの「アルカリ性であること」です。
肌は弱酸性で保たれるのが健康を維持でき、最も安心できる状態です。
弱アルカリ性といえども、肌にとっては結構な負担になる性質なのです。
そのため肌につけるスキンケア製品は、ごく特殊なものを除き、全て弱酸性に作られています。

育ちの良い肌だと石けん程度の弱いアルカリの性質などは感じることもないのに、肌の育ち度レベルが低く、未熟な肌だとバリアー能が不完全なため、大きな刺激として受け取り、時には肌自らが炎症を起こしてしまうことがよくあります。
石けん洗顔で赤みが出るのはその警告段階と言えます。
これは由々しき石けんの欠点です。

いずれの製法で作られた石けんもこのアルカリ性であることは同じです。
pH値も殆ど大差ありません。
ところが皮肉というか、このアルカリ性であることが、肌に使用する洗浄剤としての最大の長所、肌に界面活性剤を残さない性質を作っているのです。
最大の短所が最大の長所でもあるわけです。これは困りましたね。

「それでは、どうしようもないのでは!?」

その通りなのです。どうしようもありません。
ここで大切なのは、諦めることです。
何を?って、もちろん石けんの使用を諦めるのです。
肌がマイナスの反応を示すようでは、石けんの良さなど吹っ飛んでしまいます。
炎症反応は断じて避けるべきです。
肌の育ち度レベルが、あるレベル以下の場合、石けん使用は諦めることが鉄則です。

「すると、この点においては製法上の優劣は無し?」

いずれの製法も、ほぼ同じpH値でアルカリ性の石けんを作るのですから、優劣はないと言えそうです。
ところが、アルカリ性が与える刺激の中にはとんでもないものが隠れていました。

遊離アルカリ」の存在です。「残量塩基」と説明している場合もあります。
固形石けんは、いずれの製法も苛性ソーダ(水酸化ナトリウム≒アルカリ)と脂肪酸が反応して鹸化が起こるわけですが、原料である油脂をそのまま使用する限り、たくさんの不純物を含んでいるので、どうしても反応しない強アルカリが残り、石けんの中に含まれてしまうのです。
水酸化ナトリウムは、強酸である塩酸や硫酸と変わらない劇物です。
微量な存在だから、pH値には現れませんが、過敏な肌はこの強アルカリをしっかり受け止めてしまうのです。
多くの肌が感じている石けん洗顔による刺激はこの「遊離アルカリ」、残留した塩基が起こしているものなのです。
育ち度レベルの未熟な過敏な肌では、赤みを簡単に起こすだけでなく、かぶれ症状まで起こしてしまいます。

  • 良い石けんには『遊離アルカリ』が存在しない

このように言うことが出来ます。
石けんを使用できる肌が大きく広がります。
肌の育ち度レベルが多少低くても、石けん本来の弱アルカリ性の範囲なら、たいていの肌は使用できるというわけです。
それには『遊離アルカリ』の存在しないことが決め手となります。
つまり、自然の油脂をそのまま使用するのではなく、複数の脂肪酸のみを取り出し、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム≒アルカリ)と反応させることで実現できるのです。

これが可能な製法は『中和法』のみとなります。
中和法の良いところは、もう一つあります。
油脂の脂肪酸のみを抽出し利用するのですが、その際、刺激の強い脂肪酸を除外することができます。

どうしようもないアルカリ性の性質を持つ石けんですが、不純物を完全排除し、原料の純粋さを脂肪酸レベルまで追求すると、マイナス要素は最小となり、より多くの肌に使用範囲が広がります。

 
 
S》》

以上が石けんの持つ最大の短所についての視点となります。
これ以外の様々な短所は、長所のところと同じで、そんなにこだわっても仕方がない部分です。
枝葉末節に属することばかりです。

S》》

製法との絡み、少しは見えてきたでしょうか?
様々な長所や欠点の表現に惑わされることなく、ポイントを掴む自信、見えてきましたか?

