髪(頭皮)が求めるヘアケア製品 Part-2

イメージ画像:髪が求めるヘアケア製品とは……(ステマ)

前回では、ヘアケア製品そのものについて触れておりませんでした。使用感や見映えだけで選んでいると、短期間では取り返せない手痛い結果を招くことになります。髪の立場を知る大切さを理解して欲しかったのです。

10年でも20年でも着られる着物を扱うのと同じように、まず髪を傷めないことが基本であり、さらに長持ちさせるケア習慣を身につけることが美髪の秘訣です。

参照:前回配信「髪(頭皮)が求めるヘアケア製品 Part-1

このような前提で、髪がどのようなヘアケア製品を求めているか、見ていきましょう。

  1. シャンプー(洗髪)
  2. トリートメント(髪内部の補修と保護)
  3. コンディショナー(髪外面の補修と保護)

洗髪時のケアは上のように三段階にわけて行うのが基本です。

1.シャンプー(洗髪)

髪と頭皮を適切に洗う……この適切さを満たす二つの条件があります。

条件1:毎日洗っても頭皮や髪を洗い過ぎない適度な洗浄力

シャンプーは洗浄力控えめな方が良い!?

頭皮は界面活性剤が残らない石けんで洗って、髪は石けん以外の界面活性剤で洗うのは無理なので、ここは髪に照準を合わせて考えます。主流の脂肪酸系よりアミノ酸系界面活性剤を洗浄剤として利用した製品の方が洗浄力が控えめで、シャンプー(洗髪)には丁度良いのです。

頭皮も肌ですから、石けんによる洗浄が理想なのですが、髪にとってはその性質であるアルカリが髪内部をじわじわと損傷していくので、乾燥しやすい髪に変化していきます。これでは2年3年4年と髪の良い状態を保つことは困難です。

しかし、幸いなことに頭皮は顔の3倍程度の皮脂で覆われているので、洗浄力控えめのアミノ酸系界面活性剤を利用したシャンプーなら、界面活性剤が頭皮に残っても、角質剥がれを促進する傾向は出て来ません。

このようにシャンプーは頭皮や髪を優しく洗うことができる…これだけでよいのです。

ところが、世間では頭皮の皮脂を悪者扱いし、毛穴に詰まる皮脂をいかに落とすかを競うようなコマーシャルが溢れています。
これは明らかな洗い過ぎで、その時はきれいに見えてもますます皮脂は活発化、痩せた毛穴は皮脂が詰まりやすくなるだけです。
優しく洗うだけで皮脂が詰まらない毛穴、皮脂の安定した頭皮に育っていくのです。

参考:「石けんシャンプーは?…読者質問より

条件2:きめ細かな泡立ちと、泡切れの良さが髪を傷めず洗う条件

泡には洗うだけではなく、もう一つの大切な役割があります。髪を傷めずに洗う潤滑剤としての役割です。髪を傷めている大きな原因に、髪同士が擦れ合う時にキューティクル(毛表皮)が欠けることが挙げられます。ブラッシングやコーミング時には注意するものですが、洗髪中、水で濡れたキューティクル(硬いケラチン質)は軟化していて、摩擦で傷つき壊れやすいのです。これを防いでいるのが、泡の質と量です。指がスムーズにするりと髪に入り、スルスルと滑るように髪を洗える泡がよいのです。

頭皮も指に力を込めた「ズリ!ズリ!ズリ!」ではなく、「ズリ!」程度で満遍なく軽く指を動かすくらいがよいのです。

髪をすすぐ時にも大きなポイントがあります。髪同士の擦れです。泡を流してしまうのですから、潤滑剤がなくなるわけです。しっかりすすがないと!という思いが知らず知らず髪同士がジョリジョリと直接擦れる状況を作りがちです。

すすぎはたくさんの湯水を髪と頭皮に流すことが基本、それだけでよいのです。泡切れの良いシャンプーを選びましょう。

2.トリートメント(髪内部の補修と保護)

イメージ画像:髪の構造

無数のキューテイクルで覆われた髪内部は、見えないくらいに細いキューテイクルと同質の縦に長く連なったケラチン線維(毛皮質)がぎっしりとより合わさっています。そしてこれらの線維は、流動性の蛋白質で満たされ、水分を保持し髪のしなやかさを作り維持している、これが傷み・損傷の少ない髪の状態です。

