新陳代謝という言葉の功罪

新陳代謝とは?~「新陳代謝」は超人気ワード

 
 
S》》
サッポー先生

「新陳代謝」
4文字の漢字が並ぶ難しそうな熟語ですが、今や小学生でも知ってる子等が多いほどに、よく見かける言葉となりました。

何でも夏目漱石が使い出したのが最初だとか。
真偽のほどは定かではありませんが、比較的新しい言葉には違いないようです。

S》》

ところがこの「新陳代謝」という言葉ほど引っ張りだこに使われているのも珍しいと思います。
ちょっと挙げてみましょうか。

  • 新陳代謝を高める健康法
  • 新陳代謝を高める食べ物
  • 新陳代謝を高める運動
  • 新陳代謝を高める○○
  • 冷え性を治すには新陳代謝を促進…
  • シミ予防には新陳代謝をよくする…
  • ダイエットは新陳代謝を高めることが…
  • 新陳代謝が低下すると疲れが取れない…
  • 新陳代謝が低下すると太ってくる…
  • etc...
S》》

新陳代謝というものは、高まったり、促進されたりすることが良いようです。
低下するのは良くないという使われ方をしています。
「新陳代謝って大切なんだな」と思います。
新陳代謝の使われている内容に、何の違和感も感じませんね。

 
 

「新陳代謝」という正義の言葉が生み出す誤ったケア

 
 
サッポーの
シンボル/サッポーの視点
視点

▼ そもそも「新陳代謝」とはどんな意味?

広辞苑で調べると、「古いものが次第に去って、新しいものがこれに代ること」とあります。
これを人体にたとえると、確かに私達の肉体はエネルギー代謝、物質代謝に伴い、全ての細胞や骨まで、全てが次第に入れ替わりながら維持されています。

うーん。これは大切なことだ。納得です。
範囲が広くて、何にでも使えそうな言葉です。

▼ 「新陳代謝」はどのように使われている?

それではもう一歩踏み込んで、肌のことについて使われている「新陳代謝」という言葉の周辺をみてみましょう。

肌の新陳代謝の低下でターンオーバーが遅くなると、シミや日焼けの原因となるメラニン色素が排出されないので、シミの原因になったり、日焼けした肌が戻らなくなります。

「あれー!新陳代謝が低下するとメラニンが排泄されなくなってシミが出来ちゃうの?
これは大変!
ターンオーバーが早くなればいいわけだ!
そのためには新陳代謝を活発にすればいいのね。」
……×

「何となくピーリングを奨励しているように受け取れますし、少なくともターンオーバーを早めるために何かしなさい……と読んでしまいます。
でも、ホントにそうなの?
毎日作られているメラニンは角質と一緒に毎日排泄されているのでしょう?」
……○

ターンオーバーとは新陳代謝のことです。
角質が剥がれないと、新しい細胞は生まれず、細胞が古くなっていきます。
お手入れ不足の肘や膝の皮膚に古い角質が留まってくると、お肌のくすみやざらつきなどになり、角質層が厚くなっていくのです。

「フン、フン、そうなんだ。
確かにそうだ。
古い角質、ゴワゴワと厚い角質層、これは新陳代謝がダメなんだ。
顔の肌だって同じよね。
つまりターンオーバーが止まってる?
イヤ遅くなってるのかな?
うん、そうに違いない。」……×

「えっ?そうではないでしょう。
角質の剥がれが新しい細胞の誕生を促進することは知ってたけど、剥がれないと新しい細胞が出来ないなんて聞いたことがない。
肘や膝が荒れてガサガサするのは、摩擦等で角質がどんどん剥がされた時にガサガサになるのでしょう?
厚くなるのは肌が慌てて細胞を作り出しているからでしょう?」
……○

※○・×で、例題に触れた読後感の適・否を判定しました

▼ 《 正解+誤解+正解 ≒ 正解+正解+正解 》と見える誤解

いかがですか?
一歩踏み込んで「新陳代謝」という言葉がどのような場面で使われているかをみると、どうも間違った説明と一緒に使われていることが多いようです。
「新陳代謝」という良いイメージを持つものに沿った形で、少しだけ誤った論が重ねられるというわけです。

するとどうなるか?

誤ったスキンケアに導かれていきます。
ところがこういった理論がしっかり構築されたように見える間違った説明は、特に罪が重いと言えます。
なぜなら、誤った理論でも、合っているように思い込んでしまったら、なかなかそこから抜け出せなくなるだけでなく、また新たな間違いケアに結びついていくからです。

ネットを徘徊しておりましたら、こんな記述がたくさん見つかりました。
「年齢別ターンオーバー周期」を表したものです。
原典は何によっているのか判りません。
整理して表示すると、以下のようになります。
代表的な三つのパターンに集約されました。

年齢別ターンオーバー周期(原典不明)
  10代 20代 30代 40代 50代 60代
20日 28日 40日 55日 75日 100日
28日 28日 40日   75日 90日
19日 28日 35日 35日 40日 45日

これをご覧になってどのように思うか……何となく判りますね。

年令を重ねると、新陳代謝が低下して、ターンオーバーの周期が次第に遅くなって来るというものです。
遅くなる傾向のあることを否定しませんが、とても上のような標準的な実態があるとは思えません。
個別には、年齢差より個性差が目立つ世界のはずです。

でも、こんな表を見せられたら、

「40代の私の肌は20代の肌より、7日から27日も古い角質を肌にまとって過ごしているのね……」

「古い角質は取り除けば……きっときれいに」

「ターンオーバーは早い方がいい!」

…と、思い込んでしまうのではないでしょうか?

“ターンオーバーを早める”のは簡単ですが、それは“新陳代謝が良い状態になる”ということとは関係のないことです。
ターンオーバーが早まれば、送り出されてくる角質は未熟な痩せた細胞に変化していきます。

大切なのは、肌にしっかり育つ時間を与えるということです。
育った細胞が角化するようなターンオーバーをいつも目指して下さい。
それがいつも美肌を目指すケアとなっていきます。
それが“良い”新陳代謝です。

「良く育った肌が維持されると、老化に伴うターンオーバーの遅延傾向も前述の周期表のようには進行しない」…というように考えましょう。

 
 

コメントは受け付けていません。