それでは、石けんの製法について大雑把に見ていきましょう。

 
 

石けんの製法

 
 

▼ 石けんの製造方法

1.加熱しない方法(原料油脂+苛性ソーダ)

油脂に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加え撹拌、加熱することなく反応熱だけで鹸化させる方法です。
自家製石けんなどはこの方法で簡便に作ることが出来ます。
しかし、副生物であるグリセリンや油脂中に元々含まれている様々な不純物がそのままになるため、石けんとしての純度は低いものです。
簡単ではありますが、手作りとしての難しさがあり、また時間がかかる製法とも言えます。
グリセリンを始めとする不純物を良いとするか、良くないと表現するか、様々に言われています。

 
 
S》》

“komasan”さんの質問にあるコールドプロセスとはこの製法ですね。

 
 

2.加熱する方法(原料油脂+苛性ソーダ)

1と異なるのは、人工的に加熱する点です。
家庭で行われる自家製石けんでもこの方法が最も多いようです。

3.加熱する方法+塩析(原料油脂+苛性ソーダ)

多く行われている方法で、2と決定的に違うのは、炊きあげて得られた石けん混合物に塩水を加え、塩析することにより、石けんとグリセリン他の不純物を分離する方法で、より純粋な石けん素地を得ることが出来ます。

 
 
S》》

“komasan”さんお尋ねのホットプロセスはこの方法、2、3がそうです。

 
 

4.中和法(各種脂肪酸+苛性ソーダ)

伝統的な製法である1~3に対し、近年に開発された製法で、鹸化させる前に、原料油脂を数種の脂肪酸とグリセリンに分解し、取り出した脂肪酸と苛性ソーダを反応させ(中和する)鹸化する製法です。
刺激性の強い脂肪酸を除外でき、都合の良い脂肪酸のみ組み合わせて使用できるため、極めて純粋な石けんを作ることが可能な製法です。

サッポーの肌が育つ「ピュアマイルドEXソープ」はこの中和法で作られています。遊離アルカリが存在せず、肌や粘膜部分にも刺激の少ない石けんとなります。
それなりの設備が必要とされるため、家庭で作るには向いていません。

石けんの製造には、上に挙げたような製造法そのものから、石けんとしての形に仕上げる方法として、枠に流し込み、時間をかけて乾燥させる方法から、機械で細断・乾燥、練って押しだし、切断型打ちする方法があります。
いずれも長所・短所がありますが、肌が育つケアに影響を与えるような問題ではない枝葉のテーマです。
ここでの説明は割愛致します。

 
 
S》》

石鹸の製造法、いかがでしたか?
製法それぞれの長所や欠点が、肌が育つケアの視点で理解していただけたら、サッポーも一安心です。

 
 

石けん製法の優劣について

 
 
サッポーの
シンボル/サッポーの視点
視点

■ “komasan”さんのご質問

> 石鹸洗顔すると毛穴に石鹸カスが詰まるという話だとか、石鹸洗
> 顔後、顔をフローラルウォーターで拭き取るという話も最近よく聞
> きます。石鹸カスは、毛穴に詰まったり肌に残ったりするのでしょ
> うか?
> 角質を育てる上で、拭き取りは肌に良くない気がするのですが、
> そうではなくもし拭き取りをした方が良いのであれば、お教えくだ
> さいませ。


きっとこの「カス」という言葉が余りよい響きを持っていないので、いろいろと言われるのでしょう。
利用されやすい言葉かもしれませんね。

毛穴に石けんカスが詰まることなど、全く心配する必要はありませんよ。

また、たとえ皮膚表面や毛穴付近に付着していたとしても、無益・無害な物質です。
このような目にも見えないようなものを、わざわざ拭き取る必要はありません。
石けんカスとは、使用する水に含まれるミネラルと石けんの成分であった脂肪酸が結合した物質です。
正式には「金属石けん」と呼びます。
水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルとくっついたものだからです。
でも金属とか石けんが肌に残ると考えると、なんだが不安になる人もいるでしょうね。
これも誤解を与えやすい名称です。

石けんカス(金属石けん)となった段階で界面活性能を失い、無益・無害な物質に変化しています。
99.999……%は洗い流されますが、まあ、肌に付着するものもあるでしょうね。
でも気にする必要はないものです。

弊害といえば、あまり石けんカスがたくさんできると、それだけ石けんの洗浄力が低下するという点です。
石けんの使用量が増えると言うことですね。
しかし、日本の水は硬度が低く(ミネラルが少なく)、あまり石けんカスそのものが作られません。
石けん水を作ると白く濁って見えるのが、石けんカスです。

 
 
 
 
S》》

“komasan”さん、面白い視点でのご質問、ありがとうございます。
有り難くご質問を引用させて頂きました。

S》》 ハイ、今日の授業はこれまで。
 
 

コメントは受け付けていません。