美しく健康な肌を作るには、化粧品によるスキンケアだけでは不十分です。肌を取り巻く環境、たとえば生活習慣も大いに関係しています。
「この習慣は肌に良いの?」と判断に迷ったり、良い!と思ってしていた習慣が実は肌を傷めていた……なんてこともあるでしょう。
今日はスキンケア相談室に届いた生活習慣の一つ、半身浴についての相談を紹介します。
相談者の“Umiko”さんは、健康と美肌作りを兼ねて半身浴に取り組んでいるそうです。
半身浴は肌に良いのか、行う上で注意点はあるのか。お風呂好きな方は多いので、気になるところではないでしょうか。
半身浴中の顔の汗はふいたほうがいい?
“Umiko”さんのご質問・相談
半身浴をするようになり、身体の調子も肌の調子も良くなったように思います。
ふと感じた疑問です。半身浴をしていると汗をたくさんかくのですが、顔の汗はこまめにふいた方がいいのか?ということです。
お風呂ではあまり気にせず汗をかいたままにしていましたが、やはり乾いたタオルなどで、やさしくおさえるように拭いた方がいいでしょうか?
もうひとつは半身浴する場合、身体や顔を洗うのは、やはり半身浴の後にすべきでしょうか?気分的にサッパリしてから湯舟に入りたいタイプでいつも先に洗ってしまいます。
その場合、後で再度石けんで洗うと肌に悪いと思うのでいつもぬるま湯で流すようにしています。
よろしくお願い致します。
半身浴、気持ちいいですね。全身浴よりも身体への負担が少なく、芯から温まり、たくさん汗をかいてスッキリします。
普段は外から刺激を受けている肌ですが、温められた血液が血管を巡り、内側からの程良い刺激を受けます。
血行がよくなるだけではなく、汗腺の働きが正常化し、免疫システムが整う効果が期待できます
“Umiko”さんは肌の調子も良くなったとのことで、その恩恵を受けられたのでしょう。
さて、“Umiko”さんの1つ目のご質問、
(半身浴の汗を)乾いたタオルなどで、やさしくおさえるように拭いた方がいいでしょうか?
についてですが、結論を先に言うと、汗を拭く必要はありません。たら~り、たらりと流れるままでOKです。
その理由は汗をかいた肌に、次のような特徴があるからです。
汗で角質浸潤が起きやすい
角質と角質の間は、タイルの目地のようにセラミド等の細胞間脂質がぴったりと埋まり、肌の柔軟さや強さを支えています。(ラメラ構造)
でも汗(自由水)を長く肌に溜めると、目地部分がふやけて緩み、角質層が崩れやすくなります。
このように肌が汗で水浸し状態になることをサッポーでは「角質浸潤」と呼んでいます。
長時間お風呂に浸かっていると、手足の指が白っぽくふやけることはありませんか?顔の肌の場合は角質層が薄いため見た目に判りませんが、同じことが起こります。
また、タオルは肌よりも硬い材質なので、角質浸潤が起こった状態でふくと、軽い摩擦や圧でも肌を傷めて角質層を崩壊させる危険性があります。
半身浴の時間が20~30分程度なら大丈夫ですが、長時間になればなるほど角質浸潤の危険度が増します。夏場やスポーツで汗をかく時も同様です。
汗が乾くとき、NMFが奪われる
汗が乾く(蒸散する)ときに、肌の天然保湿成分NMFが一緒に奪われていきます。
NMFは天然保湿因子とも呼ばれ、角質を構成する細胞内の水分とくっついて存在しています。角質に保水能力・吸水能力があるのはNMFのおかげなのです。
だから、NMFが奪われると角層の機能が低下し、角質の剥がれやすい肌に変わっていきます。
しかし、お風呂の湿度はほぼ100%です。汗の蒸散は起こりませんから、NMFが奪われる心配もありません。
身体や顔を洗うのは半身浴の前?それとも後?
もう1つのご質問、
半身浴する場合、身体や顔を洗うのは、やはり半身浴の後にすべきでしょうか?
“Umiko”さんは、サッポーが推奨する「お風呂で洗う順番」をしっかり理解し、実践されているご様子です。
気になる方はこちらでチェックしておきましょう。
「サッパリしてから湯舟に入りたい……」この気持ち、よく解ります。
身体や顔の洗浄は、半身浴の前と後、どちらでもOKですよ。
身体を洗う際に大事なのは、スポンジやタオルを使用せず、泡立てた泡をたっぷりと手につけて優しく撫でるように洗うということです。
これなら、角質浸潤した肌も傷つけません。
また、
(お風呂から上がった後)再度石けんで洗うと肌に悪いと思うのでいつもぬるま湯で流すようにしています。
とのこと、これはその通り!です。
石けんは洗浄力が強いので、“Umiko”さんが気にしているように短い時間で続けて使用するのはいけません。基本は朝晩の1回ずつ、時間を空けて洗います。
だから“Umiko”さんのように、お風呂上がりはぬるま湯で流せばパーフェクト!です。
“Umiko”さんは、今までもよい習慣ができていたご様子なので、サッポーはとても嬉しいです。
さて、半身浴については他にもご相談をいただくので、上記以外の注意点を解説しておきます。
サッポーが考える、肌に優しい半身浴の方法
半身浴は健康のための入浴法として、一時期ブームになりました。今でも実践している方は多いと思います。
現在では入浴時間を利用して、スマホや動画などを楽しむ方が増えています。より注意喚起をしなければいけませんね。
ぬるま湯でゆっくり、お風呂上がりは手早く!
まず、理想の湯温は38℃~39℃くらいです。
最初は寒さを感じるかもしれませんが、次第に身体の芯から温まり、顔には汗がタラタラと流れてきます。
肌が健康であれば、40℃くらいまでなら大丈夫です。でも、敏感肌やトラブル肌は38℃台が安全です。
内側からの程良い刺激のはずが、湯温が高いと免疫細胞(マスト細胞)が騒ぐきっかけになり、赤みや炎症などの症状が起こりやすくなるからです。
効果を高めるために浴室の換気扇は切りましょう。みぞおちくらいまでお湯に浸かり、20~30分ゆっくり過ごします。
お風呂上がりは、身体のふき方に注意しましょう。優しくタオルで押さえ、素早く身体の水分を吸わせます。吸水性の高いタオルがあればよりいいですね。
たっぷり水分を含んだ肌はNMFも奪われやすく、乾燥ダメージを受けやすいからです。
さぁ皆様も“Umiko”さんのように、半身浴を楽しみましょう。
- 半身浴の汗は流れるままでOK、角質浸潤に気をつける
- 半身浴は温度や時間を守って、肌に優しい方法で行う
更新
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