「サッポーのファンデーションは、石けんで落ちますか?」という質問を数年前からよく頂いております。石けんの洗浄力は他の洗顔料と比べて、けっして劣るものではありませんから、なぜそんな質問をされるのかと不思議に思いながら、このように答えておりました。
「ウォータープルーフ製品以外なら、ファンデーションは勿論、他のベースメイク・ポイントメイク製品も落とせます。でも、こういった製品は、サッポーのような洗浄力のないクリームで浮かし、絡め取るのが肌に優しい洗浄方法です。石けんでいつも落としていたら、必ず洗い過ぎのマイナス影響が肌に現れてきます。」
そのうちに、次のような質問が混じるようになりました。「○○は石けんで落とせるとあるので、肌に優しいと思うのですが、間違いないでしょうか?」と。納得できるようでできない……疑問を抱いた人が増えてきたのでしょう。
どうやら世間では「石けんは肌に優しい洗顔料だから、石けんで落とせる製品なら肌にも優しい!」と考え、「石けんで落とせる」が優しさのバロメーターとして使われているようなのです。
もし、このようなイメージで石けんを使用したり、使用の判断基準にしていたら、これはとんでもなく危険なことです。
石けん洗顔の優しさと、石けんで落とせる製品の優しさについて、適切な判定ができるようにしておきましょう。
石けんで落とせるのは、肌に優しい製品か?!
石けんで落とせる○○…とは、きっと、クレンジング能力の高いオイルクレンジングでしか落とせない製品と比較しての“優しさ”をイメージさせたものだと、サッポーは想像しています。
ここに、無条件に優しいと信じ込んでしまうトリックが潜んでいます。
実際は、オイルクレンジングと石けんの洗浄性能に差はありません。しかし、化粧落としに限ると、オイルクレンジングに軍配が挙がります。洗浄力は同じでも、オイルによる粘着力が化粧を取り込むのに優れているからです。
私達が使用するベースメイクやメイク料の中には、石けんで落とすことはできないが、オイルクレンジングなら落とせるアイテムがあります。すると、石けんだけで落とせるメイク料なら、肌に優しいはず……となるわけです。
だから、石けんで落とせる製品は肌に優しいと言ってもあながち間違いとは言えません。でも、『オイルクレンジングで落とす製品と比較したら』という部分が表現されていないので、どのような場合にも優しいように思い込んでしまいます。これでは危険な思い込みとなります。
そもそも、オイルクレンジング以外で落とせないものは、ウォータープルーフ機能を高めたベースメイクやメイク製品※だけです。だから、ウォータープルーフ機能を強化していない製品は全て、石けんを初めとした洗顔料で落とせるのです。優しさとは何の関係もありません。
このように背景と洗浄の大枠を知ると、「石けんで落とせる」という言葉に戸惑うことはなくなります。「石けんで落とせる」が優しさのバロメーターではないこと、ご理解いただけたでしょうか。
※ウォータープルーフ製品は、汗をよくかく時や、スポーツで化粧直しができない時に多用されます。化粧が崩れにくいし、紫外線防御力も維持されるので、価値あるケアですが、継続使用は肌を乾燥に導くので、日常的な使用は薦めていません。
石けん洗顔は、肌に優しい洗顔法か!?
サッポーは、石けんを使用することはとてもよい洗浄法だと考えています。しかし、石けん洗顔は肌に優しいかと問われたら、「優しい時もあれば、酷い仕打ちをする怖い面もある」と答えます。
それをサッポー流に言い換えると、
- 石けん洗顔は、ある程度育った健康な肌を、さらなる美肌に育つように仕上げてくれる
- 石けん洗顔は、敏感な面を持つ未熟な肌に対し、赤みや炎症を促進し、肌の育ちを妨げる
強きを助け、弱きをくじくのですから、少なくとも正義の味方には見えません。それでも、サッポーはやはり、石けんを洗顔料として最も信頼しています。
石けんの素晴らしいところは、他の洗浄力のある製品と違って、肌に界面活性剤を残さない唯一の洗浄剤(界面活性剤)である点です。
洗浄後すすぎ洗いすることによって、石けんの特徴であるアルカリ性質が消失すると、界面活性能も消え、界面活性剤ではなくなってしまいます。
他の洗浄剤の場合は、肌にピタリとついた界面活性剤がすすいでも消えず肌に残り、角質が剥がれやすくなるように働き続け、次の洗浄機会に角質と一緒に洗い流されていきます。
剥がれやすくなるといっても、その日その日の違いはほとんど分からないくらいの微妙なものなのですが、洗顔は毎日の事、いつか大きな差として現れてきます。界面活性剤が肌に残らないことは、石けんの素晴らしい長所なのです。
しかし一方、未熟な肌、つまり、角質層のバリアー力が弱い肌では、石けんのアルカリ性質が弱い者いじめをします。石けん水が目に入るとしみるように、弱アルカリ性とはいえ、未熟なバリア層を通過して、肌内部に侵入すると、肌は悲鳴を上げてしまう(赤みや痒み、炎症反応を起こす)のです。石けんの刺激が肌の育ちにブレーキをかけ、後退するか、良くても停滞させてしまうのです。これが石けんの欠点です。
では、どのように考えたらよいのでしょうか?
- 健康に不安のない肌には、石けん洗顔がベストな洗浄法となる
- 石けんがブレーキになりやすい敏感な肌は、石けんを使用してはいけない
ケースバイケースで素直に対応するだけですね。
石けんがいいと思い込んだら、石けん一筋!というのがよくないのです。
「石けんで落とせる、の真意」、そして「石けんの持つ厳しさと優しさの両面」を知ることで、世間に氾濫している「石けんで落とせる○○…」の誤解に振り回されずに済むはずですね。
参考:「“合成”界面活性剤……言葉のイメージに振り回されるのはやめよう」
※「サッポーがクリームタイプのクレンジング料を推奨するわけ」の項を参照
- ウォータープルーフ以外は、すべて石けんで落とせる
- 無条件に石けんを優しいと思い込むと、危険を招く
「サッポー美肌塾」第602号
更新
出来てるようで、出来ていない……“洗い過ぎない洗顔”
サッポー美肌塾では、洗顔による皮脂や汚れの「取り過ぎ」「洗い過ぎ」に警鐘を鳴らしています。でも、これは今では常識になってきました。しかし「洗い過ぎない洗顔」の出来ている方はごく少数です。
- 「もしかして私の洗顔も、“洗い過ぎ”なの?」
- 「洗浄力の弱いクレンジングなら、大丈夫なのでは?」
どこからが洗い過ぎなのか、ハッキリとした判断基準が無いので、次々と疑問や不安が湧いてきます。
洗い過ぎにならないためには『洗浄力』と『手指の力加減』がポイントです。
- 洗浄力の無いクレンジング料
- 界面活性剤が肌に残らない洗顔料
- 手指と肌の摩擦で汚れを取らない
これらが揃って“洗い過ぎない洗顔”だとサッポーは解説しています。
サッポーのクレンジング料も洗顔料も、上の条件を満たしています。あとは力加減を調節するだけ。
洗顔は、毎日行うスキンケアです。小さな変化の積み重ねが、大きな変化に繋がります。良い洗顔を選びたいですね。
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