紫外線が髪の毛に与えるダメージとその防御法は?

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紫外線の肌への害は年中ありますが、髪の毛も例外ではありません。紫外線の強い季節はもちろんですが、基本はいつでも注意しないとダメなのですね。

とはいっても、肌へのダメージほど気にされていない方が大半でしょう。むしろ女性の長い髪は紫外線から肌を守る一つの武器という見方もできます。

今日の美肌塾では、紫外線が美しい髪を損ねるダメージにならないように注意喚起をしていきたいと思います。

髪が紫外線を受けるとどうなる?

分かりやすく比較するために、まずは肌の場合から紹介します。

肌が紫外線を受けると……

肌に紫外線が触れるのは、まずバリア層(角質層=死細胞の層)です。そして、その直下には生きた細胞層である表皮細胞層が直結しています。

バリア層の厚みは僅か0.02mm程で、薄い紙のさらに数分の1。その上、透明ですから、簡単に生きた表皮細胞層まで侵入します。

UVB(短波長紫外線)の影響は表皮層までですが、UVA(長波長紫外線)はそうではありません。表皮層下層に散在するメラノサイトを刺激します。するとメラノサイトはメラニン生産を亢進させ、日焼けすることにより、肌に防御態勢を取らせます。

さらには、表皮層の下にある真皮層まで侵入、表皮を支えるコラーゲンなどで出来た弾力繊維層を酸化破壊していきます。このようにしてシミやたるみ・しわの原因を作っています。

髪が紫外線を受けると……

髪の構造イメージ

一方、表皮細胞(毛母細胞)が作り出した構造物である髪はどうかというと、一番外側を覆っているキューティクルがまず紫外線を浴びます。

このキューテイクルは肌の角質と同じケラチン質(タンパク質)で出来たやや硬い透明な膜です。包帯を少しずらしながらぐるぐると重ねて巻いていったような作りです。

肌の角質層のように10層も15層も重なるわけではなく、数層(6~8層)が重なっている程度です。紫外線はこの透明な層をするりと通り抜け、髪内部に入り込んでいきます。

髪を構成するのは、たくさんの糸状の透明なケラチン繊維(コルテックス)です。そしてこの繊維の間を満たす様に透明な流動状のケラチン質があり、髪のしなやかさをキープしています。

髪内部に侵入した紫外線ですが、実はそこまで怖いものではありません。それは、流動状のケラチン質にあるメラニン色素のおかげです。髪の毛が黒いのもこのメラニン色素の存在であり、髪が紫外線を受けてもメラニン色素が吸収してくれます。そのため、黒髪の日本人はあまり髪が傷まないのです。

金髪や銀髪、赤毛や栗毛の人種は、メラニン色素が少なく、元々ダメージを受けやすいのです。

ところが、元が黒髪であっても、カラーリング(ブリーチの行程を含む)をしている場合は注意が必要です。ブリーチによりメラニンが無色化されますから、紫外線ダメージを受けやすい弱い髪になっています。

カラーリングやパーマ等の科学ダメージも肌を傷めます。その上さらに、紫外線を無防備に浴びていたら、かなり大きなダメージになっています。

紫外線が髪に与えるダメージとその防御法

紫外線を浴びると、肌は炎症を起こします。赤くなり、酷いと火傷状態になります。

髪の場合、炎症を起こすことはありません。肌の様に悲鳴を上げないのです。でも、間違いなく劣化は進行しています。

まずキューティクルが傷み、壊れ、剥がれます。ケラチン繊維も至るところで壊れたり劣化が進んでいきます。ぱさぱさ・ガサガサ・ゴワゴワ・枝毛・切れ毛……肌のような加速度的変異ではなく、じわじわと変質していきます。

問題は、この劣化が紫外線によるものだと気づかないところにあります。すぐに劣化が現れなかったり、上の様な他のダメージで既に傷めている可能性があるからです。

これは、肌の真皮層にあるコラーゲン等の弾力繊維層が紫外線によって劣化が進行していくのに似ています。しわやたるみが現れて初めて、真皮層の弾力繊維層の損壊に気づきます。しかし、気づいたときはもう遅いというわけです。

肌の表皮細胞が約1ヶ月で全て新しい細胞に入れ替わるのに対し、真皮層の弾力繊維は4~5年かけて再生されます。

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髪にも同じようなことが言えます。例えば、長さが30センチの髪なら約30ヶ月、40センチなら約40ヶ月、作られてから2~3年経過しています。つまり、今見えている髪は2~3年のダメージが蓄積した姿なのです。

新しく生えてくる髪が同じ長さに達するには、やはり同じ期間待たなければなりません。

髪の紫外線対策

それは、紫外線を遮る工夫をすること、そしてその習慣を身に付けることにつきるでしょう。

例を挙げてみます。

  • 日傘の利用
  • 帽子着用
  • 日陰を歩く
  • UVヘアケア剤の使用※
  • ……等々

※耐水機能の度合いにより、髪を乾燥させる傾向があります(シリコン油の多用)。とはいえ、ダメージとしては紫外線の方が大きいですから、上手く活用したいところです。常用・連用するのではなく、いざ!という日に絞りって時々使用しましょう。(肌ほど気づかう必要はありません。)

これらの対策は基本的なことばかりです。でも実行できている人はどのくらいいるでしょうか?

髪が傷んでからでは遅いのです。実行してもすぐに成果は出ません。それでも髪を思い、2年・3年と継続するのが成功のコツでしょう。

あなたの髪も本来はもっともっと美しいのです。2年後、3年後の見違えるように美しくなった髪を夢見ましょう。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • 髪も紫外線のダメージを受けるが、進行がゆっくりなので気づきにくい
  • 髪を傷めない習慣作りとその継続が大事、2~3年続ける
黒板に注目!

編集後記

髪の毛へのダメージはたくさんあります。紫外線はその一つですね。傷んだ髪が紫外線を受けることによって、傷みに加速が付くこともあるでしょう。

肌ほどに傷みを訴えない髪ですから、いつでも私達が気にかけてあげる必要があるのですね。


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