“角質”や“角質層”という言葉が一般化し、久しくなりました。それ以前は、ただの“肌”とか、細かくいっても表皮と真皮を使い分ける程度でした。
ところが、競合する化粧品の種類が増え、これが良い、あれが良いという選択の幅が広がり、製品の良さをいかに表現するかということが、売り手にとって大きなファクターになってきたからでしょうか。
表皮の一部である角質層が説明のポイントとして、よく使用されるようになりました。最近では、サッポーのように「角質を大切にするケア」が多く知られるようになってきましたが、未だ角質を悪者扱いする風潮は根強く残っています。
“角質”という言葉が、どのように使用されているか拾ってみました。
雑誌やインターネットより
- 厚く硬くなった角質は毛穴が詰まる原因、ニキビの原因。取り除くことが…
- 古い角質がシミやしわの原因。古い角質を取り除くことが大切…
- シミ、くすみの原因は洗顔で落としきれない汚れや古い角質…
- 新陳代謝を遅らせ、様々なトラブルの原因となる古い角質…
- 古い角質がお肌の表面に徐々に厚く蓄積され、様々な皮膚トラブルの…
- ていねいな洗顔と、ふき取り化粧水でしっかりと老化角質を取り除き…
- くすみの原因になる古い角質や毛穴の汚れをやさしく洗い取る…
- ローションで優しく角質を拭き取ると透明感が出て…
- ○○ローションがメラニンを含み古くなった角質を溶かし…
- ピーリングで、お肌に溜まった古い角質を無理なく取り除き、代謝リズムを正常に促すことで新しい角質の生成を助け…
このようなコピーやフレーズがすぐに集まりました。
これを見て皆さんはどうでしょう。
- 「角質は良くないんだな……」
- 「取り除かなければ……」
と、何となく思い込んでしまいませんか?
このように角質が取り上げられ、見続けていると、何か大切なものを忘れてしまったようなイメージが常識として形作られていきます。
角質にヒール役を一手に引き受けるようになったのは、このような経緯があるからでしょう。
では、これらのフレーズは全くの嘘なの?というとそうではないのが、曲者です。どういうことでしょうか、解説していきます。
一面の真実を含んだ情報……問題は?
中には「明らかに間違っている…」というものも見られます(それが分かる方は美肌塾上級者です!!)が、多くは一面の真実を含んだ情報なのです。
しかし、問題視すべきは、“結論として「角質を取り除く」”というケアに誘導している点です。
例えば、くすみや皮脂詰まりの原因を作っているのがある種の角質が原因であることは、その通りです。また、それらの角質を取り除き、その代わりにスキンケア製品でカバーすれば、その時は肌が美しくなることも事実です。
ところが、このような方法で肌の本当の美しさ、本当の健康を得ることはできません。
「角質を取り除く」ことによるデメリットを一切言わず、刹那的な美しさを魅力的に見せることによって、ある種の世界を作り上げているに過ぎません。そこに美肌の真実は存在しません。
私たちが手に入れたいのは、一時的な美しさではなく、美しく健康な肌がずっと続くことではありませんか。
では、角質を取り除くデメリット、美肌の真実とは何でしょう?
これは、次回解説することにしましょう。
- 角質が悪者になったのは、イメージが作られたから
- 一面の真実に隠された「真実」を知ろう
編集後記
今回は、珍しく(汗)短い記事になりました。全てを書くには、あまりにもスペースが足りないからです。
これからしばらく、角質シリーズが続きます。読み終えた後には、二度と「角質を取り除く」という行為は出来ないと思います。心して、読んでいきましょう(^^;)
「サッポー美肌塾」第83号 / 2002年7月26日 発行
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