世の中にはたくさんの情報があり、その全てが真実とは限りません。スキンケアにおいても、本物の情報なのか疑ってかかったほうがよいものとがあります。
こういうと「私のスキンケアは大丈夫かしら?」と不安に思われるかもしれませんね。どんなことでも改めて考えてみる……のは良いことです。
サッポーは、肌やスキンケアについて、真実を包み隠さず伝えていると自負しています。しかし、舌足らずなところがあるからでしょうか、時々「どういうことなの?」と質問をいただくことがあります。
今回は、そのような“ch-m”さんの質問を元に講義を進めていきます。
サッポーも「言われてみれば……」とハッとした、するどい視点をありがとうございます。
死細胞である角質が美しく育つ?
“ch-m”さんのご質問・相談
はじめまして、質問があります。
例えば、今日、基底層で生まれた細胞が角質層の一番下に到着した日だとします。そしたら、あとおよそ14日でその角質は剥がれ落ちますよね。
角質は死んだ細胞なので残りの14日間は日に日に弱っていき、見た目もどんどん悪くなり、いくら角質を大切にしたとしても、肌が美しくなっていくという事はありえないと思うのですが、どうなのでしょうか?
死んだ細胞という事は、角質層のスタート位置に立った時が一番美しい状態で、それからは、劣化していくだけなのですか?
よろしくお願いします。
“ch-m”さんは、サッポー美肌塾でよく勉強されていますね。
少し難しいかもしれませんが、今回の質問の趣旨は、
「どうして、死んだ細胞(角質)を大切にして、サッポーが言うように肌が美しくなるの?」
ということです。言われてみれば、確かに気になります。
ターンオーバーの仕組みを解説
私達の肌は、日々新陳代謝を繰り返しています。
具体的には、表皮となる細胞が
- 誕生する準備期間 …約14日間
- 生きた細胞として育つ期間 …約14日間
- 角質として働く期間 …約14日間
約40日以上をかけて、ゆっくりと新陳代謝しています。
世間でよく言われるターンオーバーとは、「生きた細胞として育つ期間」と「角質として働く期間」を合わせたものを指します。
誕生した表皮細胞が代謝活動をしながら押し上げられていき、やがて平べったい角質として完成(角化)すると、身体を守るバリアーとして働きます。そして、役目を終えると垢となって剥がれ落ちていく……この期間のことです。
そして、表皮細胞が代謝活動を終え、死細胞である角質になることを角化と言います。つまり、私達が見ている肌はこの死んだ細胞で覆われているのです。
サッポーはいつも「(この)角質を大切にすることが美肌につながる」といっています。
そこで、“ch-m”さんは
「どうして、死んだ細胞(角質)を大切にして、肌が美しくなるの?」と、疑問をもったわけです。
率直な質問であり、明確にしなければいけない大切な視点です。
表皮細胞が角化して角質となった瞬間から、ch-mさんのいう通り、この角質が美しくなっていくことはありえません。時間と共に劣化していくのみです。
では、どうしてサッポーは“角質を大切に”というのでしょう。
角質を大切にして美しくなるのは、角化する前の細胞
確かに1つの細胞の誕生から消滅までの軌跡を見れば、美しくなっていくことはありえません。
しかし、肌は常にターンオーバーを繰り返しています。
角質がバリアーの役目を果たしている間に、その下では角化する前の表皮細胞が日々生まれ、代謝し“育って”います。
だから私たちは、バリアーである角質をできるだけ長く保たせ、肌を守ってくれるように“大切に”するべきなのです。
その具体的な方法は、肌へのダメージを避け、洗顔・保湿・乾燥保護・紫外線対策の基本的なスキンケアをし、肌を取り巻く環境を整えることです。
これらを適切に行えば、表皮細胞(未来の角質達)にしっかりと育つ時間が与えられます。
だから、サッポーは“角質を大切に”と言うのですね。
角質ケアには二通りある
一方、世間では「古い角質は剥がしたほうが新陳代謝がよくなる」と言われています……真実はどうなのでしょう。
ここで言われる“古い角質”はほとんどの場合、実際に長い間、肌に居座って古くなった角質、ではありません。
細胞時代に育つ時間をしっかり与えられず、未成熟な状態で角化したため傷むスピードが早くなった角質、がその正体です。
つまり新しいのに、すぐにガサガサ、ザラザラしたり、黒ずんだりして、古びて見えてしまうのです。本当は、傷み、剥がれそうになりながらも必死に身体を守っている、健気な角質達なのです。
この角質を剥がせばその場はきれいになったように見えますが、その下で肌は表皮細胞の角化を早めます。表皮細胞の育つ時間を奪うことになるのです。これでは、肌は育ちません。
対して、しっかりと育つ時間が与えられた表皮細胞が角質となった場合はどうでしょう。
よく育った角質は、バリアーとしてしっかり役目を果たし、寿命がくると自ら肌を離れていきます。その機能も十分備えているのです。
傷みが少なく美しい状態のまま、目には映らない姿で、ひとひらずつ散っていきます。
このような肌をサッポーでは「よく育った肌」と呼んでいます。
いかがでしたか? “ch-m”さんの質問の答え合わせができたでしょうか。
角質ケアと一言でいっても、今をきれいに見せるか、未来のきれいな肌を目指すか、どちらを選ぶかで角質の扱いは180度異なります。
角質層のおかれる環境が、表皮細胞の未来を決めます。みなさんは後者を選んでくださいね。
- 死細胞の角質層を大切にすることが、肌の育ちにつながる
- 角質ケアは、未来の肌を美しくする方法を選択する
更新
角質を大事に……でも一体どうすれば?
講義はいかがでしたか?
毛穴、ニキビ、シミ、しわ、たるみ、肌のくすみ……さまざまな肌トラブルがあり、そして、これらに対処するため、専用化粧品が数多く用意されています。
しかし、ここまで講義を読まれた方はお気付きかもしれません。
こうしたトラブルへの見た目の対処、表面的な対処も大切だけど、その「根本」に目を向けなければ、いつまで経ってもトラブル解消にはならないだろう……と。
いつしか見栄えと表面的な対処だけが、私達のスキンケアになっています。
「根本」とは、健康に育った角質で肌が作られることに他なりません。つまりターンオーバーが正常に働く環境を作ることこそ、基礎となるスキンケアなのです。(サッポーでは「肌が育つケア」と呼んでいます。)
……と言っても、正常なターンオーバーと聞いて、ピンとくる人はいないでしょう。
ターンオーバーは肌表面0.2mm、ミクロの世界で行われていることです。目に見えないばかりか、イメージすることさえ難しいというのが実感です。
角質を大事するとは、実際のところ、どういうことなのか?
正常なターンオーバーの維持とは、一体どんな状態なのか?
その答えの一端は、「スキンケアモニター」で知ることができます。
踏み出してみましょう。
トラブル知らずの美しい肌が、あなたを待っています。