ところが、髪も長い年月を経ると、流動蛋白は次第に減少し線維の傷みも多くなります。髪は乾燥し、パサパサ、ガサガサ、しなやかさを失う、切れ毛、枝毛、帯電しやすい等々のトラブルが増えてきます。さらにパーマやカラーリング、間違ったブローやアイロンの使用があると髪内外の傷みが加速します。

傷み乾燥した髪はさらに乾燥が拡大し、トラブルの進行も加速していきます。このような乾燥した髪の毛母細胞(≒毛根)はストレスが高まり、健全な髪を生やす能力が低下します。細毛、抜け毛、薄毛、禿げへの道を辿ることになります。

この様なトラブルの進行を止めるのが、トリートメントです。髪内部に流動蛋白を補充し続けることで、保水力が保たれ、乾燥の進行が止まる、しなやかさが維持されます。帯電しにくくなり、毛母細胞が守られます。健全な髪が育つようになります。

トリートメントの第一の目的は流動蛋白による髪内部の補修にありますが、同時に、髪外面(キューティクル)の保護剤も配合されます。様々な油脂の広がりを良くするために適量のシリコン油も配合されます。

トリートメントは、髪内部の傷み(髪の乾燥度合い)に応じて使用頻度を増減します。傷んだ髪ほど補充した蛋白が流出しやすいからです。そこそこ良い状態の髪なら、週一度のトリートメントで髪の傷み予防と、傷みの進行をストップすることができます。トラブルが少し気になる髪なら、週2~3回のトリートメント、トラブルの目立つ髪は毎日のようにトリートメントする、このように対応していきます。

製品の評価は一本使い終わってから

問題はどのようなトリートメントがよいかという選択です。残念ながら、こればかりは明確な事前評価ができません。しばらくの期間使用を重ねて、内部補修が充実するにつれて、髪外部の仕上げ効果も高まり、次第に良さが増幅・実感されていく……このような過程を辿るからです。

誠に不本意ですが、騙されたと思って、まず最初の一本を使い切ってみることです。使い終わった頃に、「確かに良くなってきた」と思える製品が良いものです。使い終わって初めて製品の善し悪しが見えてくるのは悔しいですが、髪との付き合いは長いのです。本物に辿り着くことが大切です。

3.コンディショナー(髪外面の補修と保護)

トリートメントが髪内部に浸透し、傷みの補修が目的であるのに対し、コンディショナーは髪外面(キューティクル)を保護・コーティングすることにあります。複数の油脂が主役となり髪を色つや・感触良く乾燥から保護し、適量のシリコン油がその広がりと滑りをコントロールします。ブラッシングやコーミングで髪を傷めることがなくなり、髪同士の摩擦も軽減します。

水分保持力の高い帯電しない良く育った髪が最終の目標ではありますが、これら保護材の組合せによって静電気の発生そのものを減少させる効果も期待されます。

使い始めが一番良かった!?はダメ製品です

コンディショナーはトリートメント以上に、使用を続けるほどに次第に良さが増幅していくものであることを製品選択の大切な視点にする必要があります。初めて使用した時が一番良く、使うほどに良さが低減していくものもあるからです。

例えば、シリコン油の配合を増やすとサラサラ感が向上します。髪表面が乾き、湿りを防止するコーテイング効果があるためですが、一定量を超えると髪を乾燥させる傾向が現れてきます。これでは、使用を続けるほどに使用感の良さが低下するだけではなく、髪そのものの劣化をも伴うことになります。

使い続けた結果、しっとり感とともに適度なサラサラ感が得られる……これが髪が育つことを考えたサッポーのヘアケアです。

肌を犠牲にしながら、一時の美しさを求めるスキンケア製品の場合、使い続けているとどこかで過敏肌に陥るので、否応なく間違いに気づくことになります。

しかし、肌ほどにもの言わぬ髪の場合、その場その場の美しさ作りを追求した製品を選びがちです。そしてどうしょうもないトラブル髪になっても、赤みや炎症を起こすような悲鳴はあげません。だから間違ったケアでも続けてしまうことが多いのです。

髪とは長~い付き合いになります。ヘアケア製品こそ本物指向をして下さい。本物を見極める視点を持つことです。


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