シンプルなスキンケアの長所とその限界

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「スキンケアはシンプルな方が良い」といわれると、「なるほど、そうかも」と何となく納得してもいいような気持ちになります。「でも、本当にそうなの?」と思う人も多いでしょう。実際のところはどうなのでしょうか。

「そもそも、“何”がシンプルなの?」と考え始めると、「シンプルという言葉は好きだけど、何なの??」と、ちょっと怪しくなってきます。

  1. ケア方法が簡単でシンプル
  2. ケア製品の成分構成がシンプル
  3. ケア方法も成分構成もシンプル

“シンプル”の良さを分解してみると、こんな意味で使われているようです。

それでは順番に確認していきましょう。

1.ケア方法が簡単でシンプル

シンプルケアのイメージ

ケア方法が簡単なのは良いことです。しかし、肝心のケアの効果・成果がもう一つだとダメですね。

それでも、スキンケアなど忙しくてしているヒマがない、あるいは面倒で堪らない、というような人達には、実質的な効果・成果が期待できるのです。忙しさや面倒さを理由にケアを受けられない肌よりは、断然有利な環境作りが可能だからです。女性ほど美肌に価値意識を持たない男性や子供に向いているかもしれません。ケアが簡単なら続けることができるからです。

また、間違ったケアにはまりやすい人、色々なものに飛びつきやすい人は、失敗も多くなりがちで、スキンケアそのものが美肌作りのネックになっている人もいます。このような性向を持つ人には、肌に合うものがあればシンプルケアがピッタリだと思うのですが、これは現実的ではないようです。何といっても移り気なのですから、続くはずがありません。

このように整理すると、本格的に美肌を目指す人達にとって「ケア方法が簡単でシンプル」というのはあまり意味がないのでしょうか?そうではありません。簡単でシンプルという良さがこの上なく有益な時があります。

サッポーは、スキンケアカウンセラーをしている手前というわけではないのですが、それなりに肌を良い状態に維持することに神経を使うようにしています。休日の午前中は家周りの掃除をしたり、庭の手入れに洗濯と、冬でも汗をかく位に走り回ります。そんな時はB.Bクリームです※。(※ただし、紫外線吸収剤不使用でウォータープルーフでない製品に限る)

クリーム一つで、それなりの保湿・保護のケア、さらに紫外線保護、ちょっぴりファンデーションの色味のあるものを使用していますが、便利ですね。夏の炎天下で汗で崩れたかなと思ってもザッとすすぎ洗いして、再びクリームを塗るだけで、それなりに仕上がるのですから、これは便利で美肌を維持するのに丁度良いなと思っています。

お昼を済ませたら、シャワーを浴び、いつものスキンケアに戻します。休日の午後にスケジュールを入れるのが億劫ではなくなりましたよ。

「ケア方法が簡単でシンプル」の効用と限界

  • 簡便にケアを追加・補整でき、肌管理に役立つケース
  • 一律ケアになるため、美肌を目指す日常のケアには力不足である
    (それぞれの肌にとって、肌が育つ環境作りの完成度が低いのは否めない)

このようにまとめることができそうです。しっかり位置づけしておいて下さいね。

2.ケア製品の成分構成がシンプル
3.ケア方法も成分構成もシンプル

化粧品開発のイメージ

「ケア方法がシンプル」については、前段で解説の通りですが、さらに、成分構成がシンプルだと肌に良いという主張があるようです。簡単に言えば「成分の種類が少ないものがよい」というものです。

これが本当なら、化粧品の開発は楽でいいですが、少ないことが本当によいのなら、どこの製品もほとんど変わらないものに収斂していくはずです。でも、話題の根っこはそんな次元の話ではないようです。

化粧品で肌が求めている様々な「良い環境」を作るには、それらの役割を果たす成分が必要です。加えて、肌は人それぞれだし、肌をとりまく環境も様々。となると、種類の少ない成分でそれらをカバーするには、その成分一つひとつが超人的に多用途に活躍する必要があります。さらにそれぞれの用途において求めている加減は違うわけですから、どのように考えても無理な話です。

でも、ここで前提を変えて……もし肌が過敏で、使える化粧品そのものが限られた状況にあるとしたら、どうでしょう。
このような状態にある肌は、必ずバリア層が弱くなっています。どんなに良い成分もバリア層を超えて侵入を許す状態であれば、異物には違いないのですから、炎症反応を起こす危険性は増しています。

侵入する成分の種類が多いと、いずれかの成分に反応する確率が高くなるのは当然、逆に成分の種類が少なければ、反応する確率も低くなる、というわけです。……これが「成分構成がシンプルなのが良い」の主な論拠です。

しかし、これは偶然がもたらす好結果というもので、明日もその化粧品が反応しない事を保証するものではありません。その日の肌のご機嫌が悪ければ、いつ反応しても不思議ではない状態です。

このような時は、侵入する成分の種類の少なさを求めるのではなく、そもそも肌に浸透・侵入しにくい成分、あるいはまた浸透・侵入しにくい造りの化粧品で、洗浄や保湿、乾燥や紫外線からの保護ができるものを求めるのが正しい方向です。

肌が求める「良い環境」に近づけるには、様々な役割を持つ成分が多く揃っている方が有利であることは間違いありません。しかし、成分の数が多くなるほど、化粧品の開発は難しくなります。成分同士のチームワークが上手く整わないと、「成分数が多いとよい」と言うことも出来ないのです。

シンプルなケア、シンプルな成分という言葉を、どことなく揶揄したような講義になりましたが、大切なのは、結果を優先するという視点です。

結果として、肌がよく育ち、健康になり、美しくなっていく、強くなっていくということが大切なのです。結果をありのまま受け入れることが、合理的な考え方というものです。

結果を見て、それならばどうしょう!?と、スキンケアを見直していくのが、私達に求められる姿勢のように思います。

目標はシンプルに「肌が育つこと」でいいのです。肌が育つと必ず健康で美しくなっていくのですから。でも、方法は試行錯誤なのです。上手くいっても失敗しても、その原因と理由を考えていくことで、肌が育つケアの完成度は高まっていきます。

今日のサッポー美肌塾まとめ

  • シンプルなケアが有効な範囲は限られている
  • 大事なのは結果を見て、ケアを変えていくこと
黒板に注目!

「サッポー美肌塾」第551号


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